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「ルシアンよ!」と呼んだら乙女ゲームが崩壊しました。〜メリバ転生した大天使は最強騎士で全ルート救済する〜  作者: 久茉莉himari


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【19】理解できました、の正しい使い方。〜逃げ場なしの勉強会は、五時間続く〜

そうして始まった勉強会。


遥斗は元々頭の回転が速いので、本気を出せば上位は狙える。


だが、付属大学の白鳥大学に進学するつもりなので、

内定が確実に取れるように中の上位あたりの成績をキープし、

高校生活を楽しんでいた。


しかし、カッシーナのテーブルで始まった勉強会は、

遥斗の想像を遥かに越えていた。


例えば、遥斗が数学で躓く。


遥斗の隣に座るアンジュは、

それは丁寧に教えてくれる。


やさしく微笑みながら。


隣にいる遥斗の胸がドキドキと鳴る。


アンジュから漂う、甘い香り。


長い金色の髪がサラサラと揺れて――

遥斗のシャツを掠める。


アンジュがエヘンと胸を張る。


「どうだ、ハル!

理解できたか?」


その子供っぽい仕草も愛らしくて。


遥斗が「ありがとうございます。アンジュちゃん」と言う。


アンジュがにこりと微笑む。


遥斗はその美しく、

少し幼さの残る笑顔に見惚れてしまう。


小さな幸せ。


だが、その刹那――

低い声がする。


「一ノ瀬くん。

アンジュさまは、君が理解しているのかを確認した。


ならば『理解できました』と答えるべきでは?


学びを授かった感謝は、理解した後に言う方が相応しいのではないか?

それではアンジュさまは、君が理解できたか確認できない」


ルシアンの正論に、遥斗がぐっと詰まると――

アンジュが小首を傾げた。


「もしや……!

ハルは頭の回転が早いと評判だ!


この数式は英語……いや、

ラテン語で教えた方が良かったのだ!


ハルよ!

お前の能力は日本語を越えているのだな……!

なるほど!

では、ラテン語で説明するぞ!」


ルシアンも即座に相槌を打つ。


「……確かに!

一ノ瀬くんはネットゲームで世界で戦う強者!

ラテン語は得意でありましょう!」


遥斗は聞いたこともない言語で数式を説明されながら、

白目になっていた。


そして、思う。


(せっかく良い雰囲気だったのに……。

ルシアンくんの正論には勝てない……!!

ていうか……ルシアンくんって誰!?


こうなったら……ルチアーノくんに連絡だ!)





"神谷伊織"の自宅の部屋を、

ルチアーノ好みにまじないで改造した部屋に響くスマホの音。


ルチアーノは、ゴヤの『我が子を食らうサトゥルヌス』が忠実に彫られているテーブルに目をやる。


そこにはスマホに『ハル』の表示。


「もー……!!

俺様の貴重なヨガタイムに何だよ……ハルの奴め……!!」


ブツブツ言いながら、

「は〜い」と気の抜けた返事で出ると、

遥斗の切羽詰まった声がした。


「ルチアーノくん……!

お願いがあるんです!」


「……何だ?早く言え!」


「明日の翔太のバスケの試合の応援……。

やっぱりルチアーノさん一人じゃ翔太も寂しいかなって……!!」


ルチアーノがウンウンと頷く。


「まあな☆

翔太は良い奴だから、自分からは言い出せないしな〜!


俺様一人じゃ、

コールを55種類、

会場に配るうちわ150個、

電球3000個を飾るのが限界だし☆」


遥斗は

(……嘘だろう!?

マジで試合が台無しだよ……!!)

と叫びたくなるのをぐっと堪える。


「そ、それで……!

ルチアーノさんのズッ友ルシアンくんと一緒はどうかなって閃いて!


ズッ友同士の応援なら、

翔太も心強いかなって!!」


ルチアーノが特大クラッカーをスマホに向かって鳴らす。


その爆音が遥斗の耳に直撃。


ルチアーノの浮かれた声が、

ガンガンと遥斗の耳に響く。


「ハル!

