表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/28

10月・衝撃の・・『13』

さて10月は文化祭がある。9月で発生するはずだった・・・


12/  虐められた子を慰め、好感度が上がる(2) 9月


これは起こらなかった。やはりゲーム通りでは無いらしい。

10月は次の3つが主なイベントになる。


13/  元婚約者と話す (分岐的なとこ)

14/  アレとポーション作り ポーションを手に入れる

15/  文化祭 アレと行動  バザーで古いグローブを手に入れる


13は『元』では無いので、多分無いだろう。


14は・・・確かアレにポーションのレシピを教わる、という内容だった。これはなんとしても知りたいレシピだ。最後で戦うスカルドラゴン時に用意したいアイテムだ。


15は嫁と回っても問題無かろう。

バザーでグローブを手に入れるだけの簡単なお仕事、みんなで固まって行動すれば良い。

このグローブは剣用にも良し、魔法用にも良しの万能アイテム。これも是非人数分欲しい。


「ポーション作り・・またみんなで行くか!」

「がっと!」

「ががっと!」

「がーーー、で完成!」


4人は両腕をぶん回してアクション。


「よぉし!作っている間の魅了防御は、リーンブルグに任せますぞ!」

「はっ!!防御結界はお任せあれ!!」

「メモは俺がとります!」


と、ワッツ。アルフレアとオニールはアレのそばでポーション作りのお手伝い・・・王族の嫡男に、未来の王に・・オニールだって高位貴族の嫡男だ。ヒロインは何をしても許されるのか?


「アルフレアと俺はアレになるたけひっつかないように作る!」

「がんばって!アルフレアー!:

「負けないでね、オニ〜ルん!」

「気合入れていこう!!」

「「「「おーーー!!」」」」


本日の会議は終了、それぞれ散って行く。

今日は金曜なので、4人は久しぶりに土日を実家で過ごすつもりだ。




アルフレアは自分の馬を馬舎に置いているので、それに乗って城に向かう。


リーンブルグは乗合馬車で帰るつもり、停車場に歩いて行く。


ワッツは従姉妹がこちらに来ているので、その馬車に乗せてもらう為に喫茶室で待つ。


オニールは辺境伯所属の騎士団が帰る馬車に乗せてもらうので、宿営地に向かった。



そして4人は・・・見てしまう。



アルフレアは貴族の屋敷前を馬で進んで・・ナタリィの家の前に差し掛かる。

『ちょっと挨拶でもしていこうか』と思い立ち、寄ってみたのだ。

ちょうど彼女の姿を見つけたので、声を賭けようとしたが、彼女は誰かと話しているところで。


その頃・・

リーンブルグは停車場の、ちょっと外れの道の奥で見てしまう。


同じ頃、ワッツは喫茶室の奥の席で見てしまう。


オニール、彼も同じ頃、宿営テントの隙間で見てしまう。


そこには・・

婚約者達が、知らない男と親しそうに話しているところだった。


それが、なんだか諍いになってきて・・・


男達は、婚約者に手を伸ばして・・抱き締める。


「あっ」


4人は思わず声が出てしまった。


ふいと・・


婚約令嬢達と4人は目が合った。


別々の場所だけど、4人は同じ様な目にあっていた。


「アルフ、さ・・」


「リーン様」


「ワッツさ、ま・・」


「オニール、ん」


婚約令嬢達は驚いた様子だ。


対する彼等も同じく驚き、4人の男全員同じ思いだった。


(やばい。やばい。やばい。幸せだったのは、もしかして・・・俺(達)だけだったのか?)


声が出せない、呆然としてしまった。


あのエンドを避けようと頑張ってきたのは、無駄だったのか?

もしかして彼女達は、もしかして、もしかして・・・他に好きな男がいたのか?


そして・・・・・

彼等は。


悲しそうに微笑んだ、それしか出来なかった。


この野郎、離せ!と相手の男を殴りかかったって良かった。

でも、心の中の彼等は、恋さえした事の無い高校生だったから・・

嫌われたく無かった。

そして格好付けたかった。


だから踵を返して歩み去るしかなかった。



「ま、待ってください!アルフ様!!」


「リーン様、待ってぇ!


「ワッツ様、ワッツ様!」


「オニールん!!違う!」



ずきずきする胸。待つ?

