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クラッド  作者: 僕。
第二章 魔物掃討作戦篇
14/15

第13話 集団依頼

我々は知っている、夜に光が集まる、あの場所には、我々の大好物があるのを。

だがそこには、我々に牙を剥く小さくて強大な奴らもいるのを、なら、我の手でほふってしまおう。

あそこは、我のモノだ

(?)


登場人物


【ソラ】

身体能力が以上に高い剣士。パーティの若きリーダー

【クレア・フォン・カルシア】

ソラの相棒。身のこなしが軽く、トリッキーな戦法で標的を翻弄する。

【リョウ・ナージャ】

中性的な容姿の少年、回復魔法を得意とする。腹黒で攻撃的な参謀担当

【レン・ナージャ】

リョウの弟、魔力を使った射撃を得意とする。純粋ピュアな戦闘担当

1

 日差しが昇り、活気のあるこの街を照らし出す。

長屋や近隣の家では朝を告げる元気な声と、朝の元気な雰囲気が出始める。

 彼も、その声に思わず起きてしまっていた。

「ふぅ、まだゆっくり寝ていたいんだが...」

 ベットからチラリと窓を見やる。

「そう言う訳にもいかなそうだな...」

 そう言うと、一瞬鋭い目つきになる。

 あれからレイザスはシリュウの件で色々と調べている所だが、下手したらシリュウと同じ状況に陥るかもしれない、そのため大胆な動きは避け行動しているところだった。

 レイザスは昔は王国の部隊に配属していたので、その時の人脈を使って、連邦政府と結び付きの強いデュルト王国について調べているのだが、あまり決め手となるな情報は来ない。

シリュウの言葉が真実なのかはわからないが、できることなら少しでも把握しておきたいと、そう思っていたが。

「やっこさん、俺の動きに気づいたのかね」

思考をめぐらせていると、当然階段をカンカンと駆け上がる音が聞こえてくる。

「やれやれ」

 とレイザスはベットからゆっくりと体をあげる。

「朝ですよー!!レイザスー!?起きてー!!」

 まるで魔物の咆哮並の大音量で、わんわんとドアの向こうから声が聞こえる。

「あー、大丈夫だ」

 バンっ、と玄関が開く。

「おはよー」

「まったく、毎日玄関に迫られると、この時間前には起きてしまうんだから、困ったもんだなぁ」

「レイザス、最近かなりおじさんっぽいよ?」

「ははは、そりゃ参ったな」

 自分の頭をぽんぽんと叩くレイザス。

「なるべく若いままでいたいんだが...俺の老化はどうにも止まんないらしくてね」

「あんまり老けすぎないでね」

 見た目結構若いんだしといわれ、レイザスは恥ずかしそうに頭をかく。

 若鷹といってくれりゃ納得できるな、と軽口を交わしていた。

「どうやら集団依頼が発注されたようだな」

「え、そうなの?」

 三年ぶりだね、と笑顔

「いやー、お前さんも育ってくれたなぁ」

 あの時はまだ子供だったか、感慨にふけり思わず笑みをこぼす。

「港町に狼牙竜が、いっぱいうろついているんだって」

「あー、最近物資不足で値上がり中なのはそう言う事なのか」

 あ、コラタバコ吸わないで、と怒られ大人のたしなみなんだがと困った顔をするレイザス

「狼牙竜か、かなり手強いんじゃないのか」

「魔物の王って言うからね」

 王様か、さぞかし機嫌が悪そうだな。そういえばこの国の王もいまは連邦政府に出張している。と聞いた

「じゃ、ギルドに行く準備するね」

「俺も腹ごしらえしとくか...」

 窓をもう一度見る。

「そうそう、王《鬼》の居ぬ間にな」

 その顔つきは、いつもと違う真剣な顔だった。


2 

 昼間の筈だが、ギルドには沢山の人が居る、いつものようにジョッキがはじける音や、話し声などの喧噪はいまはここにはない。

 緊張や、これから依頼に行く者の雰囲気で満ちていた。

 だが彼は、それらとも違う気分だった。

「腹が減った...」

 装備を着用し、肩に剣を置いたまま、イスで腹を抱えるギン。

「俺もだ...」

 隣に座るガイもまた、同じ気分であった。そんな二人に、武器装備だらけのミレウが「仕方ない」と呟く。

「物資不足という事なんだろう」

 ジルの街はジル草原の真ん中に築かれた街、国が発展の重点地とした場所だ。

この地下には数多くの魔力を含んだ鉱石が眠っており、それを掘り出し交易に用いる事で発展してきた街である。もう一つは魔物が徘徊しないという事だ、この草原近隣に眠る魔鉱石を魔物達が嫌い、近寄りがたいので魔物は基本出現しない。だから魔物が嫌がる場所には魔鉱石が潜んでいる確率は高い。