お前にしては良いアイデアだ!!


ルシアンと俺様の応援……!!

白鳥学園は必ずや勝つ……!!」


「……で、ですよね……!!

だからルチアーノさんから誘ってくれませんか?

ルシアンくんを!


俺は初対面同然だし!」


ルチアーノが得意満面で答える。

遥斗には見えないが――


「よしっ!

ズッ友同士で翔太を応援するぜ!


お前は勉強でもしてろ!


あと……くれぐれもルシアンにくっついて寝るなよ!!

ちゃんとパーソナルスペースを守れ!

ルシアンはそういうところ、繊細なんだッ!」


そして、ブチッと切れる通話。


遥斗はなぜ、ルチアーノが、

自分とルシアンが並んで寝るのかを知っているかなど、

どうでも良かった。


(今日こそ乗り切れば……ルシアンくんはいなくなる!!)


その喜びでいっぱいで。





だが、世の中そんなに甘くない――


ルチアーノは遥斗からの通話を切ると、

即座にイレイナがまじないで作り出したスマホで

ロクシーに電話を掛け、一部始終を報告したのだ。


スマホの向こうから、

ロクシーの落ち着き払った声がする。


それはまさに盤面を見据えた軍師の声。


「一ノ瀬遥斗……中々やるじゃない!

でも、ハルは分かってない!


ルシアンがアンジュちゃんを置いて、

あんたと翔太のバスケの応援に行くと思う?」


ルチアーノもフフフと笑う。


「いかにも……!あの愚か者め!

して、ロクシー先生の策は……?」


「……決まってる!

今、メールを送るから、あんたは喋るな!

そのメールの内容で、ルシアンとメッセージでやり取りするのよ!」


ルチアーノが誰もいない空間に

「……ははっ!」と深く頭を下げた。




それから続く、不毛な勉強会も遥斗はもう苦にならなかった。


例え、英語の勉強をラテン語でされても。


アンジュは必ず最後は日本語で、

「どうだ、ハル!理解できたか?」

と訊いて来るので、


「うん、理解できたよ。ありがとうございます、アンジュちゃん」


と答える術を身に付けたし、

ルシアンも遥斗のその一言で納得してくれる。


午後三時になると、

ルシアンが「アンジュさま、休憩しましょう」と言って、

アンジュのためにロイヤルミルクティーを淹れ、

遥斗にも「どうぞ。ご家族と一ノ瀬くんで」と、

ケーキの詰め合わせを差し入れしてくれた。


アンジュには焼き立てのクッキーだ。


アンジュはロイヤルミルクティーと共に、

「甘ーい❤️❤️❤️美味しーい❤️❤️❤️」

と喜んで食べている。


どうやってロイヤルミルクティーを淹れたか、

クッキーを焼いたか、

そんな疑問を頭から追い出す遥斗。


どうせ、あの要塞テントで何かしているに決まっている。


というか、それしか答えはない。


何故なら、ルシアンは遥斗の家のキッチンを使わないのだから。


だが、あのテントで、何をしているのか、

考えるとキリがない。


遥斗は、

学校の側のケーキ屋のロゴが入った箱を安心して家族に渡し、

自分も食べた。


そして5時間に及ぶ勉強が終わり、

夕食になると――

ルシアンはアンジュにフランス料理らしき、

フルコースの食事を給仕しだした。


それだけなら、まだ、いい。


だが、ルシアンは

「アンジュさま共々お世話になっておりますので」

と、

遥斗を含め両親と姉にも料理を振る舞い、給仕したのだ。


高校二年生が作ったとは思えない、完璧な味付け。


しかも――

遥斗の家のキッチンを使わずに……。


両親と姉は目を白黒させ、

遥斗は美味しいと味覚で分かっていても、

"料理の味"など分からなかった。


なぜなら――

誰かの皿が空くたびに、

優雅に次の料理を差し出すルシアンに恐怖しかなくて。


そうして、夕食が終わり、

アンジュのバスタイムになった。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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