18話 リベンジ
【書籍化のお知らせ!】
第1巻
出版社:アース・スターノベル 様
イラストレーター:紅林のえ 様
発売日:6月15日
既にネット通販サイトでの予約注文が始まっておりますので、是非ご購入よろしくお願いいたします!
活動報告で『リヴェルとキュウ』のキャラデザを公開しておりますので、気になる方は是非チェックしてみてください!
外が少し明るくなってきた時間に眠りについた俺は、1時間で目を覚ました。
《仙眠法》は非常に便利なスキルだ。
睡眠時間を他のことに当てられるため強くなるにも適しているし、寝るのも早く、目覚めも良い。
寝起きが悪い人に是非オススメしたいスキルだ。
と言っても《仙眠法》は俺の考えたオリジナルスキルなんだがな。
……待てよ、じゃあ《仙眠法》について解説した書籍を売り出せば大儲け出来るのでは?
まあ、やるかどうかは未定だ。
たぶんやらないだろうな。
そんなことを考えながら『テンペスト』のドアを開いた。
今日も朝早くから受付嬢の仕事に励むエレノアさんが、リヴェルさーん、と言って手招きしてきた。
「先日引き受けられたクエストですが、他の冒険者の方も引き受けられて競合状態になりました。当ギルドの他に引き受けているのは『レッドウルフ』ですね」
クエストは誰でも引き受けることが出来る。
数に限りはないため、複数人がそのクエストを引き受けた場合、競合状態となる。
報酬はクエストの達成条件を満たした者しか受け取ることが出来ないので、当たり前だが競合状態になった者同士で競うことになる。
で、今回はその相手が『レッドウルフ』のメンバーということになるわけだ。
『レッドウルフ』と言えば見知った人物が一人いる。
【最上位剣士】の才能を持つアギトだ。
俺がフレイパーラ新人大会のベスト8決定戦で戦った相手だな。
「誰が引き受けたとかって分かりますか?」
「えーっとね、カリーナって人だね。Aランク冒険者みたいだけど、リヴェルさんならきっと大丈夫そうね」
たしか『レッドウルフ』にはAランク冒険者が3人がいたはず。
カリーナは、そのうちの1人ってわけか。
「……これは今日にでもダンジョンへ行かなきゃまずそうですね」
クエストを成功させるには、相手よりも早くミノタウロスの堅牢な角を納品しなければいけない。
今回、討伐するモンスターはミノタウロス。
Aランクに指定されるモンスターで十分危険ではあるが、Sランクのマンティコアを倒せたんだ。
まあ、なんとかなるだろ。
「そうね。応援しているわ」
エレノアさんはそう言ってニッコリと笑った。
ギルドでしばらく待つと、クルトとフィーアがやってきた。
状況が変わり、少し急がなければいけないため、話し合いはダンジョンの入り口に向かう道中に行なうことにした。
パーティの上限は4人なのでもう1人追加することも出来るが、ギルドのメンバーの実力を考えるに無理に揃えることもないだろう。
「二十階層までの道中だが、俺が先頭を歩くから二人は後を追ってきてくれ」
「分かったよ。接近戦を得意とするリヴェルが前衛で遠距離攻撃がメインの僕とフィーアは後衛を務めるのはセオリー通りで問題ないと思うよ」
「……でも、戦闘以外のときもその陣形を保つんですよね? もしリヴェルさんが方向音痴だったら中々進めなさそう」
「方向音痴ではないと思うが、とりあえずそれについては心配しなくていい。迷わずに二十階層まで行けるさ」
「もしかしてリヴェルは地図を買ったのかな」
「当たりだ」
ダンジョンの構造は既に多くの冒険者のおかげで明らかになっており、フレイパーラの街では、その情報をもとに作られた地図が売り出されている。
階層が下に行けば行くほど地図の価値は高くなっていく。
フレイパーラをメインに冒険者として活動していくのであれば、今後ダンジョンを活用する機会は多くなりそうだと思ったので二十階層までの地図を購入したのだ。
「なるほど、地図を見ながら進めば迷うことはありませんね」
「地図は買ったが、別に見る必要はないぞ」
「え? でも地図を買ったなら見ないと意味がないんじゃないですか?」
「他に準備できることはないかと思って地図の内容を覚えてきたんだ。だから道中で見る必要はないってわけ」
昔から物覚えは悪くない方で覚えるのには大して労力はかからなかった。
「……二十階層分も?」
「ああ」
「……リヴェルさんらしいですね……私はもう驚きません」
フィーアは呆れた顔で言った。
どうしたんだろうか。
「ありがとうリヴェル。道に迷わないならそれだけ魔物との戦闘回数も少なくなる。大助かりだよ」
「俺もそれを見越して覚えてきたんだ。なにしろ初めてのダンジョンだからな」
ダンジョンは資源の宝庫だが、命を落とす冒険者の数も少なくない。
慎重すぎるぐらいが丁度いい気もする。
地図の内容は完璧に把握しているが、一応念のために《アイテムボックス》に収納してあるから大丈夫だろう。きっと。
◇
そのまま歩いていくと、フレイパーラの中央区についた。
ダンジョンの入り口はフレイパーラの中央区にある。
この辺はよく整備されているし、冒険者ギルドの数や冒険者をターゲットにした店の数も多い。
その中でも一際目立つ建物がアレか。
大理石で造られた建物に冒険者達がよく集まっている。
どうやらダンジョンの入り口は、あの建物の中にあるようだ。
大理石の建物の中に入ると、アギトがいた。
「あ」
「あ?」
目が合うとお互い声を漏らした。
「ようアギト。『レッドウルフ』のメンバーがライバルになるとは知っていたが、まさかお前がいるなんてな」
「ああ、俺も勿論知ってるぜ。なにしろ今回のクエストはお前にリベンジするために引き受けたものだからなァ」
……なるほど、そういうことだったのか。
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