 交易では主に食料を扱っており、その交易の相手は様々だが、ジル草原は外部が非常に険しい山に囲まれており、出入り口が一つしか存在しない、なのでいつも隣町である交易町を経由して交易を行っていたのだが...。

「隣町に魔物出現...か」

 その港町に強力な魔物の群れが出現し、町の近くをずっと徘徊しているのだ。交易の荷物を襲われ、交易が不可能と断定した商人達は、交易を一時中断している。

 それがジルの街の食糧難の現状だ。

 魔法鉱石は料理や日常生活には必須の為、交易相手も非常に困っていた。

 そこで国がジルの街のギルドに発注したのが、集団依頼である。

『諸君』

 ギルドのカウンター前の二階から、高らかな声が聞こえる。

『この時間に収集してくれて、ありがとうございます』

『私は、国王代理で来た、ゲルシア・シュツアルです。今回、国王陛下の決断により、集団依頼を発注しにきました。』

 ギルドのに集まったメンバー達が、彼の声に注目していた。

「あーあー、あれが国の...」

 レイザスが小声で呟き、真剣な表情を見せる。それを悟られないよう、レイザスはタバコを加え直す仕草で怪訝な表情を隠す。

『今回、集団依頼を発注したのは、ほかでもない、交易町«デュルトの町

»に出現した狼牙獣を筆頭にした魔物の群れを討伐していただく依頼です。』

 硬い表情の男。その雰囲気からは、王国の人間という人柄が滲み出ていた。

『効率と、町の防衛を重視しますので、3つの隊とそれぞれにいくつかの班に別れて、四、五人のパーティを組んで交代交代で行動してもらいます』

「班行動か...こりゃキナ臭そうだ」

 さっきから独り言を小声で呟くレイザス。使者の声に紛れ、ギン達にはその声は聞こえていない

『班については、普段組んでいるパーティと、他のパーティ一一組(ひとくみ)と組んでもらいます。その班については、指定の馬車に乗ったときに顔を会わせますので、そこで確認しておくといいでしょう』

