2話 冒険者生活の始まり
【募集】
いつもご愛読ありがとうございます。
早速ですが、皆さんからスキルを募集したいと思います!
『スキル名』『能力』『取得方法』を感想に書いてくれると嬉しいです。
面白いと思うスキルがあったら採用していこうと思うので、興味がある方は是非考えて頂ければなと思います!
ランクを告げられた晩、俺たちはテンペストに集まって食事をすることになった。
俺、ラル、クルト、フィーアにウィルを入れて5人の集まりだ。
テンペストでは酒場の運営を始めたため、俺たち以外にも何人か食事をしている。
その中にはロイドさんの顔馴染みもいるようで、酒を飲みながら愉快そうに会話をしている。
「さぁ新しいギルドメンバーの歓迎会も兼ねて、今日はリヴェルに料理を作ってもらいました!」
ラルがそう言って、拍手をした。
「ラルから5人分の料理を作ってくれ、と言われてな」
「せっかくだし、リヴェルの手料理が食べたいな〜と思ってね。……それに、大きな声では言えないけどリヴェルが作った料理の方が雇っている料理人よりも美味しいわ」
後半は他の人たちには聞こえないような声でラルは話した。
流石にそれはないだろ、と思ったが適当に流しておくことにした。
「えっ!? これ、リヴェルさんが作ったんですか!?」
ウィルは驚いた顔をして、机の上にある料理に目を向けた。
キノコのクリームスープとステーキだ。
「そうだな」
「食べるのが勿体ないっすね……。飾っておきたいぐらいです」
真剣な表情だ。
「飾る方が勿体ないと思うけどね」
クルトがつっこんだ。
「ハッ! そうですね……流石はクルトさん! 食べないとリヴェルさんにも失礼ですよね! ちゃんと美味しく食べさせていただきます!」
真剣な表情をしていたこともあり、飾っておきたいというのは真面目に言っていたようだ。
中々癖の強い新メンバーだな。
『……あるじ、キュウの分のごはんは?』
頭の上で眠っていたキュウだったが、クンクン、と鼻を動かしながら顔を上げた。
『安心しろ。アーモンドも買ってある』
そう伝え、俺は《アイテムボックス》からアーモンドの入った麻袋を取り出し、地面に置いた。
『あもんどっ!』
キュウは頭の上からアーモンドの入った麻袋に飛びついた。
「わわっ! やっぱり、リヴェルさんの頭の上の生物って生きてたんですね」
「あー、そういえば紹介がまだだったな。こいつは俺の従魔で子竜のキュウだ。人懐っこい性格をしてるから可愛がってあげてくれ」
「はい! 精一杯お世話させて頂きます!」
「うーん、キュウは賢いから手間がかからないんだよね。たぶん大丈夫だけど、何かあったらお願いするね」
「了解です!」
「とりあえず、冷めないうちに食べましょ。せっかくリヴェルが作ってくれたんだし、美味しく食べないとね」
「そうだな。話は食べながらでも出来るしな」
「ですね! 私、実はめちゃくちゃお腹空いてたんですから!」
フィーアは胸を張ったが、何の自慢にもなっていなかった。
「アハハ。僕とフィーアは今日も打倒リヴェルを目指して訓練に励んでいたからね」
どうやらクルトとフィーアは模擬戦の訓練を続けているようだ。
なんで打倒俺なんだ? と思ったが、そういえば大会で俺はクルトとフィーアを倒していたことを思い出した。
「そうですよ!……もぐもぐ……」
フィーアはクルトに適当な相槌を打ちながら、一口サイズに切り分けたステーキを口に運ぶ。
「──ん〜〜っ! 美味しいです! 凄く肉が柔らかくて、噛んだ瞬間に肉汁がぶわっと溢れてきて……! 今まで食べたどの料理よりも美味しいですぅ〜!」
涙を流し喜ぶフィーア。
嬉しいけど、大袈裟すぎないか……?
「んん!? めっちゃ美味いっすね! すげえ! 流石リヴェルさん! 美味すぎて人間辞めてしまいそうです!」
ウィルもこれまたオーバーな反応を示した。
「人間辞めてしまいそうって……。ウィルは一体何になるつもりなんだ?」
「ウマっすね」
「……そうか」
よく分からない返しだった。
スルーしておこう。
褒められるのは嬉しい反面、少し恥ずかしい。
そうだな。
話題を変えよう。
「そういえば、クルトとフィーアはランクの件についてはもう知ってるか?」
「ああ。さっきロイドさんから聞いたよ。僕がCランクでフィーアがDランク。そしてリヴェルはBランクだね」
「そうそう。まずは、皆良いスタートを切れたようで安心したよ」
「へ〜、凄いじゃない。大会の結果だけでそんなにランクって上がるものなのね」
「いや、たぶんだけど今回は今までとは違う評価基準だったんじゃないかと思ってる」
「そうなの?」
ラルが疑問に思うのも無理はない。
俺もBランクに配属されたことを喜ぶ反面、不思議に思ったのだ。
冒険者のランクは高ければ高いほど権限が大きくなる。
ランクを決める評価基準は明確に提示されている訳ではないが、冒険者ギルド連盟が信用できる人物に高いランクを与えようと思うのが普通だ。
信用と言ってもその人の人柄や性格などではなく、簡単に言えばどれだけの実績と経験があるかどうかが問われる。
そのため実績を元にランクを決めているのだと思われていた。
だが、今回はそれに当てはまらない。
フィーアのDランクぐらいならまだしもCランクからは中堅クラスの冒険者に多いランクだ。
実績も経験もない俺やクルトにそれだけのランクを与えるはずもない。
英知で調べたが、今までのフレイパーラ新人大会の結果で与えられた最高のランクはDランクだった。
つまり、今回の処置は異例中の異例なのだ。
この背景を軽く説明すると、
「なるほどね〜。もしかしたら何か事情があるのかもね」
「かもしれない。……ただ、実力の高い冒険者は高ランクに上がりやすいのもまた事実。今回からフレイパーラ新人大会後のランク評価の仕様を変更している可能性だってありえる」
「じゃあ変に考えていたって仕方ないわね。ギルド『テンペスト』にとっては追い風なわけだしね!」
「まあそうだが、用心しておくに越したことはないからな」
「オッケー、そこら辺は念頭に置いておくわ」
「ありがとう。助かる」
ランクについて話していると、
「「ごちそうさま〜!」」
フィーアとウィルが料理を食べ終わっていた。
俺、ラル、クルトはまだほとんど残っている。
「リヴェルさん、凄く美味しかったです! 私、貧乏だったこともあってよく節約しながら料理を作っていたんですけど、味はあまり美味しくないんですよね。良ければ、今度私に料理を教えてくれませんか!」
「あ、俺も邪魔じゃなければリヴェルさんに料理を教えてもらいたいです!」
フィーアとウィルがそう言って頭を下げてきた。
それに俺が返事をする前に、フィーアとウィルの後ろに立っていたある人物が返事をした。
「おめえら随分とやる気があるみたいだな〜? 明日からの特訓、厳しくしていくからなぁ〜」
呂律が少し回っていない、酔っ払ったロイドさんがそう告げた。
「ギャー! お父さん! い、嫌です! それだけは勘弁して!」
「お、お、俺、明日は依頼を引き受けようと思います!」
「コラァ! てめぇら逃げようとすんじゃねえ!」
騒がしさを増すテンペストの酒場。
以前とは比べものにならないほどテンペストは賑やかになった。
その光景を見て、俺はやっと冒険者になったのだと実感が湧いてくるのだった。
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