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13/28

学園祭でプリンですぞ!

10月・・・

15/文化祭イベだが、14/ポーションよりも早く始まる、と言うか準備期間で被る。


今年の出し物はなんと・・プリンスタンドに決まった。

5種類のプリンを提供、イートインも用意。


「プリンスタンドとは何故?」


プリンスタンド・・プリンを売る出店だ。

婚約令嬢達が猛プッシュで『やりません事?』とクラスの皆にプレゼンしたのだ。


「ははは、多分アルフレアが、プリンが好きって言ったせいだぞ。一番頑張ってアピールしてたのはナタリィ嬢だったからな!」

「なになにぃ〜?アルフレア、愛されてるじゃ〜〜ん」


たしか4月の月末のスチルの事だった。

彼は嫁(ああ可愛い)に『プリンが好き』と言ったのだ。


「あちゃー!プリン好きはランチに誘う為の言い訳だったのになぁー!本当はチョコパフェが好きなんだがなぁー!」

「俺達全員甘党だもんな。プリンも大歓迎〜」

「紳士の嗜み、葉巻に魅力を感じないもんな」

「俺はおっさんになっても甘味を手放さないぜ」

んもうーのお手伝いを全面的にするのですぞ!」

「当然」

「勿論」

「御意」




で、放課後はお店の内装の小道具を作っている。看板とか、カウンターとか、机のカバーとか。

皆で分担を決めてコツコツ作っている。貴族の子息&令嬢が、魔法を駆使して作る様は微笑ましい。


「こっち、浮かせてー」

「リボン貼り付け、この辺り」

「ほい」

「赤に染めて、この生地」

「待って、縁を飾るレースはまだだよー」

「机用の板、丸くカットだ」

「ここ支えてくれ」


皆楽しげに作業をしている。

王子達の役割はプリン製造、加熱したり冷やしたりする。

微調整の火入れ、冷蔵程度の冷やすのは高度な魔法になるからだ。

5種類を各300個作る予定だ。なので今は魔法の微調整の練習中だ。


「これくらいか?冷蔵は」

「そうだなぁ・・・氷を出して器を冷やすでも良いかもな」

「焼きプリンの焼きは火力はこのくらいか?」

「蒸し工程の後だから、さっと高めの火力で焦がすか」


校庭に出て4人で火を出したり、氷や冷気を出したりしている。

側にはナタリィとモーリンが、プリンの種類で魔法を使用する違いを確認している。

フラーウとサイファは、店内内装を手伝っていた。


「アルフ様、焼きは蒸してから表面を焦がして、ブリュレは砂糖を表目に掛け、焦がします」

「オニール様は冷蔵担当をお願いして、リーンブルグ様はカスタード液を作る担当をお願いします」

「じゃ俺はケースに並べるとか雑用でいいか?」

「はい。ワッツ様よろしくお願いします」


ワッツは魔法の微調整が苦手なので、作ったプリンをどんどん品出しを担当する事になった。

膨大・・1500個のプリン、彼は浮遊の魔法が得意なのでそれで運ぶ事になった。

試しにコップで練習しているが、フワフワ〜と浮いてテーブルに並ぶのが可愛い。

王子達が作るプリンという事で、今から大評判だ。



放課後のプリンスタンドの用意も佳境、3日後には本番、文化祭だ。

4人はプリンを本日も試しに作っている。試しに作ったものは担任の先生とクラスメイト達に振る舞っている。

『これは美味しい!』と大好評、皆の期待無限大!

だが4人の表情は・・暗い。なぜなら・・


「なあ。そろそろ来ますかな?」

「確かこのくらいの時期だった筈」

「もうとっとと来い・・」

「あ。来た」


魔法を練習する4人に向かって、来ました来ました!アレが来ました!!

そう!!14/  アレとポーション作り ポーションを手に入れる 10月、これ!!これですよ!!


アレはあの事件以降、別室で授業を受けている。

それはそうだろう・・

本当は4人に魅了するつもりだったと溢したのが決定打だったが。

そしてオニールの『結婚対象的年齢に魅了攻撃をする』という予想を踏まえ、50くらいの女性教師がつきっきりだ。普通なら退学、いや投獄されて然るべきなのだが、『とある』なんちゃらの後ろ盾?で今も学園に在籍している。そしてほぼマンツーマンで勉強している。

それがひとりで動いている。そしてこっちに来る・・笑顔全開で!!どうした警備!!


「障壁結界!!」

「きゃあ!」


アレの全身をリーンブルグが結界で包み込んだ。


「そこで止まれ。何の用だ」


アルフレアが目的を聞く・・・うん、知っているけどね。とりあえず聞く。


()()様、()()()様、ワッツ様、()()()()()様!!あのっ」


今だ許しもしないのに、馴れ馴れしくあだ名呼びのアレに、4人は苛立ちMAX!


「(むかっ!)待て。私、そして彼等はその(よう)に呼んでいいと許可した覚えは無い。お前は礼儀も知らぬ様だな」

「えっ」

「(えっ、じゃないぞ。こっちがえっ、だ)ついでに言うと、私も彼等も最初の魅了事件を許してはいないからな。この間のは論外だ」

「えー・」

「(あんなのを謝罪の言葉にするのか?)どうして自分の都合良い思い込みを押し通そうとするのか、理解が出来ぬ」

「ぇ・・」

「まずは礼儀を持って接するべきでは無いのか。お前とは友人では無いのだからな」

「ぇぇ・・」

「ええ、じゃ無いだろう!!(←ついに声になった)本当に、礼儀すらなっておらぬのだな!!」

「・・」


し〜〜〜ん・・

アレは黙り込んでしまった。でもこれでは話が進まない。

4人はチッと心の中で舌打ち、


「それで!我等に何か用か!」


続きを暗に促すと、またねちっこい甘えた声色で話し出した。


「あ、はいっ!あのぉ、ポーション作りをするんですがぁ、ひとりではそのぉ、作るのに機材を補助していただけたら、と思ったんですぅ」

「・・・・・・・()()()()()


彼等の顔が薄笑いで固まった。

おい。機材の補助って。

高位貴族、そして未来の王に・・お手伝い?

