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一方その頃令嬢達は

副題変えましたー

「皆様、ようこそお越しくださいました」

「卒業式以来ですね!ナタリィ様!」

「お土産に、ジリーヌ国のクッキーをお持ちしましたわ」

「ワッツ様がいらしていたお国ですね」

「ええ。送ってくださったの。とても美味しいんです。お茶受けに召し上がりません?」


ここはナタリィ嬢の実家、タイソン侯爵家のお屋敷にあるサンルーム。

夏の日差しはサンシェードで柔らかいものにして、4人でお茶会を楽しんでいる。


「アルフレア様の護衛にオニールんが付いていったのよ。8月いっぱいサージュ領にいるんですって」


サイファが不機嫌そうに頬を膨らませれば、ナタリィもちょっとだけ眉を顰めた。


「アルフレア様は、なにか大事な用があるらしいの。オニール様といっしょに、リーンブルグ様も連れていったもの」


フラーウもティーカップのお茶を銀の匙でぐるぐる回しながらぷぅーと頬を膨らませる。18歳の娘のすることではないが、ロリ、いや童顔のせいか可愛らしく見えてしまう。


「一緒に魔法の勉強しようって言ってたのにー。アルフレア様許すまじ」

「ふふ。ごめんなさいね。フラーウ様」


モーリンもふぅと小さくため息をつく・・


「ワッツ様はお仕事でさらに1ヶ月前に出立していますから・・合計すると、2ヶ月ほっておかれてるんです・・お土産で誤魔化されませんから」

「そうよそうよ!とっちめてやりましょう!」


フラーウはだんだん目が吊り上がってきた。怒りもうすぐマックスといったところか。

この4人の中で一番早く結婚式を挙げるのはナタリィ嬢である。来年の初夏に、大神殿にて式を、国民へのお披露目を王城で、その後王都は出店がメイン道路に並び、大広場ではダンスや手品師に道化師が賑やかしで練り歩き、お祭り騒ぎとなる。4交代で警護に当たるので、オニールも2陣・・王城のお披露目の時に護衛に入る予定である。


「もうすぐ結婚するのに、婚約者をほっておくなんて!!今が一番楽しい結婚前だというのに」


サイファもナタリィが可哀想だと思うのだ。今ならバカンスに海や湖畔に赴いて、二人きりでラブラブデートでしょう!

ところがナタリィはちょっとは不満もあるが・・少し思案げに俯いて話す。


「わたくし・・4人が()()()()()

「「「え?」」」


ナタリィの言う意味に・・3人は頭から『??』を生やした。


「覚えてますかしら・・卒業前、3月初めでしたかしら・・王都で大地震が起きたこと」


ナタリィは友人の顔をぐるりと見渡した。

彼女らもうんうんと頷く。


「たしか3月ーー・・卒業式前だったよね。早朝・・日の出くらいだったかな?」

「ええ。ずしん、ずしん・・って音がすごかったけれど、あれ地震でしたの?」

「てっきり軍事練習かと思ってたわ」

「わたくし・・あれは・・アルフレア様たちが・・何かと闘っている音だと思っているのです」

「「「ええ?なにと?」」」


思いもしない言葉に、フラーウも、モーリンも、サイファも目を見開いてナタリィをガン見した。


「夏休みが終わった頃だったと思うのですけど、ギルドで任務を受ける回数が増えたでしょう?アルフレア様と偶然街でお見掛けしたとき、泥で汚れて、あちこち服が裂けて血が滲んでいて・・」

「ええ?アルフレア様が?あんなにお強いのに!」

「たしか2月、だったかしら・・いつのまにか、アルフレア様はギルドランクがBになっていたの。アルフレア様の部屋に行った時、テーブルに置いてあったギルドタグを見てしまったのよ」

「B?」

「うそっ・・!どれだけ功績を上げたの?」

「多分、あなた方の婚約者たちも、同じランクになっていたと思うわ。4人でギルドの依頼を受けていたもの」

「「「ええええーーっ?!」」」

「4人でなにか・・()()と戦う為に、強くなる必要があったのではないかしら」


ナタリィの言葉に、3人の令嬢も婚約者たちのあの頃の動向を思い出し・・不安げにナタリィを見つめる。


「だから・・心配なの。もしかしたら・・なにか・・危険な事件に巻き込まれているのではないかしら、って」


4人はしん・・と黙ってしまった。

先程までプリプリと怒っていた令嬢たちは、婚約者が何かとてつもない事に巻き込まれているかもと思うと、いても立ってもいられなくなっていた。


「我慢できないっ!!わたし、オニールんのところに行くっ!!」


行動的なサイファが立ち上がり、声を上げると、


「私も!リーン様に会うっ!」

「わたしも!ワッツ様に『誤魔化されません』って言っちゃいます!」

「わたくしも!王太子なんですから、無茶はお止めくださいとお諌めします!」


次々と声を上げるのだった。4人は顔を見合わせ『うん!』と頷く。


いざ、サージュ領へ!



まずは再会したら・・

春の『地震』の件を、詳しく白状してもらいますわよ・・4人の目がキランと光るのだった。


こうしてお嬢様方はそれぞれ家に戻り、急いで旅支度を始めるのだった・・




続く>>


次話更新してまっせー

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