転生転移の女神の呟き
続きです。ぼちぼちいきます・・
「アルフ様ぁーーー〜〜、ぁ?・・
ぷつ、と変な音がした、ような・・?
と思ったら、アレの目の前が真っ暗になった。
(あなたはせっかく持って生まれた力を正しく使わなかった)
不意に、どこからか女性の声が聞こえる。
(正しく使えば・・あなたは聖女になり、この世界を安定させる事が出来た)
何を言っているのか、アレには理解出来なかった。
もうアレは聖なる力を歪め、私利私欲で使っていたから。
(もうあなたはいりません)
えへ?
アレはなんか間抜けな声を漏らすが、自分の声が聞こえなかったことに気付かなかった。
まだアレは女性の言う意味がわからなかった。
ここは真っ暗だ。
浮いているのか立っているのかさえ・・いや。
手を動かそうとして、体が動かない?足も動かしたが・・
体。
瞬きをしたつもりだが、その微々たる振動も感じない。というか、眼球が動かない・・
違う。
体が、無い。
真っ暗な世界に、アレの・・魂?思考だけが存在している?
なに、それ。なにこれ。
なに、なんなの、なんだ、なん、な・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
叫んだ。
奇声を発したつもりだが、聞こえなかった。
だって口が無いから。
耳も無いから聞こえるはずがない。
女性の声は聞こえた。
違う・・感じた?聞こえたのではない・・伝達?
ねえ、どういうことなの?
あたし、どうなってるの?どうなっちゃったの?
教えて教えて教えてーーー・・
アレは聞きたかった。今の自分の有様を。
だが。
待てども待てども、女性は何も語り掛けてはこなかった。
え?ちょっと・・
まさか。
あたしを置いてどこかに行っちゃった、の?
いらないって言った。
あたしを、あたしを、ここに置き去りにしたの?
こんな、真っ暗で誰もいない、真の暗黒、そして静寂、いや『ミュート』。音源を切ったような。
完全なる無音。そこに、たったひとり・・ひとり?いまのあたし、もしかして・・
手も足も、目もない、口も耳も・・そもそも生きてるの?
う、そっ・・・!
あんたはだれなの!!
あたしをどうするつもりなの!!
こんな、こんな・・真っ暗にひとりにして。
出して!
出して、出して・・
出せやぁあああ!!!!
アレを『暗黒の間』に置いて来た女性はふうとため息をついた。
アレを死なせるわけにはいかない。
輪廻転生し、アレがまた世に出れば、混乱が起きるだろう。傾国の相が出ている。
永遠にここで幽閉・・いや、禁錮。
永らく『暗黒の間』にいる間に改心すれば転生する事もあるが・・
この『暗黒の間』に連れてこられた者で、改心したものはひとりもいなかった。
女性の正体は・・転生転移の女神。
この世界に転生した4人の少年たちは、聖女と協力して厄災・・スカルドラゴンを退治、この世界を統治・・
するはずだった。
だが少年たちは、聖女になるはずだった少女を『アレ』と呼び、拒絶。
しかも聖女無しで厄災を打ち倒したのだ。
女神としては、聖女無しでも厄災を打ち倒して世界を統治してくれれば結果オーライ。
期待していた聖女も、聖女にならずに闇堕ちしたのだ。
だが先ほど元聖女の体の中に、誰かが転生し、入れ替わるように元聖女の魂は押し出された。
まあそのおかげで、闇堕ちした元聖女の魂を引き剥がす手間が無くなったのだが・・
女神は何かを察知した。
何か・・
厄災スカルドラゴンよりも強大な力を持つ・・新たな厄災の存在。
対抗する人間が必要だ。
ああ、丁度良い者達がいるではないか。
厄災スカルドラゴンを倒した彼らが。
それから、新たに転生して来た聖女の力を持つ少女。
女神はポツリと呟いた。
「そして・・勇者」
さあて、お気付きの方はいるでしょうとも!
これは・・そう!パート2!!
『ローズガーデンゲート2』のシナリオに続くのである!!
アレに転移した彼女は、その『2』のシナリオを知る唯一の『アンチョコ』だ!!
今は勇者の領地でワイン作りの作業員になって暮らしている。
昔のワインは、少女が素足で葡萄をふみふみして葡萄ジュースを作り、それを発酵して作った・・らしい。
聖女の力を持つ彼女のワインだ、そりゃあもう・・まだ樽に詰めた段階だから、熟成はまだ先だけどね!!
親友4人の嫁との結婚は?
それよりも新たな厄災は?
元聖女と勇者は?女神の考えは?
続く>>




