19話 いざ、ダンジョンへ②
【書籍化のお知らせ!】
第1巻
出版社:アース・スターノベル 様
イラストレーター:紅林のえ 様
発売日:6月15日
既にネット通販サイトでの予約注文が始まっておりますので、何卒よろしくお願いいたします〜!
活動報告で『リヴェルとキュウ』のキャラデザを公開しておりますので、気になる方は是非チェックしてみてください!
昨日の続きです。
ダンジョンに入るのは初回ということもあって、手続きに随分と時間がかかってしまった。
結局、俺たちがダンジョンの中に入れたのは、アギト達が先に行ってから30分が過ぎた頃だった。
これはかなり劣勢と見て良いだろう。
「へぇ、これがダンジョンか。想像通りの場所だね」
「中は魔水晶が明かりになっていると聞いてましたが、なるほどなるほど……綺麗ですね」
ダンジョンの壁は魔石で出来ている。
壁には等間隔に魔水晶が埋め込まれており、それが青色に光っている。
「1〜3階層の敵はFランクの魔物。4〜9階層もEランクの魔物だ。無視して先に進もう」
「そういうことなら──ファスト」
クルトが魔法を唱えた。
「ファストは移動速度が上昇する魔法だね。相手とは少し差が開いているんだ。追いつけるようにその分速く行動しないとね」
「わー、ありがとうございます!」
「助かるよ。それじゃあ一気に4階層までいこうか」
◇
クルトのおかげでアギトに追い付いて無いので間違った表現10階層に着くことが出来た。
しかし、それでもまだアギト達に追いつく気配は無い。
「あれ、10階層は今までの階層と雰囲気が違いますね」
ダンジョンでは10階層ごとにボスモンスターを倒さなければ先に進めない。
今回の目的であるミノタウロスもボスモンスターだ。
10階層はシンプルな造りで円形の空間で、その中央にボスモンスターのゴーレムが待ち構えている。
ゴーレムはDランクに指定されている。
攻撃は見た目に反してそこまで破壊力があるわけではなく、動きが単調で攻略が容易のようだ。
ボスモンスターは討伐後、10分経つと再び出現する。
すでにゴーレムが出現しているということは、アギト達がここを通ったのは10分以上前になる。
「そういえばクルトさんには私の取得したスキルをお見せしていませんでしたね」
フィーアが一歩前に出た。
「ギルドに顔を出さないうちにスキルを取得していたのは僕も同じだよ」
「ぐぬぬ、やりますねクルトさん。成長しているのは私だけではありませんでしたか」
「まぁつまり、あのゴーレムはフィーアが相手したいんだな」
「はい! そういうことです!」
フィーアは最近、意識だけでなく性格までもが少しずつ変化してきている。
出会った当初よりも人見知りすることはなくなり、段々と明るく、積極的になっている気がする。
まだ全然だが、これは良い変化だ。
間違いなくフィーアは強くなるだろう。
「僕は構わないよ。フィーアのスキルも見てみたいからね」
「あっ、それじゃあ……!」
「ああ、ゴーレムはフィーアに任せた」
「ありがとうございます!」
フィーアが見せた表情は曇りのない笑顔だった。
ふぅー……と、深呼吸をしてフィーアは腰のホルダーから二丁の拳銃を取り出す。
ゴーレムは俺たちの存在に気づき、すぐそこまで近づいてきていた。
そして一番前に出ていたフィーアにゴーレムはタックルをした……が、フィーアは宙を舞うようにジャンプをして攻撃をかわした。
「──いきます」
人が変わったようにフィーアの動きは軽やかになった。
一発、二発、と牽制に銃弾を放つ。
着弾すると、ゴーレムの石の体が震えた。
「硬そうな見た目の割に随分と脆いですね。これならすぐに倒せる」
フィーアは地面に着地すると、二丁拳銃には魔力が溜められていた。
二丁拳銃をゴーレムの頭部に向け、
「《ソニックショット》」
先ほどよりも弾速が増しており、弾丸には風属性の魔力を帯びている。
フィーアの放った弾丸は見事ゴーレムの頭部を貫通した。
そのままゴーレムは地面に倒れて、石の体がバラバラに崩れ去った。
フィーアはクルクルと器用に二丁の拳銃を回しながら、ホルダーに納めた。
「ふふ、楽勝ですね」
【皆様へのお願い】
「面白そう」
「続きが気になる」
「更新応援しています」
「書籍化おめでとう!」
少しでもそう思って頂けたら、
下にある「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしてくれると執筆の励みになります!
(……評価してもらえると、モチベがめちゃくちゃ上がるので最高の応援になります)




