4話 《剛ノ剣》のお披露目
スキルは常時募集しております。
何回でも書き込んで頂いて大丈夫です!
感想が頂けるだけで凄く嬉しいです!
[スキル《剛ノ剣》を取得しました]
剣を振り終えた俺は一息つく。
無事、《剛ノ剣》を取得することができた。
《剛ノ剣》の威力は《剛ノ剣・改》の6割ほど。
どちらも一回しか使用していないし、直感なので厳密にそうとは言えないだろうけど。
「あれ? リヴェル、今日は随分と早いね」
「リヴェルさんも朝から特訓ですか?」
クルトとフィーアが闘技場にやってきた。
「ああ。《剛ノ剣》を使えるようになったか確認していたところだ」
「えっ!? いつの間に使えるようになったんですか?」
フィーアはウサギの耳をぴょんっと立てて驚いた。
無理もない。
大会が始まる前まで《剛ノ剣》の取得はほとんど進んでいなかった。
マンティコアと戦うことになっていなければ、今も取得できていないだろう。
「ちょうど最近コツを掴んだんだ。で、あとはとんとん拍子に取得って感じかな」
「えぇ……。そんな簡単に取得できますか? これはもう才能としか言いようがないですね。ずるいです。努力」
「まぁフィーアがそう思うのも分かるけど、果たしてフィーアが努力の才能を貰って活用できるのかな?」
クルトが言った。
「へ?」
「リヴェルは魔力枯渇状態を1日に10回も経験しているんだよ。それ以外に魔法の知識も物凄い。それだけの努力を行うことは流石の僕も無理だね」
「あー……そういえばそうでしたね……。やっぱり努力の才能いらないです」
フィーアは可哀想な人を見る目で俺を見つめてきた。
俺は今、褒められているのか貶されているのかよく分からなかった。
「それで取得した《剛ノ剣》の威力はどう?」
クルトが興味深そうに聞いてきた。
「丁度ロイドさんに報告しようと思っていたんだ。かなり面倒見てもらったし」
教え子の成長はきっと喜ばしいものだろう。
あれだけ親身になって教えてくれたんだ。
その恩を返したい。
「そのときに僕も拝見させてもらおうかな」
「あ、私も見たいです」
「じゃあロイドさんを呼んでくるか」
ギルドマスター室に行くと、ロイドさんが仕事をしていたことに少し驚いた。
《剛ノ剣》を取得したので見てくれませんか、と伝えたところロイドさんは嬉しそうに闘技場に来てくれた。
ラルも誘おうかと思ったが、早朝ということもあり不在だった。
「さーて、それじゃあ見せてもらおうか。お前の《剛ノ剣》を」
ロイドさんが言う。
「はい」
俺は返事をし、皆から少し離れたところに移動する。
そして《剛ノ剣》を発動。
空を裂く音は、今まで練習していたものとは比べものにならない。
その光景を見て、ロイドさんは豪快に笑った。
「これは間違いなく《剛ノ剣》だ! まさかこんな短期間で取得しちまうとはなぁ。驚きすぎて笑うしかないな」
「素人目でももの凄い一撃だと分かったよ」
「リヴェルさん本当に凄いです! これは私達が負けたのも仕方ないですね! あー仕方ない!」
フィーアの言う私達は、フィーアとクルトのことだろう。
……そのときは《剛ノ剣》を取得していなかったと思ったが、黙っておくことにした。
「しかし、この《剛ノ剣》には改良できる部分があったんですよね」
「ほう……。一体どう改良するって言うんだ?」
興味深そうにロイドさんが呟いた。
「《剛ノ剣》は全力の一撃ですよね?」
俺はロイドさんに確認の意味を込めて問う。
「ああ、その通りだ。全力で放つ一撃必殺が《剛ノ剣》だ」
「俺が改良した点はそこです。ロイドさんの言う通り《剛ノ剣》は全力で放つ一撃でしかないんですよ」
「……なるほどな」
「へぇー、流石リヴェルだ。考え方が常識に囚われていない」
納得した様子のロイドさんとクルト。
「リヴェルさん、すみません……。私は何も分かりません」
フィーアは何が何だかという感じだ。
まぁ、これだけの説明で察しがつく二人が凄いだけで、普通はフィーアのような反応をするだろう。
「つまり《剛ノ剣》のままでは限界を超えた一撃を放つことは無理なんだよ」
「ふむふむ……なんとなくですけど、分かりました。でも、限界を超えた一撃なんて可能なんですか?」
「可能だ。既に俺はもう取得している」
「ええっ!?」
「へぇ……」
「ハッハッハ! 1日で何回驚かせれば気が済むんだお前は!」
《剛ノ剣・改》もせっかくだし見せておくことにした。
この一撃がどれだけのものなのか、ロイドさんの反応を見れば今後のやるべきことがより明確になる。
「せっかくなので、改良した剛ノ剣……その名も《剛ノ剣・改》もお見せします」
再び、姿勢を整える。
そして、魔力の波を最大の状態で維持させる。
……なるほど、この状態はかなり魔力と体力を消耗するみたいだ。
改めて使ってみると、マンティコア戦の後に3日も眠った理由が分かった。
《剛ノ剣・改》を発動すると、先の地面に斬り込みが出来た。
それは今の一撃が、風圧で地面を斬ってしまうほどの威力を持っていたということになる。
「…………マジか」
「……まったく、リヴェルは凄い勢いで強くなっていくね」
「……さっきよりも凄い一撃を見せられて反応に困ります」
皆、呆れた顔で俺の方を見ていた。
「……ハァ、打倒リヴェルさんの壁が更に高くなりましたね」
フィーアはため息混じりに呟いた。
「目標は高ければ高いほど良い。簡単に達成できるものではつまらないからね」
クルトが答える。
クルトらしい考え方だな、と俺は思った。
ロイドさんは呆然とした様子で俺を見ている。
この反応で大体のことは察しがついたが、俺は念のため今の一撃がどのレベルだったか聞くことにする。
「ロイドさん、今の一撃はどのランクまで通用しますかね?」
「……Sランクのモンスターも一撃で倒せるだろうさ。正直なところ、これ以上を出せるやつは中々いねぇ。お前の父親クラスじゃないと難しいだろうな」
確かにマンティコアは《剛ノ剣・改》で一撃だった。
Sランクモンスターを一撃で倒せるというのは、ロイドさんの話を聞く限り、かなりの威力だということが分かる。
ならば、今後一撃の威力が高いものを求めるのは優先順位として低くなる。
多くのスキルを身につけ、手札を増やすことが実力向上に大きく繋がってくるだろう。
幸い、効果の高いスキルは《英知》でいくつも調べている。
エレノアさんに紹介されたクエストをこなしながら、スキルを取得していくのが今できる最適な行動だろう。
【皆様へのお願い】
「面白そう」
「続きが気になる」
「更新応援しています」
「書籍化おめでとう!」
少しでもそう思って頂けたら、
下にある「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしてくれると励みになります!
(……評価してもらえると、モチベがめちゃくちゃ上がるので最高の応援になります)