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32話 動き出す冒険者と騎士団

そういえば世界最強の努力家の1巻はそれなりに売れたみたいです。

お買い上げ頂いた方、ありがとうございます!

 

「お、おい! アイツ、一人で飛び出して行きやがったぞ!」


 リヴェルが駆け出して行くのを見た冒険者達は驚き、戸惑っていた。


「アイツはAランクのリヴェルじゃねーのか!?」


「Aランクでも無茶だ! なにせ敵にはSランクのマンティコアがいるんだぞ!?」


 一緒に付いて行こうにも前にはマンティコアがいて中々足が動かない。

 それに加え、リヴェルの移動速度に追いつける自信のある冒険者は誰もいなかった。

 しかし、それでもマンティコアは慎重に対処しなければいけないと思うのが一般的な考えだ。

 だからこそ冒険者達は自分の目を疑うことになる。

 目の前にいる規格外の存在に。


 マンティコアがリヴェルと対峙した瞬間、絶命する。

 マンティコアの首は斬り落とされた。

 そして平然と先に進んでいくリヴェル。

 圧倒的な捕食者であるマンティコアが被捕食者へと回っていた。


「なっ……!」


「マンティコアをたった一瞬で倒しちまいやがった……」


「ま、負けてられねぇ!」


「「「うおおおおおおおおお!」」」


 マンティコアが倒され、冒険者達は雄叫びを上げて魔物に向かって走り出した。

 たった一人の少年が冒険者全体の士気を上げたのだ。


「リヴェルさん!? また一人で無茶してますよ!?」


「わー、流石リヴェル君だねー。あのマンティコアを一瞬で倒しちゃったよ」


 慌てるフィーアに呑気に笑うカリーナ。


「あの野郎ォ……抜け駆けしやがって」


 リヴェルがまた自分より前に進もうとしているのが許せなかったアギトは、負けじと魔物に向かって駆け出した。


「ア、アギトさんも行っちゃいました」


「まぁそうなるよね。他の冒険者も行っちゃったし」


「これは私達も行くべきですよね……」


「怖いかい?」


 クルトはフィーアに優しく問う。


「そりゃ怖いですけど……でも私は大丈夫です」


「僕もそう思うよ。フィーアは強いんだからさ」


「……はい!」


「それじゃあ私達も行こうか」


 少し遅れてフィーア、クルト、カリーナもリヴェルの後を追い始めた。



 ◇



 騎士団側でもリヴェルの活躍には騒然としていた。


「おいおい、ありゃマンティコアだよな? 一人で倒しちまってるぞ?」


 赤を基調とした鎧を身に包み、灰色の髪をした男が額に手を水平に置き、ひさしを作っていた。


「マンティコアって言えばウチにも討伐している奴がいたな」


 灰色の髪の男の視線の先にいたのは、アンナだった。


「……あ、私ですか?」


 視線に気付いたアンナは自分の顔に人差し指を向ける。

 それに灰色の髪の男は大きく頷いた。


「お前も負けてられないな~。遠くだから少し分りにくいけどよ、多分歳はお前と変わらないぐらいだぞ?」


 男の発言を聞いたアンナはハッ、と何かに気付いたようだった。


「それなら私も戦って来ます!」


「いやいや、待て待て」


「それじゃあ行ってきます!」


「おーい、人の話を聞けー」


 男の声は、もう止めれないと諦めているようだった。


 アンナは近くで待機していた赤色の竜のもとに駆け寄る。

 Aランクに指定されている魔物、火竜だ。


 野生の竜だと誤認されないように竜鎧を装備している。


 アンナは【竜騎士】の才能を貰ってからわずか1年で既に竜を手懐けていた。

 これは【竜騎士】の才能を持つ者でも驚異的な速さであった。

 その高い実力を買われて、アンナは英傑学園の生徒でありながらテオリヤ王国の騎士団の内の一つである『赤竜騎士団』に所属している。

 しかし、まだ英傑学園の生徒であるため『赤竜騎士団』の鎧は身に着けず、英傑学園の制服を着用していた。


(本当は単独行動って駄目なんだろうけど、リヴェルが頑張ってるんだから私も頑張らなきゃねっ! ……まぁ、後で怒られるのは覚悟しないとね)


