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37話 神様との対面

 フレイパーラ新人大会の全試合が終了すると、俺とクルトは表彰台の上に乗った。

 3位は準決勝で俺と戦った【魔法剣士】のようだった。

 表彰台の上に立つと、観客席から多くの称賛の声が届いてきた。


 弱小ギルドだと思われていた『テンペスト』が1位と2位を飾っているのだ。

 みんな驚きでいっぱいだろう。


 表彰された後はフレイパーラの領主からありがたいお言葉と賞金を貰った。

 賞金はなんと、優勝した俺に金貨100枚。2位のクルトに金貨50枚。

 評判を良くするだけでなく賞金まで貰えるとは、至れり尽せりだな。




 大会が終わった俺たちはギルドに戻ると、結果をロイドさんに伝えた。


「ハッハッハ、リヴェルが優勝でクルトが準優勝か! よくやったじゃねーか!」


 ロイドさんは嬉しそうに酒をグビグビと飲んでいる。

 顔は既に赤くなっており、酔っ払っていることが見て分かる。


「決勝戦は非常に良い勝負でしたね……。最高に楽しめました」


 クルトは決勝戦のときを思い出すかのように喋った。


「そりゃ良かったな。クルトはフィーア相手に圧倒してたからなぁ」


「こ、これからはもっと善戦できるようにしていくもん」


 フィーアが言った。


「バカにする意味で言ったんじゃ無いぞ。それより、フィーアもベスト8とはよくやったなぁ!」


「ふふ、リヴェルさんに負けたので実質5位だからね!」


 誇らしげに胸を張るフィーア。

 フィーアの実力なら俺かクルトにさえ当たらなければベスト4にはなれただろう。

 だからあながち間違いではなかった。


「お前ら本当によくがんばった! 今夜は俺の奢りだ! これでパーっと美味いものでも食ってこい!」


 そう言って、ロイドさんは銀貨を10枚、机の上に乗せた。


「お、お父さん……!」


 フィーアは下を向き、感動からか肩をぶるぶると震わせていた。


「いいってことよ。これぐらいのことはさせてくれ」


 ドヤ顔で対応するロイドさん。



「──貧乏なのに気前だけは良いんだからぁ〜! だからお金なくなるんだよ!」



 感動していたのではなく、怒っていたみたいだ。


「賞金が出たので、大丈夫ですよ」


 俺はそう言って、ロイドさんに銀貨を返した。


「お、そういや賞金が出るんだっけな。いくら貰ったんだ?」


「俺が金貨100枚でクルトが金貨50枚です」


「……なるほど、じゃあこれはありがたく返してもらっておこうかな」


 ロイドさんはそう言って、銀貨を懐にしまい込んだ。




 ◇




 大会が終わったことで、酒場やレストランはどこも大盛り上がりだった。

 街を歩けば、よく声をかけられるようになった。

 一躍有名人になったものだ。

 一過性のものだとは思うが、多くの冒険者の中に俺の顔と名前は残るだろう。

 冒険者をするうえで名前が売れるというのは、プラスに働くことが多い。

 もっともそれが悪評であれば話は別だが。


 どこも人で埋まっていたので、俺たちは高級そうなレストランに入った。

 まぁ賞金が出たのだ。

 これぐらいの贅沢をしたって許されるだろう。


 案内された席に座り、俺たちは適当に料理を注文した。


「みんなお疲れ様〜! 無事、三人の誰かが優勝できて良かったわね!」


「そうですね! 流石リヴェルさんです!」


 やはり話題は大会のことだ。


「フィーアのベスト8も十分すごいからな」


 俺は一応フィーアに言っておく。


「そうね。話を聞いていると、フレイパーラ新人大会の参加者自体実力のある人たちばかりみたい。だからその中でベスト8になれるってことはとてつもないことよ」


「そ、そうですかね? ……でしたら嬉しいです!」


 ……ふむ。

 大会を通じて一番成長したのはフィーアかもしれない。

 フィーアは悔しいという感情を覚えた。

 それは大きなバネとなり、この先、フィーアはかなり実力を伸ばすだろう。

 俺も負けてられないな。



 その後、料理が運ばれ、食べ終わるとフィーアとクルトは眠ってしまった。


「よっぽど疲れてたのね」


 ラルが二人の姿を見て言った。


「だな、もう宿屋に戻るか」


「そうしましょ」



 二人を起こして、その日は終了となった。





 ◇





 ん……。


 目を覚ますと、時計の針は12時を指していた。

 随分と眠っていたらしい。

 起き上がろうとしたとき、視界が歪んだ。


「あれ……?」


 起き上がることができずに、俺は再び意識を失うのだった。




 そして気づくと、俺は何もない白い空間にいた。

 なんだろうと、周りを見渡すと一人の女性が現れた。


「こんにちは、リヴェルさん。私はこの世界の神です」


 この女性は突然、自分のことを神様だと言い出した。

 何を言っているんだ? とは思わなかった。

 状況を察するに、普通ではないのは明白であり、この女性が自分を神だと言うなら、そう仮定して話を進めるべきだ。

 それに、ラルやクルトは神の声を聞き、俺について知ったこともあってか、この女性が神であることを疑わないでいた。


「こんにちは」


 俺は無難に挨拶を返すことにした。


「何も驚かないとは流石ですね、リヴェルさん」


 神様の口ぶりは、まるで友達と接するようなものだった。

 随分とフレンドリーな神様がいたものだ。


「しかし信じてもらえている方が話を進めやすいですね」


「……僕に何か話があるんですか?」


 俺はラルとクルトのように自分がすべきことを教えてもらえるのかなと予想した。


「ええ。貴方には伝えておかなければならないなと思いましてね」


「伝えておかなければならないこと……?」


「はい」



 そう言ってから神様は、言うのをためらうように目を閉じた。


 そして再び目を開いたとき、





「──アンナさんに命の危機が迫ってます」





 と、衝撃の事実を伝えてきたのだった。



【皆様へのお願い】


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「書籍化おめでとう!」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ラルが神の声を聞いたって事をリヴェルが知ってるのはおかしいのでは? そんな描写なかった希ガス。
[一言] ふっ…剛の剣が完成してない時点でまだ何かあるとは思ってましたよ。(二章がギルドで修行編だと思ってた
[良い点]  世界観がとてもすき。  主人公が強くなるための理由が好きな人のためな所とかいきなり強くなりすぎてない所とかいいと思った。  これからどんな風に、さらに最強になっていくのか楽しみ。また、強…
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