表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/28

プロローグ・人生は終わり、新たな人生が始まる

ゲーム大好き高校生4人組が、最新作ゲームをプレイ。

婚約者ルートを模索中に事故に巻き込まれ、転生というテンプレにすぐ馴染み、婚約者とのラブラブエンドに向かう!障害はヒロイン!


アルフレア(大谷静)

リーンブルグ(河田宗介)

ワッツ(竹中穂積)

オニール(灰崎辰雄)

「あーー!!うざいっ!!お前が死ね!俺のナタリィを悪役令嬢とか抜かしやがって!」

「本当、うざいな、アレ。フラーウがあんな最後を迎えるなんて・・!ほんと、死んでしまえアレ」

「アレ扱いで充分だ。オレのモーリンたんをぉ!モーリンたんの身代わりに死んでくれアレ」

「僕はサイファだけで充分満たされてる。なのに・・・!死んでくれないか、アレ」


物騒な言葉を垂れ流すのは、4人の男子高校生。

ブツクサ文句を言いながら高校の校門を出る。

彼らの顔は、日本人にありがちな黒髪に濃い茶色の瞳。身長も高3だから175前後で、普通の男の子。

4人の名前・・『大谷静』『河田宗介』『竹中穂積』『灰崎辰雄』。

彼らが口にしていたナタリィとかフラーウとかモーリンとかサイファとか・・女の子の名前は日本人にはあり得ない名前だ。そう、もうお分かりだろう。こんなパッとしない高校生に、外人ギャルの彼女なんか出来よう筈も無い。

ついでだが、『アレ』とは・・ヒロインの事である。ヒロインとはなんぞや?


説明しよう!!

最近発売されたゲーム『ローズガーデン・ゲート』で出てくる女主人公、ヒロインの名前・・それを4人は『アレ』と呼ぶ。

『アレ』呼ばわりされてはいるが、『アレ』にだって名前・・あれぇ?名前なんだったっけ。というか、確かにちゃんとした名前はあるのだ。でも彼らには『アレ』扱いで十分、覚える気もない。ヒロインなんだけどね。


さて。

このゲームの売り文句は、『男の子も女の子も楽しめる恋愛ゲ〜ム』だそうで。

女の子のプレイキャラはヒロイン一択。

対する男のプレイキャラは4人!本当に『男の子も女の子も楽しめる恋愛ゲ〜ム』なのかは不明、ゲーム会社の意図は?


彼ら仲良し4人組はゲームが大好きだ。乙女ゲーもハーレムゲーも嗜む。

『ローズガーデン・ゲート』だが、人気の絵師に好きな声優陣を採用したゲームで、前評判も上々、4人は超期待して発売日に購入、早速プレイをした。


『大谷静』はアルフレア王子、『河田宗介』は魔法に長けたリーンブルグ、『竹中穂積』は商売で大儲けをしている侯爵家の嫡男ワッツ、『灰崎辰雄』は将来騎士を目指すオニールをそれぞれ選択してプレイ。

どうして彼らはそのキャラを使用したかと言えば・・そのキャラの婚約者のスチルに心奪われたからだ!


アルフレア王子の婚約者はナタリィ。

タイソン侯爵の長女で美しい藍色の髪を縦ロールにしている。お妃教育も頑張る優等生だが、本当は甘えん坊。この甘え顔に、静は心鷲掴みされたのだ。


リーンブルグの婚約者はフラーウ。

シーシリエ伯爵令嬢の彼女は金髪紅瞳の魔法使い。華奢で妖精のようだ。ハキハキした元気っ子で、婚約者をいつもきりきり舞いにさせる我儘さんだ。我儘は彼にしかしないというところもポイント。ちょいロリっぽい顔が好みの宗介が、彼女を選ばないという選択肢は無い。


ワッツの婚約者はモーリン。

ヒューパール公爵令嬢は、煌く銀髪に空色の瞳。思慮深く口数は少ないが、婚約者に手作りのお菓子をいつも用意してくれる。胃袋を掴まれているのだ。たまに微笑む顔も彼にしか見せないという、特別感よ。

深層の令嬢が理想の穂積は見た瞬間選択ボタンを押したのは言うまでも無い。


オニールの婚約者はサイファ。

キンケイド近衛騎士団長の令嬢で、オニールとは幼馴染。いつも二人で野原を駆け回り、剣の稽古も一緒だった。赤っぽいオレンジ色の髪と金色の瞳のスレンダー美人だ。意外と裁縫が上手で、彼のハンカチやシャツには御守りの刺繍が縫われている。「私の髪色の糸だよ!」とか可愛すぎる。活発でボーイッシュな子が好みの辰雄の理想が具現化したような彼女に胸キュン。


・・と、すっかり気に入ってしまった!!なんと4人はそれぞれの婚約者に一目惚れしたのだ。そのままエンディングに行ってもええんやで・・と思いつつプレイする・・


が。

やはりと言うかなんと言うか・・

婚約令嬢達(彼女ら)はゲームで言うところの『悪役令嬢』で、断罪されてサヨウナラされる運命と決められていたのである。修道院にぶち込まれるのはまだいい方で、たったひとりで国外へ追いやられたり、牢屋で幽閉されたり、ついには殺されたりする。ええ?なんて事だ!


今までだって、悪役令嬢が出る乙女ゲーをプレイしても『かわいそう』など一度も思ったことがなかったが、このゲームに関しては全員が自分の婚約者に降りかかる不幸に猛然と怒りを感じたわけだ。

この子を幸せに出来るのは自分だけだ!婚約破棄なぞしない!

だがどんなにプレイしても、婚約者とのハッピーエンドには至ること成らず。不幸な目に遭う婚約者に『ごめんよぉおお〜〜!!俺が至らないばかりに!!』と、エアハグ(婚約者を抱きしめている気分で両腕を交差)して咽び泣く。

そしてその怒りはそのままヒロイン・・『アレ』に向かうわけだ。未だ名前を覚えていないのは八つ当たりだ。


婚約者とのハッピーエンディングに向かうには何かフラグがあるのか?

今から静の家に皆で集まり、大討論会をすることにしたのである。

まだ発売から3日、公式からも情報は流れて来ていない。

もしも・・

もしもマルチエンディングに『婚約者とのハッピーエンド』が無かったなら・・


「公式ツイ○ター炎上したる」

「俺も」

「おれもや」

「オレも」


と、物騒なことを呟いている4人だ。

大通りの交差点で信号待ちをしながらゲームの話をする4人は・・周りの人間が騒ついたことに気が付かなかった。


「君たち!!早くー・・


誰かが叫ぶが、誰に叫んでいるのか・・自分達4人に対してであることに気付く間も無く、4人の視界は暗転した。

ギャギャギャアアーーーーとタイヤのけたたましい摩擦音に、どごんと何かがぶつかる激しい音。それを見た人々の絶叫。


4人はトレーラーに跳ね飛ばされ、一瞬にして絶命したのだ。




こうして。

この世界での4人の人生は終わり・・




そして始まる。




続く>>


これは2年前に投稿した話『俺達のラブラブエンド目指して・ヒロインはいりません!』を連載に書き直したものです。

20話くらいで終わる予定です。ぼちぼち進めます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