聞きたく無い、でもここで聞かないのも聞くのも同じ結果なら・・・


「盗み見る感じになってごめんね。それで・・何?」と、アルフレア。


「こんな物騒な所で話すなら、喫茶室で話しなさい。危ないから」と、リーンブルグ。


「楽しそうに話していたね。俺じゃ君を笑わせることなんて無理だった様だ。席に戻るといい」と、ワッツ。


「こんな所でこそこそ話す様な相手が良いんだろう?何が違うんだ?」と、オニール。



男から離れ、彼女達は彼等の元に駆けて来た。


男達が彼女達の名前を呼ぶが、皆振り向かなかった。


婚約者たちの言い分、言い訳は概ね同じだった。



彼等とうまくいかなくなっていた時期、時々相談に乗ってくもらっていた。


うまく行く様になってからは、全然会っていなかった。


会おうと連絡が来たので、今まで相談に乗ってくれた事のお礼を言おう。


ところが、今までいい友人と思っていたのに、物凄く怒りだして急に抱き締められて驚いた。

ふと視線を感じてそちらを見ると・・彼等と目があった。


その瞬間、彼女達はズキンと心が痛んだ。

彼等がとても優しく、そして悲しげな微笑みだったから。



「で。これからどうするの?」


彼等が聞くと。


「ごめんなさい」


彼女達は謝罪する。が。


「どの辺を謝る訳?」


彼等は問い詰める。、まずはアルフレアだ。


「・・内緒にしてたわけでは無いけれど・・」

「内緒みたいなものだよ?これは」

「はい・・」

「で。どの辺?」

「・・侍女をつけて外出・・?」

「宅地内だからね、君は。で、あれ誰だったの」

「近所の伯爵の子・・幼馴染みたいな子で」

「身分はあるのか。で?まだ反省してないよね?分かってないよね?」

「えっと・・・」

「恋愛でも、なんでも!相談するのは、他人なら異性に相談しちゃダメだろう?」

「そうなの?」

「(以前はナタリィは悪役令嬢で、友達いなかったからな)・・婚約者がいるからとか、そう言うの関係ない奴は多いからね?」

「はい・・軽率でした・・」

「そう言うところ見られたら、損するのはナタリィだから」

「はい・・」

「でも、異性と会うときに人目のあるところで会うのは正解。もっと注意しなければいけないよ」

「はい・・ごめんなさい・・」

「さあ、おいで」

「キャ」


アルフレアは彼女を馬に乗せると抱き寄せる格好で、彼女の家の敷地を闊歩する。


「驚いた」

「アルフ様・・」

「浮気していると思った」

「え?」

「・・そう言うつもりが無い様だから、赦す」

「(・・あ!そういう事?)・・ごめんなさい」

「そうだな・・お仕置きくらいしないと気が済まないなぁ(ニッコリ)」

「??」


どうなったかは内緒。



リーンブルグは馬車に彼女を乗せると、はぁーと深く息を吐いた。

そのまま黙って車窓を眺めているが、眉は釣り上がっていて怒っているのが分かる。


「リーン様・・ごめんなさい・・」


だが返事が無い。軽率だったと今考えれば思う。彼が怒るのも無理はない。

このまま返事も、それどころかもう話もして貰えないかも、そしたら涙がこぼれた。


「り、り・・ぐす・・」


ふいに彼の腕が伸び、ひょーい。

軽々と彼女を持ち上げて、彼の膝に横だっこされた。

そしてギュッと抱き締められる。


「離さないから。言い訳など要らない」

「私が大大大好きなのはリーン様だけですから・・信じてください」

「じゃあ、一生掛けて信じさせてみろ」

「はい。頑張ります。だから見捨てないでください」

「努力しろ」

「はい・・リーン様・・好き」

「生憎だったな。俺はお前なんか・・愛している」

「ほわぁ!」


ちなみに、リーンブルグが家に帰ると家の者が執事と女中(二人は夫婦)しかいなかった。

両親と兄弟は急用で数日外出するとかで、使用人も休暇をもらって出払っていた。


「何だこれ。聞いてなかった。フラーウ、君のうちに送ろう」

「あ、あの・・このままいてもいいですか?」

「え」


さあ、どうするどうなる?



さて一方のワッツ達は・・・彼女は安定?のダンマリで、相変わらず話が進まない!!

と言うか、話しかけるのもはばかる雰囲気だった。それはそうだろう。


モーリンと話していたのは幼馴染だそうで・・

彼と話す彼女は・・楽しそうだった。家同士、長い付き合いなのだそうだ。


(俺と一緒になるよりも、そっちの方が良かったのかもな)


今は喫茶室を出て、従姉妹の家の馬車に乗っている。従姉妹は用があるとかで乗っていなかった。


(婚約破棄、してあげた方が良いのかもな。俺との婚約は家同士の繋がりみたいなもんだ)


ゲーム中も大好きだった。この世界に来て、更に好きになった。


(楽しい思いも一杯した。そろそろ離してやるべきか。むしろ良いタイミングだったとも言える)


