『2』始まる!
聞きなさい
再び厄災がこの世界に訪れます
備えるのです
世界を守る備えを
そして戦うのです
「「「「うえええ?!」」」」
前世では男子高校生、現世では王子&高位貴族・・
4人は同じ夢?啓示?
夢を見て思わず飛び起きたのだった・・・
「「「「なんじゃこれーー?!!」」」」
卒業式から3ヶ月。今は初夏。
アルフレアは王太子として忙しくしていた。
リーンブルグは魔法学校に入学。
ワッツは実家の商売を引き継いだ。
オニールは王城に騎士として勤務。
アルフレアの招集に、友人たちも王城に赴いた。
「ちょっとぉ男子ぃ〜〜!!あんた達も見たぁ〜〜?」
アルフレアはぐるりと友人たちを見渡した。
「見たで」
とリーンブルグ。
「なんやあれー」
ワッツはブスッとした顔で吐き捨てるように呟く。
「女神だったな」
彼らが転生する時に『ちら』と声を聞いた・・その声にそっくりだったとオニールは言う。
「さすがオニールんやな!!」
「俺すっかり忘れてたわー」
「女神どういうこっちゃ?」
「そらもーな。あれだ」
オニールは分かってるでと言う顔でニヤリとした。
「「「なになになにぃ〜?教えてオニールーん!!!」」」
友人たちは目をキラキラさせてオニールの傍に寄る。
「あれ、またドラゴンとか倒せって事じゃね?俺たち4人で倒したからまたやれって。ドラゴンじゃ無いかもしれないけどな」
4人はキュピ〜〜ン!それだ!!そう思いました!!
「うわー、便利に使われちゃうん?私、王太子やど?どういうこっちゃねーん!」
「俺も学校あるんだけどねぇ・・ローズガーデンよりもみっちり授業あるんだよなぁ」
「おれも。今度隣国に商売に行くんだよ・・今回は宝石を取引するんだ」
「オレは王城にいるけど勤務中だもんなぁ。一番新米だから、休みは申請しづらい」
4人はお互いの顔を見てーー
はあああああ〜〜〜・・と大きな溜息を吐いた。
「多分」
またオニールがぼそっと呟く。
「これさぁ・・2、だよな」
「「「2ぃ〜〜?」」」
「ローズガーデンゲートの続編だよ」
「「「えーーーーー!!!」」」
そりゃ驚くわ。
4人はローズガーデンゲートを購入して3日しかプレイしていない。
それが『2』?
「でもそれなら新たな厄災の辻褄も合うかぁ・・『2』のことなんかしらねーぞぉ?」
アルフレアが困惑顔だ。皆も・・だがオニールはチッチッ、と指をワイパーのように振る。この世界にはワイパーは無いが。何かを思いついたらしい。
「元聖女さんがいるじゃん。あの子に聞くといいんじゃ?」
「「「それや!!やっぱお前がヒーローやぁ!!」」
と言う流れで、隣国へ商売に行くワッツが通過途中にある勇者の領地に寄り、元聖女に会うことにしたのだった。
行く前に先触れを送り、『2』の話を聞く事にしたわけだ。
元聖女『アレ』に転生した不幸の少女は、ここでは『ダイヤ』と言う名で暮らしていた。
前世の苗字が『大矢』だったからだそうだ・・
「ダイヤ、どうだ?今の暮らしは」
「近所の人も親切で、まあまあいい感じに暮らしています。ほんと、感謝してます」
あのままだったら牢屋に連れ戻され、今頃は処刑されてだろう。
ゲーム終了してから転生って酷えよな・・ワッツも同情を禁じ得ない。
「で、『2』ですよね・・あたし、死んだのが・・『2』を買いに店に行って、店が火事になって・・だから手にもしてないんです」
「ひえ・・御愁傷様だったな。『2』の内容は少しでも知らないか?」
ダイヤはう〜〜んと腕を組んで考えるポーズ・・
「たしか・・雑誌で書かれてたのはぁ・・『前作よりもアクション重視!今度は学園を飛び出し、国を跨いで大活躍!冒険者となって仲間を集め、厄災に立ち向かえ!そして素敵な恋も成就!欲張りRPG!』って感じだったんです」
「へえ。学園ものじゃなかったんだ」
「はい。だから楽しみだったのに・・死んじゃって・・・しかも、ヒロインなのに、ゲーム終了転生!さらに極悪人で、処刑間近!!あたしが何をしたって言うのよぉ〜〜〜うえええ・・・」
ぐすぐす泣き出したが、彼だってそんな事態になれば泣く。
その後も彼女の情報を聞く・・
ワッツは宿屋に戻り、国で待つ友人たちにゲーム情報を報告書にして送るのだった・・超特急便で!!
