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お父様の教え

 彼女は別れの日の夜。父に告げられた言葉を思い出していた。

 彼女が後宮に納められると決まった時。親族一同で宴を開きその最後に告げられた言葉だ。

「後宮は魔窟だ。生きていくために手弱女であったとしてももののふの心を常に持っていなければならない」

 彼女の肩に手を置いていつになく真剣な面持ちでそう語られた言葉に彼女は静かにうなずくことで答えた。

「忘れるな、父の教えを」

 そして、今までその通りに生きていた。

 確かに父の言ったとおり後宮は魔窟だった。

 だけれど、これはちょっと違うのではないだろうか。

 そう父に問いかけた。

 彼女の目の前の壮麗な文様に彩られた壁や天井はまるで生き物のように波打ちうごめいている。

 そして一部はさらに大きくゆがみ何か得体のしれないものがずるずると這い出して来る。

 そして、巨大な咢が床からはい出し腰を抜かしていたらしい下働きの娘に襲い掛かった。それは黒光りする鱗に覆われていた。

 娘の悲鳴と娘の身体の骨が砕ける嫌な音がした。そして飛び散った血が彼女の頬に当たり、まるで熱湯をかけられたような熱さを感じた。

 そして、咢は娘のかけらと鮮血をこぼしながら彼女に迫ってきた。

 彼女の目の前にぞろりと真円を描く真咢、牙がおぞましいほどびっしりと生えているのが見えた。


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