表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵令嬢のメイド奴隷~前世の冤罪は、異世界で立場を逆転させる~  作者: 華咲 美月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/22

第一九話 公爵邸への帰還と、最後の完全隷属の儀式

 領主館での数日間の出来事を終え、私たちはヴェルモンド公爵邸へと馬車で戻った。


 馬車の揺れは穏やかだったが、エリカの心はもう、どんな振動にも敏感に反応するようになっていた。


 彼女は馬車の床に膝をつき、首輪の鎖を私の手首に繋いだまま、静かに震えていた。


 黒髪は乱れ、青みがかった瞳は虚ろに揺れ、唇からは途切れ途切れの息が漏れていた。

「もう……アリアナ様……わたし……壊れました……」

  掠れた声で、彼女は初めて自分からそう呟いた。


 抵抗の色は完全に消え、代わりに深い諦めと――静かな服従が混じっていた。


 私は鎖を優しく引いて、彼女の顎を上げさせた。


 涙で濡れた瞳が、私を映す。

  「ええ、壊れたわね、エリカ。でも……壊れたあなたは、私のものよ。完全に」

  公爵邸に到着したのは、夜の帳が完全に下りた頃だった。


 使用人たちが灯りを落とした静かな邸内を、私はエリカを鎖で引いて、私の私室へと連れて行った。


 部屋は燭台の炎だけで照らされ、重厚な天蓋付きのベッドが中央に鎮座している。


 窓からは月光が差し込み、銀色の光が床を優しく染めていた。

 私はエリカをベッドの前に跪かせ、鎖を柱に固定した。


 彼女は膝をついたまま、額を床に押しつけて震えている。

  「最後の儀式よ、エリカ。……あなたが、私に完全に隷属することを、言葉で誓うの」

  私はベッドに腰を下ろし、静かに語りかけた。


 銀髪が月光に輝き、部屋の静寂を優しく包む。

  「言ってみなさい。……『わたしはアリアナ様の永遠の忠実なメイドです。心も身体も、すべてを捧げます』って」

  エリカの唇が震え、涙がぽろぽろと零れる。


 だが、声はもう、迷いがない。

  「……わたしは……アリアナ様の……永遠の忠実なメイドです……心も……身体も……すべてを……捧げます……」

  その言葉を聞いた瞬間、私は彼女の肩を抱き寄せた。


 額に優しく手を置き、静かに頷く。

  「これで……あなたは完全に、私のものよ」

  エリカは涙を浮かべながら、弱々しく頷いた。


 瞳には、もう抵抗の色はなく、ただ深い服従と――穏やかな充足だけが満ちていた。

  私は彼女をベッドに横たえ、縄を緩めて自由にさせる。


 月光がベッドを照らし続け、二人の影が壁に長く伸びる。


 静かな夜の中で、エリカの嗚咽は次第に穏やかな吐息に変わっていった。

  「元の世界で私を追い詰めた罪は、もう許してあげる。でも……あなたは永遠に、私のそばで仕えるのよ」

  エリカは涙を拭い、静かに頷いた。


 これで、復讐は終わった。


 そして、新たな主従の物語が、永遠に始まる。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

よろしければブックマーク登録、広告下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