第十一話 馬車の揺れと、初めての移動中陵辱
午後の陽光がヴェルモンド公爵領の街道を黄金色に染めていた。
公爵家の黒塗りの馬車が、馬の蹄の音を響かせてゆっくりと進む。
車内は厚い絹のクッションと絨毯で覆われ、外の喧騒を遮断するように静かだった。
窓のカーテンは半分閉められ、差し込む光が細い筋となって床に落ちている。
私は馬車の後部座席に優雅に腰を下ろし、足を組んでいた。
銀髪が肩に流れ、ドレスの裾が膝まで滑り落ちる。
対面の座席には、エリカが跪かされていた。
彼女の両手は背中で革の枷で繋がれ、首輪から伸びた短い鎖が私の手首に巻きつけられている。
温室での出来事の痕が、彼女の肌に薄く残っている。
膝立ちの姿勢で、馬車の揺れに合わせて身体が前後に揺れるたび、鎖がじゃらりと小さな音を立てる。
エリカの瞳は虚ろで、唇が震え、掠れた息が漏れていた。
「……外……走ってる……馬車の中で……こんな……」
「ええ、そうよ。今日は領内の視察に出かけるの。……あなたも一緒に、ね」
私は鎖を軽く引いた。
エリカの身体が前に傾き、膝が滑って私の膝に額を押しつける。
「動けないようにしてあげたわ。……馬車の揺れに任せて、過去のことを思い出しなさい」
私は静かに語りかけた。
馬車の揺れが、外の風景をゆっくりと流していく。
「あなたはね、エリカ……元の世界で、私を冤罪で追い詰め、人生を壊した女。生意気で、傲慢で、弱い者を踏みつけるのが好きだった。でも今は違うわ。公爵令嬢の前に跪き、鎖に繋がれ、馬車の揺れに身を任せるしかない」
エリカの息が荒くなり、瞳に涙が溜まる。
私は言葉を続け、容赦なく畳み掛けた。
「あなたはもう、男爵令嬢ではない。私のそばで仕えるだけの存在。移動中でも、こうして私の前に縛られ、過去の罪を償う。あなたはもう、普通の令嬢には戻れない。私のそばで、忠実に仕える存在に……作り変えられるのよ」
エリカの身体が小さく震え始めた。
瞳が虚ろになり、唇が震える。
私は鎖の結び目を指でなぞりながら、静かに告げた。
「言ってみなさい、エリカ。『私はアリアナ様の忠実なメイドです』って」
エリカは首を激しく振った。
涙がぽろぽろと零れる。
「いや……言えない……そんな……」
「言えなかったら……この馬車が止まるまで、鎖を緩めないわよ。揺れに合わせて、過去のことを思い出し続ける?」
私は静かに見つめ続けた。
馬車の車輪が石畳を叩く音が、静かに続き、外の風景が流れていく。
エリカの唇が震え、ついに小さな声が漏れた。
「……わたしは……アリアナ様の……忠実な……メイド……です……」
その瞬間、エリカの肩が落ち、涙が座席に落ちた。
私はゆっくりと鎖を緩め始め、彼女の額に優しく手を置いた。
「いい子ね、エリカ。……少しずつ、あなたの心も、私のものになっていくわ」
馬車の揺れが続き、外の風景がゆっくりと流れていく。
私は彼女の髪を優しく撫で、囁いた。
「これから、もっと遠くへ……もっと広い領地へ連れて行ってあげる。どこへ行っても、あなたは私のそばで仕えるしかないのよ」
馬車の車輪が石畳を叩く音が、静かに続き、エリカの嗚咽を優しく包み込んだ。
彼女の心は、まだ「外に聞こえてる……」と小さく怯えている。
だが、馬車の揺れと鎖の感触を、逃げられない運命として――もう、忘れられなくなっていた。
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