彼はずっと俯いて考えていて、顔を上げるとモーリンが涙を流しているのを見て・・

ニコッと笑って見せた。


「モーリンは彼が好きなんだな?だったら俺との婚約は解消しよう」

「ワッツ様」

「早く言ってくれれば良かったのに。俺と話すのは面倒だっただろう?すまない、気付かないで。君が不利になる様にはしない。そっと婚約を解消すれば良い事だ。俺は君が幸せになるなら

「ワッツ様!わ、私はそんな、そんな・・ワッツ、様・・私は・・・」


モーリンは彼が話している最中に割り込んで話すも、涙が更にポタポタと、床にも滴って、また黙ってしまった。


「幸せに出来無くて済まない。君も、気心を知った彼の方が良かろう?」

「・・・嫌です。嫌ですっ・・私は、ワッツ様が・・貴方が・・良いのです」

「無理はしなくて良い。家の事で」

「縁談の話が来た時、私が。私が選んだのです。ワッツ様を、貴方を・・」


モーリンは公爵家の令嬢だ。彼は侯爵、少し身分が下がる。普通は子息側に絵姿と釣書が送られ選ぶのだが、絵姿と釣書を見て選ぶ側だったのは彼女の方だったのだ。


「そうだったっけ?」

「そうです」


彼は貴族間の婚姻などこんなものと思っていたので、『婚約者のモーリン嬢だ』『了解』で進めた。


「ではこのままでいいのかい?」

「お願いします」

「・・本当に?」

「はい!」

「分かった。でも二人きりで会うなら、今度から俺も付いて行くから」

「はい」

「いいのか?」

「誤解させてしまった私が、全面的に悪いのです」

「そうか。良かった」

「ワッツ様?」

「どうやら俺は、存外君に惚れていたと分かった」

「・・私もです」

「おや。気が合うね」

「ふふ」

「でもね。本当、さっきは心折れそうだった」

「・・・」

「もっとゆっくりと、君と進める気だったけど、やめた」



ガラガラ車輪音を立てて馬車は行く。

中で何があったのかは、内緒。



最後は出来る子オニール。彼は気が付いたのだ。


「ああ、これが・・・『13』だったか。なんとまあ・・・キツイな(心に)」

「オニールん、だからあの人は、相談してただけで」

「それでも許さない」

「だって、ダンスパーティー、ひとりでいけないじゃん。オニールんは前はエスコートしてくれなかったし。丁度良いところにあの人が」

「そうだね。そこは俺が悪かった。あの頃は君とはちょっと距離取りたかったからね。分かるよね?」

「う」

「なのに婚約者を無視して出掛けてたとか。普通は反省して謹慎するべきだよな?」

「うう」

「さあー、文句があるなら言えよ。言い訳を片っ端から折りまくってやる。ヘイ、カマーン」

「ううう、ごめんなさいぃ」

「なんだ、もうやめるのか?」

「降参ですぅ・・でもオニールんこんな性格だったっけ」

「お前のために厳しくなろうと決めた」

「うううう」

「まずは、こうだ」


そしてオニールはサイファを抱き締める。


「おほっ」

「・・かわゆい女の子が出す声じゃ無いな」

「オニールん、今分かった」

「なんだ」

「好きな人が抱き締めてくれると、こんなに嬉しい事!好き!!」

「ははは、やっと分かったか。ひとつ賢くなったな」


後頭部に手を滑らせ、軽く掴んで逸らして仰け反らせた格好にして、口付けをした。


「今度は何かわかったか?」

「・・オニールんが大好きってわかったぁ〜」

「そうかそうか」


突然目の前の宿舎のテントが折り畳まれて、二人は数名の騎士見習いと目が合う。


「お父上はあちらの馬車でお待ちです、坊っちゃま」


彼らはニヤッと笑った。





月曜、出校した4人は例の会議室に集まっていた。


「あー。やっぱしあれ『13』だった訳ですな」

「ああくるとは思わなかったぞ。ゲームではさらっと終わったのになぁ」

「心抉って来たな、マジ焦った」

「ふぅ・・やはりこれからもゲーム特性は、気をつけるべきと分かった」

「俺達と嫁達(でも好き)との仲を試す様な内容でしたな。で!」


アルフレアがニタリと笑う。


「「「ん???」」」

「皆様、可愛いふふふと何か・・・進みましたかな?(ニヤァ)」


他3人の男供は、そそくさとして目を泳がせる。


「お。おう・・まぁ(かあぁ)」

「うん・・ちょっと(ソワッ)」

「まぁな!(えっへん!)」

「よございますよございます。これを糧に!頑張りましょう!嫁との幸せなエンド、もしくは幸せなスタート目指して!」

「おう!!!」


今回はここで解散。

だって、文化祭が待っているんだもん!




続く>>


6/7、16時あげます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