40話 分の悪い賭け①
今日は体調が優れなかったのでいつもの半分の投稿になります……。
神様に飛ばされた先は木々に囲まれた森の中だった。
マンティコアに直面したアンナの前ではないらしい。
「キュ?」
頭上から鳴き声が聞こえてきた。
まさかと思い、頭を触るとキュウがいた。
キュウも一緒に飛ばされてしまうとは……。
まずいな。
キュウの安全までも保証はできない。
『あるじ、ここどこ?』
『ここは危ない場所だ。俺の近くには寄らず、少し離れた場所にいてくれ』
『あぶないならあるじのそばにいたい』
『俺が敵と戦うからな。俺のそばにいたら尚更危険だ』
『わかった! キュウ、はなれる!』
『物わかりが良くて助かる』
さて、とりあえずはアンナを見つけないとな。
そのためには探知魔法が役立つだろう。
魔物からは常に魔力が放出されている。
それは魔物が人間以上に魔力と親和性が高いからであり、多くの魔力を含んでいるため自然と外部へ魔力が漏れる。
探知魔法はその魔力を見つけるだけだ。
マンティコアほどの魔物となれば、一目瞭然だろう。
「……見つけた」
一際目立つ魔力に驚いた。
魔力の量と魔物の強さは相関関係にある。
予想以上に強い敵であることは明白だった。
そして、マンティコアのもとへ駆けつけた俺は木に力なくもたれかかったアンナを発見した。
俺がマンティコアの前に立ちはだかると、
「──ごめんね、リヴェル」
アンナの声が聞こえてきた。
「呼んだか?」
つい、反射的に返事をしてしまった。
仕方ないだろう。
好きな子に名前を呼ばれたら、応えない訳にはいかない。
マンティコアを前に会話をする余裕がないことは承知の上で、俺はアンナの方へ振り向いた。
「えっ、なんで……」
アンナの驚愕する表情を見て、俺は頬が緩んだ。
今だけ、命の危険に晒されていることを忘れて俺は昔のことを思い出した。
何気ない日常。
「やれやれ、随分と早い再会になっちまったな」
その日々を思い出し、俺はアンナを落ち着かせようと言葉を紡ぐのだった。
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