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最初の話(異世界)




「ステファ、別れよう」

 舞踏会で久々に会った婚約者にいきなり別れ話を突き付けられたステファ。

「そんな……どうして?」

 ステファは婚約者に聞き返す。

「酒癖が悪いからさ」

「酒癖?」

「酔うと必ず人に絡むようなステファと付き合うと、うちの品格が落ちてしまう」

「待ってよ。私そんなの全然記憶に――」

「そういうところも、だよ。お酒を飲むなら楽しく飲んでくれ」

 婚約者はそ、ステファに背を向ける。

「そんな――」

 急な展開に頭が真っ白になるステファ。


 ☆


「婚約解消をされたようだね、ステファ」

「はい、お父様」

 翌日、ステファは両親に呼び出され、昨日の舞踏会のことを話す。


「なるほど。事情は分かりました」

 厳しい口調でステファに話しかける母。

「人前ではお酒をたしなむことは控えるように言ったはずです」

「友人との集まりでしか飲んでは――」

「ステファ」

 ステファの反論に、父が言葉を重ねる。

「理由はどうであれ、婚約解消された娘がいると、家名に泥がつく。わかるね?」

「はい……」

「魔法の本を渡しておく。幸せになる魔法が書かれてあると聞く」

「新天地でこれを使って、あなた自身の幸せをあなた自身が見つけるのですよ」

 こうしてステファは家からも追い出されることになった。


 ☆


「ここまでと言われていますので。あとはご自身で歩かれてください」

 国境沿いにある森の入り口まで運んでくれた、馬車と御者が去っていく。

 独り残されたステファは森に進む。


 やがて洞窟が見えてきた。国境を超える検問所は、洞窟の先にある。

 ステファはランタンをつけ、洞窟の中を進んでいく。


 洞窟内ではステファ足音だけが響き渡る。

(しばらくお酒もお預けですわね……友人と二人で飲むのは楽しかったのですが)

 洞窟を独り歩くステファは後ろを振り返り、また前を見る。

 不安と寂しさに押しつぶされそうになるステファ。

「そうですわ!魔法でだれか呼び出せばいいんですわ!」

 ステファは父から受け取った魔法の本を荷物から取り出す。

「ええと、召喚魔法、召喚魔法……ありました。『異世界から人を呼ぶ』ですか」

 ステファは、本に書かれている魔法を唱え始めた。


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