『では、私からの説明はここまでにしましょう。貴方方に、魔法の加護があらんことを』

 そう言って頭を下げると、二階からカウンターに降りて行く使者。

 静かだった観衆はやがて、口々に喋りだし、さっきまでの緊張の混じった喧騒が再びもどってくる。

「さて、今回もいつもとかわりなく、気をつけて臨んでくれ、な」

「分かっている」

「おう!任しとけ!」 

「うん、わかった」

「はい」

 若さ溢れる笑みを浮かべるレイザス。

「っと、出発だな」

 カウンター前で使者が馬車の案内を始めていた。

 レイザス達は話ながら馬車に向かって歩き出す。

 その時。

「あっ、また会いましたね」

 中性的な声がこちらに向かってかけられる。

 振り向くと、そこに昨日の少年が立っているのを見つけた。

「レン」

 そう声をかけたのはレイザスだった。

「お前、この集団依頼に出るのか?」

「ええ」

 ニッコりと微笑むレン。その仕草に反応するソフィア。

「わっ、久しぶり!」

「ふぇ?」

 突然両手で頬を捕まれ、驚くレン。やや警戒体制をとるところ、実にちゃっかりした少年である。

「お前が同じ班ということは...」

「おねいひゃんたちもいっしょです」

 顔をもてあそばれ、なすがままになっているレン。

「ソフィア、そこらにしといてやれ」

 ミレウがレンに助け船を出しているところで、レンの後ろから、三人の青年達が歩いてきたのに気づき、レンは解放された。

一人は黒髪、雑誌とかで見かけるいい髪型で、日本人のような整った顔立ちと茶色の目が優しげな美男子の雰囲気をかもしだしている。

着用している鎧は見た目は堅い、でもとても軽そうで、動き易そうだ。

 そして腰には、一メートル程の剣が指してある、青紫色がベースで、いたるところに美しい装飾が見える。

「久しぶりだな、レイザスさん」

「おう、ずいぶんとまぁ、いい顔付きになったもんだ、感心感心」

 くすぐったそうに笑う青年。

「あれ、こっちは?...」

 三人の視線は、ギンに集まる。

「こいつは最近入ってきたヤツだ。ギン、って言うんだ。こいつは脈ありだぞ」

 ニヤリ、と笑う。

「ああ、こっちも紹介しないとな」

 握手を求める青年。ギンも手を差し出し握手する。

 剣聖、のような手だった。

「俺はリーダーのソラ、よろしくな」

 笑顔でガッチリと握手する、ソラからはどこか並々ならぬ強さを感じた。

「で、こっちのでかい方は...」

「クレア・フォン・カルシアです。」

 細身で少し身長の高い男、髪は長く、目にかかりまくっている。髪のあちらこちらが跳ねているが、清潔感がでている。

「副リーダーだ、末長くよろしく頼むよ。」

「は、はい」

 優しげな雰囲気。一見根暗に見えるが、対照的な明るい性格の人だ。

 レイザスに似た貫禄を感じた。

「そんで、この小さな二人がナージャ姉弟だ」


「ちっちゃい言うな!」

 姉弟?

「私は、リョウ、宜しくね」

 リョウは弟のレンとは違って、中性的な見た目じゃなかった。髪の緩やかなウェーブ具合は変わっていないが、髪は長かった。

 性別がくっきり判断できる。

ただ名前は、反対でよかったんじゃないか...?

「あなたもがんばってね」

 何故か一瞬冷ややかな視線で見られる。その視線にギンはゾクリとした

 ちょっと怖い娘だ...。

レンの方はというとニコっとしたままかるく会釈。

「じゃ、自己紹介もほどほどにしてそろそろ行こう」

レイザスは、頭を掻きながら歩き出した。


3

「お前、今反則したろ!!」

「ドラゴンだし、反則じゃないですよね」

「どっちかと言うとこのゲーム、ドラゴン=反則じゃないのか!?」

馬車に揺られつつカード遊びに盛り上がっているのはガイとレンの二人。

 ソラとレイザスは馬車のはしっこで何か話し込んでて、ギンはリョウはカードゲームでレンが勝利している様子を見守っている。

「だーっ!!!!もう一回やんぞ!!」

「もう八回目ですよ?勘弁してください...」

 涙目のレンが窓を見たとき。助け船が見えた。

「あ、見えてきましたよ」

「おお!!アレが....!!」

 ジルの街ほどではないが、その町並みが遠くに見える。のと同時に。

「魔物だ!!!」

平行して進んでいた左隣の馬車から、大声が聞こえる。

「戦闘準備はいいか!?」

レイザスはすでに魔法剣を構えている。そして小型の魔物『ウルフオウガ』と、

「オウガメギド!!?」

 ウルフオウガの上位種、オウガメギド。

オウガウルフにはリーダーの上位種、オウガドリューが存在するが、メギドはそれを上回る危険種に位置する。

「マズイ!!一旦退くぞ!!」

だが、獅子王と鬼を組み合わせたようなその獣は、こちらに気付いてしまった。

「早く!ここで犠牲を出すわけには行かない!」

 誰かが馬車を飛び降りた。美しい見た目の剣を引き抜き、オウガメギドに立ち向かうソラ。

「ここは俺に任せてくれ!!」

「お、おい!ソラ!?」

 ガイが窓から彼の姿を発見し叫ぶ。だがレイザスがそれを制する。

「いや、彼ならやってくれるさ」

「とりあえず仮設拠点に合流しよう、このすぐ近くにあるはずさ、ガイとリョウはソラの援護、俺たちは町周辺の遊撃隊の援護に回るぞ」

「了解!!」

「とりあえず、拠点を目指してくれ」

 騎手に頼むとやがて馬車は大きくUターンし、仮設拠点を目指して走り出した。


4

ーーーーがぁぁああぁぁぁあぁぁ!!!!ーーーー

 獅子王の咆哮が草原に響きわたる。まさに死の叫び。めらめらと、獅子王の周辺を炎がめぐっている。

「ギャァァアァ」

 そして獅子王の回りには、小型の鬼狼(ウルフオウガ)がやかましく叫んでいる。

 ソラは余裕の表情で、剣を片手に構え、走り出した。

 剣聖、と褒め称えられた彼の剣、この剣こそ聖なる剣。

 聖剣と呼ばれる伝説の剣が、鬼狼の体に深々と食い込み、切り裂く。

 一払いの剣圧だけで、四匹ほどの鬼狼が吹き飛び、息を失う。

「ふぅ、さて、相手させてもらうぜ、獅子王。」

 ソラが走り出すと、獅子王は砲哮した。

ーーーがぁぁあああぁぁぁあぁぁああぁ!ーーー


読んでくれた方、ありがとうございます。


この新編辺りからストーリーはいい感じで動き出す、と思います。


章間のほうも考えているので、早く書きたいです。

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