第十話 温室の花弁と、初めての花びら凌辱
朝霧が晴れた後の庭園は、柔らかな陽光に満ちていた。
迷路での出来事の後、エリカは私の腕に支えられるようにして、温室へと運ばれた。
彼女の身体はまだ震えが止まらず、膝は弱く折れ曲がり、首輪の革は汗で湿り、首筋の痕が薄紫色に浮かび上がっていた。
温室の扉を開けると、湿った熱気と花の甘い香りが一気に押し寄せた。
ガラス越しに差し込む陽光が、色とりどりの花々を照らし、蘭や薔薇、百合が咲き乱れる。
中央に置かれた広い石の台座の上には、柔らかな苔と散らばった花弁が敷き詰められ、まるで祭壇のように静かに佇んでいた。
私はエリカをその台座に横たえた。
彼女の両手を頭上に引き上げ、温室の柱に張られた細い蔓で手首を緩く縛る。
足は軽く開かせ、足首も蔓で固定した。
花弁の絨毯に沈み込む彼女の姿が、陽光に優しく照らされる。
エリカの瞳が、怯えと諦めで揺れた。
唇が震え、掠れた声が温室の湿気に溶ける。
「……ここで……また……? もう……身体が……持たない……」
「持たない? ふふ……あなたはもう、私のそばで耐え続けるしかないのよ、エリカ」
私は台座の傍らに膝をつき、彼女の頰を優しく撫でた。
指先で涙を拭い、静かに語りかける。
「今日は……花と一緒に、あなたの過去を清めてあげるわ」
私は傍らの薔薇の枝から、一輪の深紅の薔薇を摘んだ。
棘が鋭く光るそれを、ゆっくりとエリカの頰に近づける。
花弁の柔らかな部分で、肌を優しく撫でる。
棘がわずかに肌をかすめ、微かな痛みが走る。
エリカの息が震え、瞳に涙が溜まる。
私は薔薇の花弁を彼女の額に押しつけ、ゆっくりと円を描くように滑らせる。
柔らかな花びらが肌を包み、棘が時折軽く触れる。
痛みと美しさが混じり合い、エリカの喉から小さな息が漏れる。
「見てごらん、エリカ。……この薔薇のように、美しくも棘があるわ。
元の世界で、あなたは私に棘を刺した。
今は違う。
花に囲まれ、私の前に縛られ、過去の罪を思い出すしかない」
エリカの息が荒くなり、瞳に涙が溜まる。
私は言葉を続け、容赦なく畳み掛けた。
「あなたはもう、男爵令嬢ではない。私のそばで仕えるだけの存在。毎日こうして、花々に囲まれ、私の前に縛られ、過去の罪を償う。あなたはもう、普通の令嬢には戻れない。私のそばで、忠実に仕える存在に……作り変えられるのよ」
エリカの身体が小さく震え始めた。
瞳が虚ろになり、唇が震える。
私は薔薇を彼女の手に握らせ、静かに告げた。
「言ってみなさい、エリカ。『私はアリアナ様の忠実なメイドです』って」
エリカは首を激しく振った。
涙がぽろぽろと零れる。
「いや……言えない……そんな……」
「言えなかったら……この蔓を解かないわよ。花々に囲まれたまま、過去のことを思い出し続ける?」
私は静かに見つめ続けた。
エリカの唇が震え、ついに小さな声が漏れた。
「……わたしは……アリアナ様の……忠実な……メイド……です……」
その瞬間、エリカの肩が落ち、涙が花弁に落ちた。
私はゆっくりと蔓を緩め始め、彼女の額に優しく手を置いた。
「いい子ね、エリカ。……少しずつ、あなたの心も、私のものになっていくわ」
温室の花々が、静かに揺れる。
陽光がガラス越しに差し込み、二人の姿を優しく照らした。
私は彼女の髪を優しく撫で、囁いた。
「これから、もっと美しい花で……もっと深く、あなたの罪を清めていくわ」
温室の空気が、甘い花の香りとエリカの嗚咽で満ちていた。
彼女の心は、まだ「こんなの耐えられない」と小さく呟いている。
だが、花の美しさと棘の痛みを、過去の罪を思い起こさせる象徴として――もう、忘れられなくなっていた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
よろしければブックマーク登録、広告下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします。




