第十四話 領主館の浴場と、初めての湯船水中調教
地下牢での出来事の後、夜が更けても私はエリカを休ませなかった。
鉄枷の冷たさと痕が彼女の肌に残り、身体は震えが止まらず、膝が折れそうになるたび鎖がじゃらりと鳴った。
私は彼女を鎖で引きずるようにして、領主館の奥にある私専用の浴場へと連れて行った。
浴場は石造りの広い部屋で、中央に大きな円形の湯船が掘られ、湯気が立ち上り、壁に嵌められた燭台の炎が水面に揺らめく。
湯は熱く、甘いハーブの香りが混じり、湯船の縁には滑らかな大理石が敷かれている。
外の夜風は届かず、湿った熱気が肌を包み、息苦しいほどの密室感があった。
私はエリカの鎖を湯船の縁に固定し、彼女を湯の中に沈めた。
熱い湯が冷えた身体に触れ、エリカの肌が一瞬で赤く染まる。
首輪だけを残し、両手は背中で縄で縛られ、足は湯船の底に膝をつかせて座らせる。
湯が胸まで浸かり、彼女の息が熱い湯気に荒くなる。
エリカの唇が震え、掠れた声が漏れた。
「……熱い……身体が……溶けそう……アリアナ様……もう……」
「溶けていいわ、エリカ。……ここでは誰も助けに来ない。あなたはただ、湯の中で私と向き合うだけ」
私は湯船にゆっくりと入り、エリカの背後に回った。
自分のドレスを脱ぎ、湯着に着替えた姿で彼女に近づく。
銀髪が湿って背中に張り付き、湯気が二人の身体を包む。
私はエリカの肩を抱き、耳元に静かに語りかけた。
「まずは……湯の中で、過去を思い出しなさい」
熱い湯が肌を包み、湯気が視界をぼやけさせる。
「あなたはね、エリカ……元の世界で、私を冤罪で追い詰め、人生を壊した女。今は違うわ。公爵令嬢の前に縛られ、逃げられない。この熱い湯のように、過去の罪があなたを包み、逃れられないのよ」
エリカの息が荒くなり、瞳に涙が溜まる。
私は言葉を続け、容赦なく畳み掛けた。
「あなたはもう、男爵令嬢ではない。私のそばで仕えるだけの存在。毎日こうして、私の前に縛られ、熱い湯に浸かり、過去の罪を償う。あなたはもう、普通の令嬢には戻れない。私のそばで、忠実に仕える存在に……作り変えられるのよ」
エリカの身体が小さく震え始めた。
瞳が虚ろになり、唇が震える。
私は湯の中で彼女の肩を軽く押さえ、静かに告げた。
「言ってみなさい、エリカ。『私はアリアナ様の忠実なメイドです』って」
エリカは首を激しく振った。
涙がぽろぽろと湯面に落ちる。
「いや……言えない……そんな……」
「言えなかったら……この湯の中で朝まで、過去のことを思い出し続けるわよ。熱さに耐えながら、ゆっくりと」
私は静かに見つめ続けた。
湯気が二人の身体を包み、燭台の炎が水面に揺らめく。
エリカの唇が震え、ついに小さな声が漏れた。
「……わたしは……アリアナ様の……忠実な……メイド……です……」
その瞬間、エリカの肩が落ち、涙が湯に溶けた。
私はゆっくりと縄を緩め始め、彼女の額に優しく手を置いた。
「いい子ね、エリカ。……少しずつ、あなたの心も、私のものになっていくわ」
湯船の熱気が、静かに続き、エリカの嗚咽を優しく溶かしていった。
彼女の心は、まだ「溶けてしまう」と小さく怯えている。
だが、熱い湯に浸かりながら過去の罪を認めさせられた屈辱を――もう、忘れられなくなっていた。
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