16話 Bランクのクエスト
【書籍化のお知らせ!】
第1巻
出版社:アース・スターノベル 様
イラストレーター:紅林のえ 様
発売日:6月15日
既に予約注文が始まっていますので、何卒よろしくお願いいたします〜!
そしてお待たせいたしました!
本日より毎日更新を再開いたします!
あれから一週間が経った。
小耳に挟んだことだが、ギルド『ナイトメア』が解散したらしい。
何があったのか疑問に思うところではあるが、今のところ『テンペスト』に襲いかかってくる兆候は見られない。
そこまで興味があるわけでもないので、少し警戒しつつもこれまで通りの日々を過ごせば良いと俺は判断した。
……そういえば、Bランクのクエストはまだ依頼されておらず、受けることが出来ない。
クエストはギルドに直接依頼されるか、もしくはギルド連盟に依頼されたものが回ってくるかのどちらかになる。
回されるクエストは、そのギルドの評価をもとに適したものが選ばれる。
『テンペスト』は最近まで最低評価だったせいでBランクのクエストが回ってこない。
エレノアさん曰く、既にCランクのクエストが回されているのはかなり期待されているとのことなので、まだBランクのクエストを受けられないからと言って気にしていても仕方ない。
それに、クエストが受けられないなら受けられないで他にやることは山積みだからな。
「……ふぅ、深夜にも行動が出来るようになったのはかなり便利だよな」
部屋にある照明魔道具を付け、俺は魔力を制御し筋肉に負荷をかけながら筋力トレーニングを行なっていた。
それもこれも先日考えた睡眠時間を削るための魔法のおかげだ。
……正確に言えば魔法ではなく、スキルなんだけども。
《剛ノ剣・改》のときと同様に俺はオリジナルスキルを取得してしまった。
俺はこれを《仙眠法》と名付けた。
発想自体は単純で《魔力超回復》を応用したものだ。
そのおかげで《仙眠法》の副産物として《超回復》というスキルも取得した。
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○スキル《超回復》
体力の自然回復量がかなり上昇する。自身の体力が低くなればなるほど、回復量は増加する。
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これらを利用し、成長ホルモンの分泌を魔力で活性化させ、超短時間での睡眠を可能にした。
《仙眠法》での睡眠は、1時間で8時間分の睡眠に等しい。
これで俺は1日のうち23時間を使えるようになった。
みんなが眠っている時間でも俺は努力できるってわけだ。
『あるじ……しずかに……』
『す、すまん……』
俺は筋力トレーニングを止めて、キュウの邪魔にならないように鍛錬することにした。
こっそり部屋を抜け出して、テンペストの闘技場を利用するのも良いな……。
◇
そして次の月になった。
『テンペスト』に所属する冒険者のほとんどが今、ギルドに集まっている。
所属冒険者の数、現在12名。
ギルドマスターは月に一度、ギルドに所属する冒険者の様子を報告する義務がある。
ギルドメンバーのランクの変動も報告に行った際に知らされる。
それについての連絡を聞くためにみんな集まっている。
椅子に座っていたり、立っていたり、とバラバラだがとりあえずは連絡を聞いておこうってわけだ。
「ランクが上がったのは──」
ロイドさんがメンバーの名前を読み上げていく。
Fランクの新人冒険者達はみんなEランクに上がっていた。
「フィーアはDランクからCランクに昇格だ」
「おぉ、頑張った甲斐がありましたね」
フィーアは嬉しそうに笑う。
「やったな、フィーア」
「はい! 最近の私は結構努力してますから」
自慢気に胸を張るフィーア。
実際その通りでフィーアはかなり頑張ったに違いない。
DランクからCランクの昇格はFランクからEランクのように簡単にはいかない。
それを一ヶ月で昇格してしまうフィーアの努力は、大会前と比べものにならないだろう。
たまにフィーアとは模擬戦を行っているのだが、かなり強くなってきている。
スキルを覚えて、戦闘にも幅が出来た。
これからもフィーアはどんどん強くなっていきそうだ。
そして俺のランクは変わらずBランクだった。
まぁ仕方ないか。
Aランクの犯罪者を捕らえたと言ってもBランクのクエストは一つも達成していない。
これで昇格するには流石に無理があるよな。
「それとリヴェル、Bランクのクエスト持ってきたぞ」
ロイドさんはそう言って、依頼書を渡してくれた。
[『ダンジョン・フレイパーラ』の二十階層のボス【ミノタウロス】の堅牢な角を納品]
ふむ、クエストでダンジョンに行くのはこれが初めてだな。
「ダンジョンには4人まで同じギルドメンバーとパーティを組んで挑戦することが出来る。色々と準備することも多いから、気を抜かずにやれよ。──っと言ってもリヴェルのことだから言わなくてもちゃんとやるんだろうけどな」
「そんなことないですよ。忠告してもらえるのは凄く嬉しいです」
パーティか……。
それならフィーアとクルトには是非手伝ってもらいたいところだな。
クルトは今いないので、先にフィーアから頼んでみよう。
「というわけでフィーア、俺とパーティを組んでくれないか?」
「……へ? あ、私で良いんですか?」
「勿論だ。フィーアがパーティに入ってくれれば心強い」
「なるほど……それはそれは……もうリヴェルさんは仕方ないですね、是非よろしくお願いします!」
上からなのか下からなのかよく分からないフィーアの態度が少し面白い。
とりあえず、フィーアが手伝ってくれることになって一安心だ。
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