表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/129

42話 《剛ノ剣》の先に

次回で一章完結です。

 此処らが光に包まれた。

 これはマンティコアの能力か? 

 身構えていると、


「リヴェル、ここは私に任せて!」


 背後から風を感じた。

 アンナの声だ。

 そして、颯爽と俺の横を通りすぎていくドラゴン。

 目測で全長約2mほどだが、どことなくキュウに似ている気がした。

 まさか……。

 あれはキュウなのか?


『あるじ! 今助ける!』


 そう思っていると、念話でキュウの声が聞こえてきた。


『キュウ、お前だったか』


 キュウの身体が何故大きくなっているのかはこの際、どうだっていい。

 驚いている余裕なんて微塵もない。

 今はマンティコアを倒すことが先決だ。


『うん! あいつやっつける!』


 大きくなったキュウの能力は未知数だが、身に纏う魔力はマンティコアの方が大きい。

 アンナがキュウに騎乗し、【竜騎士】としての才能を発揮したとしてもマンティコアを討伐できる可能性は低いだろう。


『倒すのは難しい。今はできるだけ時間を稼いでくれないか?』


『わかった!』


『無理はするなよ』


 アンナとキュウのおかげでマンティコアの標的は俺でなくなった。

 このチャンスを逃せば、完全に勝機は無くなる。


 キュウとアンナはマンティコアを相手にどれだけ時間を稼げるか。

 そして、俺の身体は後どれだけ保つのか。

 タイムリミットは近い。


 だが、分かることは失敗すれば全員死ぬということ。


 死なせはしない。


 必ず、マンティコアを倒してみせる。


「ぐっ──」


 毒が段々と身体を侵食してきている。

 フラフラとする。

 身体が自分のものではないような感覚。

 苦しい。

 吐き気がする。


 ……そんなの今まで嫌というほど味わってきただろ。


 大きく深呼吸をする。


 目を閉じ、自身の身体に流れる魔力に意識を集中させる。


 アンナとキュウが作ってくれたこの時間。


 無駄にするわけにはいかない。


 マンティコアの毒によって閃いた魔力の制御方法。

 それを慎重に、そして迅速に応用していく。




 ──できた。




 今の魔力の流れは均一だ。


 あとは、この状態を用いて剣撃の瞬間に全身を硬直させるだけ。



 この状態で剣撃を放てば、間違いなく《剛ノ剣》を取得できるだろう。


 ……だが俺には二つ違和感があった。


 一つは、果たして《剛ノ剣》でマンティコアを倒せるのか? ということ。

 自分が取得できてないものを取得すれば、マンティコアを倒せる可能性が高いだけで必ずではない。

 必殺の一撃と言われるほどの威力があることは間違いないが、俺は《剛ノ剣》を改良する方法を思いついたのだ。

 それがもう一つの違和感だった。


 魔力は波のように最大、最小を繰り返し流れていく。

 それが平均値になるように魔力を均一にさせる。

 これは魔力の流れを全て用いるため、ロイドさんが言う全力の一撃であることは間違いない。


 しかし、これを平均値の状態で維持するのではなく、最大の位置で魔力を維持すれば全力を超えた一撃が放てるのではないだろうか。


 そんなことが出来るはずがない。


 そう思う自分もいたが、古代魔法を応用すれば──実現する可能性が高い。


 現代魔法と違って、古代魔法は自由度が高い分、難易度が高い。

 知識がなければ古代魔法を使うことすらできないのだ。


 平均値から最大値で魔力を均一にする。

 それを実現させるには魔力を均一にした状態で増幅させるように古代魔法を自身に用いる。


 魔力が均一になるよう制御したまま、古代魔法を使用するのはかなり難しい。

 一瞬でも気を緩めれば、改良は成功しないだろう。


「ゲホッ」


 毒のせいか、俺は吐血をしてしまった。

 ポタポタと血が流れる。

 ……これぐらいのことで動揺するな。

 集中力を切らすな。

 自分を信じて、成功だけをイメージするんだ。



 

 ──よし、魔力を最大値で均一にさせることに成功。




 アンナとキュウは、粘り強くマンティコアと戦っているようだった。

 無事だったことに一瞬だけ安堵し、俺は力強く駆け出した。

 俺が瀕死であると思い込み、標的から外し、意識を向けていない今がチャンスだ。


 しかし、俺がマンティコアに近づくと標的を俺に変えた。


「遅いな」


 この状態は《身体強化》の出力を最大にしているときよりも、身体能力が高いことに気づく。

 それもそのはず。

 今、俺が纏っている魔力は自身の限界を超えたものなのだから。


 マンティコアは尾の毒針を猛スピードで動かし、俺目掛けて突き刺そうとした。

 俺が跳躍してかわすと、空中にいる俺に向けて尾は急速に反転した。

 遊びは終わりだと告げるようにマンティコアも本気で俺を殺しにきている。

 空中では自由に動けない。

 だから俺は身を翻して、毒針を避ける。


 空中で剣を構え、マンティコアの首に狙いを定める。

 外せば、待っているのは死。

 一撃で決めれなくても同じ。


 しかし不安は無い。




 限界を超えた今の自分が瞬間的にマンティコア以上の実力を有していると分かっていたからだ。




「終わりだ」




 マンティコアの上に着地した俺は、必殺の一撃を放った。




『オリジナルスキルを創造しました』




 そんなメッセージが聞こえると共に、マンティコアの首を切断した。



 頭と身体が離れたマンティコアはゆっくりと地面に倒れていった。




【皆様へのお願い】


「面白そう」

「続きが気になる」

「更新応援しています」

「書籍化おめでとう!」


少しでもそう思って頂けたら、


下にある「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしてくれると励みになります!


(……評価してもらえると、モチベがめちゃくちゃ上がるので最高の応援になります)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] 良い意味で独創的。 [気になる点] 習得していないスキルの改良ってできるもんですかね?
[一言] 面白いです!!! キュウがどんな見た目なのかとても気になります笑 今後も全力で応援します!!!!
[良い点] 面白かったです! 更新楽しみにまっています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