3話 キュウの芸
【募集】
いつもご愛読ありがとうございます。
引き続き、皆さんからスキルを募集したいと思います!
『スキル名』『能力』『取得方法』を感想に書いてくれると嬉しいです。
面白いと思うスキルがあったら採用していこうと思うので、興味がある方は是非考えて頂ければなと思います!
※感想返しは出来ませんが、全て拝見させて頂いております!
翌日、早朝に目を覚ました俺はテンペストに訪れた。
早朝だというのにチラホラと人の姿が見えた。
そして驚くことに誰もいなかったカウンターに受付嬢が座っていた。
受付嬢は俺に気づくと近寄ってきた。
「初めまして、今日から此処で受付役を務めさせて頂くことになりましたエレノアと申します! リヴェルさんですよね? よろしくお願いいたします」
年の頃は二十歳ぐらいだろうか。
笑顔で話すエレノアさんからは落ち着いた大人の印象を受けた。
「よろしくお願いします。俺の名前知っているんですね」
「所属する冒険者の情報は記憶しておりますが、誰かと判断付くのはフレイパーラ新人大会で結果を残しているリヴェルさんを含む三名だけですね」
「なるほど」
「リヴェルさんはBランクですが、新人冒険者でギルドの受付嬢の業務内容をあまり御存知ではないかと思います。軽くですが、説明させて頂いてもよろしいでしょうか?」
エレノアさんの対応力は素人のものではない。
どこかのギルドで受付嬢を務めていた経験があるのだろう。
優秀な人であることがすぐに分かった。
「お願いします」
英知で調べれば一瞬だが、良い機会だし説明を聞くことにした。
それに、せっかくの申し出だし。
エレノアさんの説明を要約すると、冒険者に関係する受付嬢の仕事は、
・ギルドに依頼されたクエストの提案
・受注クエストの達成報告
これ以外にも仕事は多いだろうが、冒険者である俺には分かりやすく、簡潔に、関係することだけを説明してくれた。
つまり受付嬢は冒険者が活動に専念できるようサポートしてくれるとのことだ。
それを踏まえて、俺はエレノアさんに一つ頼み事をすることにした。
「エレノアさんの方からギルドに依頼されたクエストの提案をしてくれるんですよね?」
「そうですねー。リヴェルさんはBランクですが冒険者としての歴は浅いのでD〜Cランクのクエストをご提案させて頂くことになると思います。その後、ある程度実績を重ねて頂ければランク相応のクエストをご提案できると思います」
「では一つお願いがあります。提案するクエストは、やり方次第で瞬時に終わるものを選んで頂けませんか?」
「……瞬時に終わるもの、ですか。現状で依頼されるクエストも多くはないと思うので一概には何とも言えませんが、出来るだけ希望通りになるよう頑張りますね!」
「よろしくお願いします」
エレノアさんとの会話を終えた俺は、テンペストの闘技場に向かった。
今日は色々と試したいことがある。
誰もいないこの時間だからこそ、人目を気にせずやりたいことができる。
『そういえばキュウはマンティコアと戦っているとき、大きくなっていたけどそれって今も出来るの?』
まずはキュウについての疑問を解消していく。
アンナが【竜騎士】としての才能を発揮できたのは、キュウが大きくなり戦闘に参加できたおかげだ。
今後の冒険者生活でキュウも戦えるのなら、かなり役立ってくれるだろう。
『ん〜〜〜! むずかしい!』
『難しい? どうしてだ?』
『アンナの力を借りれたからキュウ、おっきくなれた』
『力って魔力のことか? それなら俺から借りれば良いんじゃないか?』
『魔力とはちょっと違う。キュウもよく分からない』
『なるほど……。竜騎士特有の何かがアンナにあったのかもしれないな』
『あ! でもアンナから懐かしい匂いした!』
『懐かしい匂い?』
アンナは俺の幼馴染。
物心つくころには隣にいたし、昔にキュウどころか子竜も竜も見たことない。
アンナの反応も初めてキュウを見たような感じだったし。
『よくわからないけど懐かしい感じがした!』
抽象的すぎるものを英知で調べることは難しい。
そう思い、俺はキュウの『懐かしい』というワードを気にかけながらも流すことにした。
『うーん、気のせいだろう。とりあえず、今のところキュウはアンナがいないと大きくなれないというわけか』
『そうなる』
『今の状態で戦えたりできるのか?』
『うんっ! できるよ!』
どうやらキュウには自信があるようだった。
『ほほう。じゃあその実力を見せてもらってもいいか?』
『あい』
キュウは羽ばたいて、空中を飛び回る。
そして、キュウは空中で大きく息を吸い込んだ。
口から魔力の反応を感じる。
「キュオォ」
なんとキュウの口から火炎が噴出された。
だが、大きさはキュウのサイズに見合うもので全く驚異に感じない。
戦闘に使える、というよりも芸のように見える可愛らしいものだった。
『あるじ、どう? 強そうだった?』
俺のもとへ戻ってきたキュウは何処となく満足げな表情だ。
『……うん、可愛かったよ』
ガーン。
キュウは目を丸くして、口をぽかーんと開けていた。
『……キュウ、ショック……』
「キュウ、大丈夫だ! きっと成長すればキュウもめちゃくちゃ強い竜になるはずだから!」
『……キュウ、頑張る……』
キュウ、頑張れ。
その後、俺は自身の鍛錬に励むことにした。
キュウには危ないから闘技場の隅で待機してもらっている。
鍛錬と言っても、これはマンティコア戦で編み出した魔力の扱い方の復習だ。
土壇場で極限の集中力だからこそ扱えた可能性だってある。
いついかなる時でも存分に実力を発揮出来なければいけない。
「一度、剛ノ剣を放てるか確認してみよう。出来たらロイドさんに報告し、お披露目してみるかな」
《剛ノ剣・改》は取得したものの《剛ノ剣》は取得していない。
ウォーミングアップも兼ねて、身につけた魔力制御を実践し、本当に《剛ノ剣》が放てるのか、試してみることにした。
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