まあ本来(ゲーム)ならアレと二人きりで実験室のイベントだ。4人もいらなくね?

いやいやいや!一人で行けば確実に魅了かかるから!!


「他の者に手伝いを頼めば良かろう?」

「だって他の人はぁ、話しかけても無視するんですぅ。ちょっと酷いと思いませんかぁ」

「「「「自業自得(4人でハモった)」」」」

「ぅ」

「それで、手伝ったら何か褒美(見返り)はあるのか?」

「褒美?」

「等価交換は当然だろう?何だ、我等を便利な人足と思ったか?仮にも私は()()だが」

「あ、いえ、そんなっ・・」


ようやく顔を青くしている。学生だからって王族舐め過ぎ、彼等4人は白い目で見つめる。


「えーとぉ・・ポーションのレシピでどうです?私特製レシピなんですぅ〜」

「何のポーションだ」

「体力魔力状態異常全回復、あ。魅了は別ですがぁ」

「(カチン!)貴様は魅了解除のポーションを、即刻作るべきだとは思わんのか!!」

「温厚なアルフレアを怒らせるなんてアレすげー」

「王族怒らせるなんてそれもすげー」

「なんですぅ〜〜って話し方王族にできるのもすげーー」


ついに切れて、アルフレアは今までに無い大声で激昂した。他3人は呆れるしかない。


「きゃあーー、怒らないでくださぁいぃ〜」

「今回は手伝ってやるが!私達は全く赦してはおらん!!お前の様な無礼な者が同じ生物というだけでも不愉快だ!!さっさと引っ立てぃ!!」

「きゃー、ごめんなさーいぃ」

「こういう時の謝罪は『申し訳ありません』だ!この礼儀知らずが!!」


王子はそれはもう!大声で怒鳴りましたとも!!

その会話は周りにいた生徒達、婚約者達にも聞こえました。


「アルフ様、宜しいのですか?」

「ああ、ナタリィ。ちょっとこの無礼者の手伝いをしてくる」

「ですが、魅了が」

「リーンブルグが障壁結界でアレを包んでいるから、まあ大丈夫だろう」

「障壁結界、ですか?」

「魅了は()()()()だからな。では少し席を外す」


障壁結界はワイバーンの火球攻撃を、二度跳ね返す威力を持つ。

そんな強力な結界を、彼女に施していると聞いて、周りも騒然となった。


「王子殿下、大丈夫ですか」


みんなが心配をする。それはそうだ。何たって、障壁結界だからね。


「ああ、だが帰りが遅かった時は、教師に連絡をしてほしい」


ここまで根回しをしたら、下手な事はすまい。

アレを先導して魔術実験室に向かうと・・


テキパキ!!先ほど打ち合わせをした通り、さっさと作ってレシピを手に入れた!

アレが『もっとゆっくり作ってもいいんですけどぉ〜〜』とか言っているが、そうはいくか。

一緒にいるだけで拙いことになる。なぜなら、あの障壁結界をじわぁ〜〜とピンクの霧が侵食しているのだ!


「よし!完成だ!撤収ーーー!!」

「「「ラジャー!」」」


瓶に完成したポーションを詰め終え、4人は実験室を飛び出した。もちろんアレを放置して。


文化祭の用意をしている皆のところに戻ると、一斉にクラスメイトが駆け寄って来た。

皆一様に心配げな表情をしているので、安心させようと笑顔を振り撒いた。


そんなこんなで、14はクリア、ポーションが手に入った。

これでスカルドラゴン退治も楽になる!当然、ゲームではお1人1本だったが4本せしめましたとも!



3日後の文化祭も大好評!

王子と子息達が目の前でプリンを作り、ワッツが浮遊魔法で次々とカウンターにプリンを並べるのはなかなかに圧巻、見応えがあった。だって、1500個のプリンだから!ふわわ〜〜とプリンが浮いて、次々プリンスタンドまで飛び、コトンと台に着地。かわいい!と大好評だった。


文化祭の後、夕方からは巨大なボーンファイヤーを囲んでのダンスを皆で楽しんだ。

当然婚約者同士で踊る。社交界のダンスと違って、相手をチェンジせずにずっと同じ相手だ。

13の試練を乗り越え、ますますラブラブな彼等を、じっと見つめる影。うん、知ってる。


10月スチル『文化祭』も同時に終え、回避も完了した。


月末のお楽しみ、スペシャルランチは異国料理のすき焼きだった。デザートは練り切りとお抹茶。

お抹茶の点て方を知るワッツがお手前を披露し、モーリンに尊敬の眼差しで見詰められ照れていた。



楽しい嬉しい、婚約令嬢と送る日々。

このまま行け、エンドまで。



一人隔離され、文化祭にも参加出来ず・・

アレの足元、影から立ち上る霧は、前よりも濃くなっていた。




続く>>



ぼちぼち追加修正 次回6/8 16時うp

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