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第九話 開示

波来のお題は舞の急所を突いた。


「なんで黙ってるの? ねえ、ねえ」


そばにきた波来に人差し指で背中を小突かれている舞は視線を泳がせながら「えーっと」とつぶやき続けている。その様子にいじけていた光も「おーい、大丈夫かー」と心配して声をかける。

フリーズしてしまった舞にかわり踊華が


「もう勘弁してあげたら。いくらお友達でも素直に好きなところを言うのは恥ずかしいから」


とフォローするが波来は納得せず。


「波来の時だけスキップするのはずるいよ。他の人には言わないから教えてよー」


「他の人に言わないのは当たり前だろ」


「光は黙っててよ」


「光言うなちび」


「光は光でしょ!」


光がつっこみをいれ気をそらそうとする。しかしまた喧嘩を始めた二人に舞は観念したように返答を約束した。


「ちゃんと言うから。絶対他の人には言わないでよ」


「分かってるってーお姉ちゃん♪」


波来は待ちきれない様子で舞の口元に耳を近づける。舞は波来にだけ聞こえるようにぽしょぽしょとつぶやく。もちろん外野からは何を言っているかはわからない。

それでも舞から発せられる熱が空気を伝ってこちらにも流れてきて内側から熱くなった。

何も聞こえていないのに心臓が鳴りだしたのを深呼吸でおさえつけていると、波来は答えに対するリアクションをしていた。


「なーんだ、普通だね」


「勇気を出して言ったのに!」


「何で怒ってるのお姉ちゃん? 普通はいいことだよ」


「可愛く言ってもだめだからね」


今度は舞と波来がじゃれ始めた。舞が逃げる波来を追いかけている。


「年甲斐もなくはしゃいでるな」


「舞姉さん相当浮かれてる。お友達を連れてきたのなんて数年ぶりだし」


「え、そうなの?」


光と踊華が何気なくつぶやいたことに思わず反応してしまった。二人はゆっくりこちらを振り返る。まだ話したことのない相手なので緊張する。でも光は気にすることなく返答してくれた。


「気になりますか?」


「まあ、ね」


「舞ねえはああ見えてあんまり友達いないんですよ。家に友達呼んだのなんて中学生の時が最後で。なのに急に友達連れてくるなんて言うから驚いて。どんな人が来るのかと思ってましたけど・・・・・・」


「思ってましたけど?」


「まあ変な人じゃなくて良かったですよ」


光は何かを懐かしむように舞を眺める。きっと彼女にしか見えていない景色があるのだろう。そこに割り込まないようにそれ以上訊くのはやめた。

しばらくして舞は追いかけるのに疲れ降参した。波来はまだ元気があり余っているようで息一つ切らさず余裕だ。

場が落ち着いたところでゲームは最後の光の番になった。


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