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サバiVer.  作者: 松田野 圭
3/3

同類

長良華雅(ながらはなまさ)

本作の主人公。発達障害を理由に自衛隊を退職した過去を持つ25歳の青年。

現在は障害者雇用で勤務している。

基本的に仕事ができない為、職場では空気のように扱われる。

好きなものは若くてカワイイ女の子。

発達障害というコンプレックスに苛まれながら生きている。


香取みずき(かとりみずき)

華雅の高校時代の同級生。大学受験失敗を期に完全に引きこもるようになったニート。

現在は1日の大半をネットサーフィンで過ごす日々を送っている。

ゲームや運転といった運動能力を要する行動が苦手なため、日常生活の過ごし方も限られる。

好きなものはオカルト全般。

社会の成績だけは良好だったため、それを武器に生きている。

暑さも和らいだ秋晴れの清々しい空の下、総合公園の広場にはたくさんの露店が並んでいた。たこ焼き、焼きそば、フランクフルトは勿論。ラーメン、和菓子屋などの専門店、木工品、ガラス細工、農機具など様々な店が出店していた。

華雅は約10年ぶりにこの物産展に足を運んだ。

「はぇ〜、久しぶりに来たけどなんか変わってないなぁ〜」

華雅の地元では一大イベントであった為、物価高や高齢化を物ともせず賑わっていた。

(流石に高くていろいろ買う気は起きんけど、昼飯とお土産は確保してぇな)

華雅はそう思うと露店でたこ焼きを買い、美味しそうな匂いが漂ってくるコロッケ店の列に並んだ。そして、もう少しで自分の番というところでふと見覚えのある人物が目に止まった。

(んん?アレ?みずきじゃねぇか?)

少し黒ずんだ白のスニーカーにベージュのチノパン、青と黒基調のチェック柄シャツに黒縁メガネを掛け、背中には黒いリュックを背負った如何にもヲタクの様な見た目の若い男…

高校時代の同級生、香取みずきの姿だった。

「ハイ、ありがとうございま〜す」

露店のおばちゃんからコロッケとおつりを受け取ると早速みずきの姿を追う。奴は広場の端っこでコーラを飲んでいた。

「おお、みずき?みずきじゃん!久しぶり!」

「あぁ長良くんかー…久しぶりだね…」

「いつも通り華雅でいいよ、何?今日1人?なんで来てるよ?」

「あぁ…久しぶりに外出るのもいいかなって…」

なんだか自身なさげに答えてばかりいるので華雅は少し気になった。

「ん?みずきって今何してんの?」

_人人人人人人人人人人人人人人_

> みずきって今何してんの? <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

「…………………」

知人から一番聞かれたく無かった質問をされ膝から崩れ落ち、地面に手を着くみずき。その様子を見て状況を察した華雅だった。

「お、おぅ、なんとな〜く分かったぞ!警備員ってトコだろ!」

必死に励まそうとする華雅はこう続けた。

「ところで、警備してんのは自宅?自室?」

少し我に帰ったみずきは立ち上がりながら小さい声で呟いた。

「じ、自宅を〜…」

「自宅か!自宅のほうか!いいじゃ〜ん最近何かと物騒だし、すげぇ立派だと思うよ!」

「………」

まだ元気が無い様子のみずきに華雅は質問を続けた。

「自宅を警備する前は何やってたよ?何かの勉強?バイトか何か?」

「勉強は…何も…」

「あぁ進学…結局諦めたのね…」

「………」

「まあいいと思うよ〜!学びだけが全てじゃねぇから!後々仕事さえできりゃいいんだよ」

「………」

華雅の記憶ではみずきは大学受験で第一志望に落ち、滑り止めにも落ちていた。なので、一先ずは浪人して再受験なりアルバイトなりして後は適当にやり過ごすだろうと思い込んでいた。

「って事はバイトか何かしてたって感じか」

「………」

反応が無いみずきに華雅は畳み掛けた。

「なあ流石に、バイトぐらいはしてただろ?何やってたよ?」

「………」

さっきから黙り込んでいるみずきに華雅は核心を突く質問をした。

「まさかお前…一度も働いたこと無いなんてないよな…」

_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_

> 一度も働いたこと無いなんてないよな… <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

みずきはまた膝から崩れ落ち、地面に手を着いた。その様子を再び見た華雅は全てを察した。

「お、おおう…そうかそうか!まあいいじゃん!仕事だって全てじゃねぇんだから!な」

口ではこのように言うが内心はだいぶ違っていた。

(マジかよ…コイツガチもんのニートじゃねぇかよ…まさかこんなtheNEETが俺の同級生にいるとかヤベェな…)

そうは思うがなんだか放っとけないと感じた華雅だった。

「ん、そういやお前さっき久しぶりに外でたみたいなこと言ってなかったっけ?」

「あぁ…どんな様子かなーって、たまには行ってみるのもいいかなーって思って来たらコレだよ」

「あ、そっか、じゃあ何?今日車乗って来た感じ?」

「いや、今日はチャリで…」

「チャリー!?」

みずきの自宅から会場までは10km以上ある。それに道中アップダウンも多い。学生でもないみずきからしたらだいぶ遠い距離だった。

「お前車運転しねぇの?」

「免許持ってないから…」

色々と過酷な環境下にいることが分かった。

「ま、まぁ分かった。今度一緒にメシでも行こう。俺から誘ったんだし、適当に安いもんでも奢ってやるよ」

「えぇ…いいの?」

「ああ、色々と聞きたい話が多いからな、日を改めてだ」

「わ、分かった…」

「お前RIME友達追加してたっけな?」

「たぶんしてない」

「んじゃコレ、俺のQRな」

「うん」

連絡先を交換した二人は後日外食することになった。

「んじゃな!気を付けて帰れよ」

「ああ、ありがとね」

みずきは学生時代から使っているであろう銀チャリに乗って帰っていった。遠ざかるみずきの姿を眺めながら華雅はこう呟いた。

「このコロッケとたこ焼き…美味しくは食えれねぇな」

同級生のまぁまぁ悲惨な現在を知った後だ。ショックでメシが不味くなるのも仕方無かった。

段々と主要キャラの壮絶な過去が明らかになっていきます。

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