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202号室  作者: 紫雨
番外編
12/16

喧嘩しない程仲が良い?~皆実の場合~

小話的な。皆実の場合と、圭祐の場合の、2パターンです。


「皆実と圭祐君ってさ、喧嘩とかしないの?」

「へ?」



 ある日のランチタイムのこと。あの時以来、杳の口から久しぶりに聞いた圭祐の話題だった。




「だって毎日顔合わせてんのに…喧嘩とか大変じゃん。ないの?」

「ん~…」



 考えてみれば。

 圭祐と喧嘩したなんて記憶は見つからない。



「幼稚園くらいなら…してたかもだけど覚えてないなあ」



 多分次の朝会ったら普通に“おはよう”パターンだろうけど。




「幼稚園ン~?それ以外なかったの?!」

「ん?うーん……」



 喧嘩って、そういえば、どんなのを言うんだろう。

 相手に腹が立って、もう顔も見たくない!とか?

 じゃあ一緒に暮らしてて喧嘩したら、確かに大変だ。




「あのさぁ、あたし、二人が仲良しなのはもう認めたんだけど………、皆実、圭祐君の嫌なトコとかないの?」

「嫌な………?」



 少し、考えてみる。

 私は彼を幼稚園の頃から知ってるし、女の子の中ではきっと、1番近い存在として彼を見てきたと思っている。

 だから誰よりも、分かっているはず。

 なのに、嫌なトコって言われても、ぱっと浮かんで来ない。



「…………ゴキブリ?」

「え?」

「ゴキブリ一人で退治出来ないトコは嫌かな」

「圭祐くんゴキブリ駄目なの?」

「うん、凄いよ。多分杳も、100年の恋も覚めるであろう怯えっぷり」

「み、見てみたい………っ」



 引くかと思っていたのに、意外にも杳は目をキラキラと輝かせた。

 ……近いうちに学校でゴキブリを見る予感がした。




「他には?」

「入浴剤をお風呂に入れると怒る」

「………他は?」

「ノックの返事を待たずにドアを開けること。アレ時々ムカつく」

「……………なぁんかさ、皆実」

「ん?」

「全部たいしたことじゃないね」

「うん、私もそう思った」

「………もうホントに何なのよアンタ達…」




 杳はわざとらしく、はああと盛大な溜息をついた。


 嫌なトコは、きっとあるんだろうけど、いざ言ってみてって言われると、簡単には浮かばない程度である。


 それは多分、それ以上にたくさん、良いトコも知ってるから。

 だから全部受け入れる、分かってあげられるし、きっと圭祐だって同じなんだと思える。







              - 喧嘩しない程仲が良い? -






「…杳、圭祐のこといつ諦めたの?」

「ついさっき、完璧にね!」



(皆実の場合、おしまい)

次は圭祐の場合。

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