表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵令嬢のメイド奴隷~前世の冤罪は、異世界で立場を逆転させる~  作者: 華咲 美月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/22

第十七話 領主館の庭園回廊と、初めての朝露鞭打ち

 朝の回廊での出来事の後、エリカの身体はすでに限界を超えていた。


 膝が擦り切れ、肩を震わせて私の足元に崩れ落ちた。


 首輪の革が首に食い込み、首筋の痕が薄紫色に広がり、黒髪は乱れて顔に張り付き、青みがかった瞳は焦点を失いかけていた。

 私は鎖を引いて彼女を庭園回廊の入り口まで連れ出した。


 朝陽が庭園の薔薇を照らし、露が花弁にきらめく美しい朝だった。


 回廊の柱に細い革鞭が用意されていた。


 黒く艶やかな革が、朝光に冷たく光る。

  「まだ朝の儀式は終わっていないわ、エリカ。……今日は、あなたの身体に、私の痕を刻んであげる」

  エリカの瞳がわずかに見開かれた。


 唇が震え、弱々しい声が漏れる。

  「……鞭……? もう……耐えられない……」

  「耐えられないのがいいのよ。……痛みが、あなたの心を完全に折るまで」

  私は鎖を柱に巻きつけ、エリカを四つん這いのまま背を向けて立たせた。


 腰を高く持ち上げさせ、姿勢を正させる。


 朝陽に照らされた彼女の姿が、静かに浮かぶ。

  私は革鞭を手に取り、ゆっくりと空を切った。


 鋭い音が朝の静寂を裂く。

  「まずは……軽く、ね」

  鞭の先が、エリカの背中に軽く触れた。


 ぴしっ、という乾いた音が響き、薄い赤い線が肌に浮かぶ。

  エリカの身体がびくりと震え、鎖がじゃらりと鳴る。


 私はもう一度、ゆっくりと鞭を振り下ろした。


 今度は少し強く、背中に赤い痕が二本、三本と増えていく。

  ぴしっ、ぴしっ……と、規則的な音が庭園回廊に響く。

  エリカの息が荒くなり、瞳に涙が溜まる。

  「あなたはね、エリカ……元の世界で、私を冤罪で追い詰め、人生を壊した女。今は違うわ。公爵令嬢の前に這い、鞭の痕を刻まれ、過去の罪を償う。この鞭のように、私の忠誠の証を、身体に刻みなさい」

  エリカの身体が小さく震え始めた。


 私は言葉を続け、容赦なく畳み掛けた。

  「あなたはもう、男爵令嬢ではない。私のそばで仕えるだけの存在。毎朝こうして、私の前に這い、鞭の痕を新しく刻み、忠実に仕える。あなたはもう、普通の令嬢には戻れない。私のそばで、忠実に仕える存在に……作り変えられるのよ」

  エリカの唇が震え、喉が詰まる。

  私は鞭を置き、彼女の肩を軽く押さえて顔を上げさせた。

  「言ってみなさい、エリカ。『私はアリアナ様の忠実なメイドです』って」

  エリカは首を激しく振った。


 涙がぽろぽろと零れる。

  「いや……言えない……そんな……」

  「言えなかったら……この鞭をもう一度、強く振り下ろすわよ。朝陽の下で、使用人たちの視線の中で、過去のことを思い出しなさい」

  私は静かに見つめ続けた。


 朝陽が庭園を照らし、薔薇の露がきらめく中、エリカの唇が震え、ついに小さな声が漏れた。

  「……わたしは……アリアナ様の……忠実な……メイド……です……」

  その瞬間、エリカの肩が落ち、涙が石畳に落ちた。


 私はゆっくりと鎖を緩め始め、彼女の額に優しく手を置いた。

  「いい子ね、エリカ。……これが、あなたの新しい朝の儀式よ。毎朝、こうして鞭の痕を刻み、皆に見られながら、私に忠誠を誓うの」

  朝陽が庭園回廊を優しく照らし続け、エリカの嗚咽が静かに響いていた。


 彼女の心は、まだ「痛い……でも……」と小さく葛藤している。


 だが、鞭の痕と朝の公開的な場で立場を認めさせられた屈辱を――もう、忘れられなくなっていた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

よろしければブックマーク登録、広告下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