2話
入学式という「儀式」が終わり、生徒たちは教室へと戻っていく。
パルマ学院の校舎は、古城を改装した重厚な石造りだ。廊下の窓は小さく、ひんやりとした空気の中、壁に飾られた歴代学長の肖像画が等間隔に並んでいる。
割り当てられた教室に入った途端、少年少女たちのざわめきが始まる。
黒板には「レクリエーション活動」と大きな文字がある。二時間程度の自由な交流を経て、初日は解散。いかにも貴族の子弟が集まる学院らしい、緩やかな幕開けだ。
(……美沙ちゃんに似ていた。肩幅は広く、顔も男性らしくなっていたが、雰囲気はあの時のままだ)
五郎が窓際の席で頬杖をついていると、不意に正面から声が掛かる。
「お手柄だったな、マリーゴールド。あの場面で動けるなんて、大した度胸だぜ」
顔を上げると、そこには細身で、いかにも軽薄そうな笑みを浮かべた少年が立っていた。
「……とっさに体が動いただけ」
少年は向かいの席に腰を下ろす。
「俺の名前はザックだ。王都の三番通りに屋敷を構える男爵家の次男坊さ。好きなことは楽しいこと全般、嫌いなことは争いごと。特に血を見るのは大嫌いでね。……今一番ハマってるのはポーカーなんだが、ポーカーって知ってるか?」
「ルールだけは一応、知っている」
「へえ! そりゃあすごいな。最近流行り始めたばかりのカードゲームだから、分かる奴が少ないんだ。今度一緒にやろうぜ」
明るくて軽薄な喋り方。しかし五郎はその奥に何かを感じていた。
「ところでマリーゴールド。何かいい情報を持ってないか?」
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