運命の日
平凡な学生。最近異世界ファンタジーにはまっているので中二病パワーを使って書いてみた。
「はぁ...やっと6時間目が終わりそうだよ」
今日の机を投げる某英語教師は機嫌がよかったからホームルームもすぐ終わるだろう。
「ねぇ、転〇ラの19巻読み終わった?」
そう聞いてきたのはとなりに座っている子だ。
いや、まだ読み終わっていない。昨日は時間がなかった。
「えっ...ああ、うん読み終わったよ」
やってしまった。僕のこのクラスでの地位はそれほど高くない。それにこの子は前から読みたがっていた。
「え、まじで?じゃ明日持ってこれる?」
断れない。彼のカーストは学年の1位、2位を争うぐらい高い。彼には僕はいいやつだと思われるのが都合いい。嫌われ者として過ごすことが心地よくないことは何度も経験して重々承知している。
「持ってこれるよ。」
そんなことを考えながら答える。帰ったら急いで続きを読もう。
ああ、こんな平和が一生続けばいいのに。僕は思っていたより平和ボケしていた。そんな自分を嘲笑う。
「きりつ、きよつけ、礼、ありがとうございました」
どうやら授業は終わったようだ。かたずけを始める。
「んっ!」
なんだこれ。
「地震だー」
「つくえのしたにかくれろ!」
ひふがピリピリする。これは地震なんかじゃない。
いつ来てもいいように覚悟はしていたつもりだ。だが実際それでも怖いものなんだな死っていうものは。
そう、僕は今日死ぬんだ。
死ななければいけない。
そう決まっている。
思い残すことは数えきれないほどある。転〇ラなどのラノベをもっと読みたかった。あいつ以外の友達も作ってみたかった。
くっそー。後2週間で夏休みだというのに。タイミングを考えろタイミングを。
***
「これが僕の運命なのか。」
全く実感がわかない。いつ来るかはわからないらしい。与えられた書類にもう一度目を通してみる。《宇宙人》が攻めてくるその日僕は死ぬ。まだ《宇宙人》の名前は決まっていないらしい。
「なあに。まだそうとは決まったわけではない。」
そうなのか?
「ただそうなる確率が高いということだ。80パーセントだ。」
思っていたより低い。
ほかの20パーセントは《宇宙人》が地球制圧に成功する、とかだろう。
「お前だけじゃないぞ、その能力を持っているは。ただ、自覚しているのはお目だけだ。他の誰かが誤って地球を殴ってしまったら何もかも壊滅するぞ。」
「そうか。そうだよな。それだったら僕に全てをゆだねても何もおかしくない。」
ただまあ、10歳の子供にこれは少し酷なんじゃないか。
今まで黙っていた少女に目を向ける。無言のままだ。
彼女は僕と似ている。9人の魔法使いの治療魔法専門だ。レイと名乗っているが本名ではないだろう。有一僕にとって友達と言っていい存在だった。
***
あれから何年だ。だがそんなことを考えている暇はない。先ほどの揺れは地震であったら震度5程度だろう。これだとみんな避難しない。
「くっ...」
焦っているうちにまた揺れた。さっきより激しい。これだとみんな避難する。
パリン!
窓が割れた。先ほどとは雰囲気がまるで違う。みんな必死だ。避難を開始した、そのついでに窓の外を見た。まだはっきりとは見えないが恐らく《宇宙人》だろう。
避難しているうちに抜け出すしかない。今は誰も気なんて遣っていない。1人いなくなったところで気づかないだろう。
ああ、最後の会話がそれほど仲良くない奴とだったな。
窓の外をもう一度見る。今度ははっきり見える。
気持ち悪い。まるでハエが大きくなったこのようだ。これからは奴らを《ハエ》と呼んでおこう。
流れを確認する。先頭のハエを右腕で本気で殴る。ホントにめんどくさい能力だ。握力と腕力だけずば抜けていてどうする。僕の右腕は普段なら三発で壊れる。そりゃそうだ、一撃で東京ドーム破壊させることが出来るんだ。無限に殴れたらチートだよと自嘲する。
今回は3発分を一撃で使い切る。それを行った場合その反動で死ぬ。今回は《ハエ》の集団だ。一発殴ってその衝撃波で周りの《ハエ》も殲滅しようという作戦だ。
「はぁ」
先頭が迫ってきている。手に力を入れる。
あ、そうだ。あいつの顔を一度見てからにしよう。胸ポケットに入ってる写真を取り出す。
「ああ、動かなかったら美人なのにな。」
苦笑する。
さあ、きたぞ。片手に写真を握り、先頭の《ハエ》をめがげて飛んだ。力が抜けた。いや、抜いたんだ。僕に覚悟なんてものはなかった。ハエをかわした。校舎に逃げ込んだ。僕を追いかけるハエから必死に逃げる。つまずいた、だがそれくらいで追いつかれるような距離ではなかった。手からあの写真が落ちた。
「あっ...]
まずい
突進されて突き飛ばされた。壁を何枚も貫通する。この校舎は強化段ボールでできている、それほど痛くない。急に止まった、ロッカーだ。壁にくっついているから倒れなかったのだろう。
「ゴホッゴホッ」
強化段ボールからのダメージは思っていたより大きかったようだ。関節が痛む、立ち上がれない、動けない。結局はこうか、ならば世界を救って死ぬんだったな。《ハエ》が突進してくる、よけられない。
「バーン!」
「イテッ」
死んだのか?
目を開ける。そこにはロッカーに突っ込んでいったハエの姿が。
助けられた?そんな都合よくいくものなのか?そもそも僕を助けられる人はアメリカにいるはずだぞ。
「あんたバカぁー?」
どうやら助けてくれたそうだ。
だがそれにしても偉そうだ。
物まねのつもりか、似てないぞ。
「あいにく僕は綾波派なので。」
そうか、アメリカの夏休みは早く始まるんだったな。一時帰国するとか言ってたもんな。
「ふっ、女の子らしく振舞ったらかわいいのにな。全く、残念だ。」
黒髪のショートヘアに目が大きくてまつげが長い、それにスタイル抜群。まさに理想の彼女なのだが(個人の感想)人を見下しすぎだ。
「世界を救うんじゃなかったの。」
無反応だ。
見上げてみるとその真っ赤に腫れた目で見下している。
「お前でも人の死を悲しむんだな。何回も経験してきたはずなのにな。
一つ聞いていいか?どうせ死ぬんだし答えてくれよな。」
「...」
「本名はなんだ?」
「野々花」
「しっくりこないな。まあ、どうでもいい。どうせ死ぬしな。」
自嘲する。
そんなことしている間に魔法で傷を治してもらっていた。
先頭のハエが動き始めた。
「ありがとな。」
ハエをめがけて走り始める。下から上へ本気で殴る。
腕がつぶれる、その衝撃で体中ボロボロだ。一般男性だったら木端微塵になるだろう。校舎も半分破壊されている。《ハエ》が一匹ずつ落ちていく。もう立ち上がる気力も残っていない。体が崩れていく。
「ふっ。一言ほめてくれたらどうだ?」
「...何で」
さあな。
よっぽど悲しいんだな。お前が泣くなんて、柄に合わないぞ。
現文偏差値30代なので日本語はボロボロかもしれませんが、よろしくお願いします。