 リヴェルに会いたい気持ちも勿論あったが、それよりも負けていられないという気持ちの方が強かった。

 自分が負けず嫌いだということ。

 それはアンナが英傑学園に入ってから初めて気付いたことだった。


「さぁ飛ぶよ! フェル!」


 フェルと呼ばれた火竜は静かに頷き、翼を広げ、飛翔した。

 それを見た灰色の髪の男は溜息をもらした。


「やれやれ、こういうお転婆なところは少々骨が折れるな」


「良いのですか? 団長」


 アンナの行動を近くで見ていた騎士が灰色の髪の男の言葉に返事をした。


「ま、良いんじゃねーか? どちらにしろ冒険者共が突っ込んで行ってんだ。俺達も結局のところ前線を押し上げなきゃならないからな」


 灰色の髪の男──『赤竜騎士団』の騎士団長は面倒そうに欠伸をした。



 ◇



 次々と襲い掛かる魔物を倒して、俺は群れの中を突き進んでいく。

 しかし、これだけの数を相手にしてちゃキリがないな。

 倒しても倒しても減っている気が一切しない。

 広範囲を対象にした魔法を放つのも一つの手だが、魔力は出来るだけ温存しておきたいところだ。

 1年前とは比べ物にならない程に魔力は増えたが、この魔物の中心にいる化物の魔力もとてつもないほどの大きさだ。

 マンティコアが霞んで見えるレベルだ。

 間違いなく、コイツがこの魔物の大群を率いる親玉であり、元凶だろう。


 そのまま群れの中を突き進んでいくと、開けた場所に出た。


 筋肉が大きく発達した身体に頭部には2本の角が生えている人型の魔物2体が馬代わりとなって、馬車を引いていた。

 あの見た目はオーガか。


「素晴らしい、ニンゲンの少年でそこまでの実力を身につけた者が現れるとは喜ばしいことですね」


 馬車に乗っていた魔物は言葉が話せるようだった。

 オーガに歩みを止めさせ、馬車から降りてくる。


 人型で人間に似た姿をしているが、肌は紺色。

 深紅の目をしており、耳、歯、爪、が鋭く尖っている。

 背後から翼と尻尾が見えている。

 亜人種なのか? 

 ……いや、この見た目に該当する亜人種は英知では見つからない。


「お前は一体何者だ? 見たところ、この魔物の大群の主といった感じだが」


「その通り。この魔物達を操っているのは私です。しかし、一つだけ違うことがあるとすれば私は魔物ではなく、悪魔です」


「なぜ悪魔がこんなことを? 悪魔が一つの国を陥れようという真似をするとは思えないな」


 悪魔とは良い意味でも悪い意味でも人種と対等な存在だ。

 悪魔がこうして魔物を率いて国に攻撃を仕掛けるとは考えにくい。


「その解は簡単ですよ。私とニンゲンの間で契約が交わされた。ただそれだけのことです」


「なるほど、そういうことだったのか」


「ええ、お分かり頂けましたか」


「じゃあ話は簡単だな。お前をぶっ倒せば、この魔物の大群は崩れるって訳だ」


「……フッフッフ、ニンゲン風情がこの私に勝てるとでも?」


「ああ、負ける気は全く無い」


「舐められたものですね。──悪魔の恐ろしさ、存分に思い知るがいい」



【皆様へのお願い】


「面白そう」

「続きが気になる」

「更新応援しています」

「1巻発売おめでとう!」


少しでもそう思って頂けたら、


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(……評価してもらえると、モチベがめちゃくちゃ上がるので最高の応援になります)

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― 新着の感想 ―
[一言] あ~、悪魔さん 先に一言だけ・・・ ごしゅーしょーさま~ あ~あ、リヴェルの修行相手にされちゃったw
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