『2』の内容は・・
ヒロインの名前は『アデレード』、あだ名は『アド』、ボーイッシュだけど髪はペパーミントカラーでロング。
でもおしゃれ?なのか、ちょくちょく髪を魔法で染め変えているからペパーミントカラーとは限らないそうだ。変装をしてクエストを受ける事もあるとか。なかなかアクティヴなヒロインだ。
前回は『男の子も女の子も楽しめる』とか謳っていたが、今回はゲーム性を重視したようだ。
なので、男の主人公枠が無くなっている。このヒロインのお相手枠は5人+α人。でも隠しキャラ情報を知る前にダイヤは死んだので詳しくは不明。
でも5人の名前と概要は記憶していた。
『2』のヒロインのお相手候補は次の彼らだ。
マースエル 18歳 冒険者Cランク 赤毛で青目 177センチ 気性が荒いが面倒見が良い
エドレス 19歳 冒険者Bランク 黒毛で黒目 180センチ 魔法使いで物静か
フィールド 17歳 冒険者初心者 金髪で赤目 169センチ 器用ですばしっこい 甘えん坊
ボゥ・エレ 20歳 ギルドの職員&指導員 茶髪で金目 188センチ 沈着冷静 新米冒険者を指導する
カーレヌ 20代前半? 謎の人 銀髪で碧眼 195センチ いつもニヤニヤ笑っている
隠しキャラは人数も不明・・
ゲームスタートは、この勇者の領地の都『アウン』だそうだ。
どういうわけか、ダイヤはこの街にいる。
なにか繋がりがあるのか?
いやいや、なにもない、はずだ。
あのまま王都にいたら、牢屋に逆戻りで処刑だったから何処かへ隠れるべきだと。
丁度話をしていた勇者を思い出して、その領地に行くといいと提案した。
この間見た夢は、元聖女を見送ってから3ヶ月も経っている。繋がりは・・無いはずだ。
「まあ!考えたり閃いたりするのはオニールんの仕事という事で!」
翌日隣国へと向かうワッツだった。
さて、報告書を受け取った友人たちは会議室・・・以前は学生だったので、図書館2階の一室を使用していたが、リーンブルグの家をこれからは使用する事になる。王城からも近いからだ。
「読んだ?」
「うん」
「へー。『2』はシステム変えたんだ」
「あのゲームシステム、不評だったんだろな。男の子も女の子も楽しめる、ってのが」
「きっと『悪役令嬢エンド』が無かったのを文句言った奴がいたと思うぞ」
無駄口を言いつつ再度報告書を読み・・・
「さて、まずはこの男キャラを発見する事とする。多分彼らのそばに、ヒロインはいるはずだからな」
「おお!アルフレア冴えてるぅ〜」
「もうすぐ夏休みだろ?リーンブルグは現地に行ってもらう」
「あーはいはいそうなると思ってた」
「オニールんは・・私の護衛として、一緒に来てもらう。元々勇者の領地には行く予定があったからな」
「了解〜。じゃあ現地で」
こうして3人は8月に勇者の領地へ、ワッツも商用を済ませて8月に合流する。
できれば8月の間に解決したい。
短い間ながらも『2』の世界へ・・
4人は世界を救えるだろうか?
続く>>




