表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/129

28話 特訓開始

「よっしゃあ! 久しぶりの特訓だぜぇ!」


 闘技場でロイドさんが叫ぶ。

 クルトとフィーアはそれを冷ややかな目で見ている。

 間違いなく一番張り切っているのはロイドさんであることが一目瞭然だ。


「みんな頑張れ〜」


「キュウ〜」


 闘技場にはスペースは小さいが、観客席が設けられている。

 ラルはそこの椅子に座り、キュウはその膝に丸くなり、俺たちの応援をしてくれるらしい。



 これから特訓が始まる訳だが、どんなハードな内容が待ち受けているのだろうか。

 少し楽しみだ。


「ロイドさん、これから行う特訓の内容は皆同じになるのでしょうか?」


 クルトがそう疑問に思うのも無理はない。

 俺たちは【賢者】【魔銃士】そして【努力】とそれぞれタイプが違う。

 例えば【賢者】は【剣士】のような近距離攻撃をメインとする才能と違い、魔法を使った遠距離攻撃を得意とする。

 つまり、身体能力は鍛えにくいが、魔法は鍛えやすい才能ということになる。

 このように才能は長所と短所が明確になっていることが多いため、実力を伸ばすなら短所を補うよりも長所を伸ばす方が有効だ。



「ああ。どの才能にも戦いにおいて基礎に勝るものはねぇ。地道な努力がデカい結果に結びつくもんだ」


「なるほど。そういうことでしたら異論はありません」


「うむ。じゃあ早速始めるか!」


「……ああ、始まってしまいます……あわわわ」


 ぶるぶる。

 隣でフィーアは顔を青くして肩を震わせている。


「……大丈夫か?」


「リヴェルさんは良いですよね……私もリヴェルさんみたいになりたかったです……」


「どうした。てかなんで俺なんだ」


「見てれば分かりますよ……私には耐えれなさそうです……」


「……まぁがんばろうぜ」


 フィーアは恐怖のあまり壊れてしまったようだ。




「よし、それじゃあ最初は此処を100周だ!」



 ……え? それだけ?

 と思ったが、いざ走ってみると結構しんどかった。

 なぜならロイドさんが俺たちに重力魔法を使っていたからだ。

 あとで聞くと『グラビトン』という魔法のようだった。


 自身にかかる重力が5倍上昇し、身体が重かった。

 だが、おかげで良いトレーニングになった。


 クルトもそれに気づいていたようで自分も『グラビトン』を使用することで打ち消し、余裕の表情で100周走っていた。

 これでは特訓にならないのではないかと思ったが、ロイドさんは認めていた。

 魔法を使いながら身体を動かすことは難しいらしい。


 フィーアは50周ぐらいまで頑張っていたが、途中でギブアップ。

 ロイドさんに怒鳴られ、泣いていた。



「ふぅ、案外疲れるね」


 クルトが額の汗を拭う姿がなんとも様になっていた。

 貴族、それも領主の息子で才能があって、顔も良いし、性格も良い意味で貴族らしくない。

 ……あれ? 欠点なくね?


「だな」


 体力はあまり鍛えられていなかったので、これからもこういったトレーニングを取り入れていこうと思った。



「よーし、次は魔力を放出して魔力枯渇状態になれ。実戦的な特訓はその後だ」


「ぎゃあああああ! やっぱり!」


 フィーアが泣き叫んでいる。


 魔力枯渇状態か。

 さっきフィーアが「リヴェルさんは良いですよね」と言っていたのは、これが原因しているのかもしれない。

 まぁ俺だって苦痛なのに変わりはないんだが。



「フィーアうるせえぞ! 【魔銃士】は結構魔力を使うんだからよ。これから毎日させていくからな」


「ひいぃぃぃぃっ!」


「まぁいつも通りと言えばいつも通りか」


「そうだね」



 魔力枯渇状態には毎日10回はなっている。

 クルトも俺を真似て1日1回は必ず魔力枯渇状態になるようにしているので、日課みたいなもんだ。



「ん? お前ら、いつもやってんのか?」


「まぁ一応……」


「僕は1日1回ですけどね。リヴェルは10回ぐらいなってますよ」


「おまっ──」


 そんな正直に言っちゃうと、ロイドさんが引いてしまうだろうが!


「10回だと……!?」


 クルトが告げ口したせいで、ロイドさんはドン引きしてしまいました。

 クルトのせいです。

 あーあ。


「──すげえな! リヴェル、お前は間違いなくアデンを超えるぜ。アデンでも1日に5回とかだったからな」


 ……あれ? 引いてない?

 てか、父さんも俺と同じようなことをしていたのか。


「いやぁそうかそうか! もしかするとお前ならいずれ《()()()》を物にできるかもな」


「剛ノ剣……?」


「ああ。剣撃に体重全てを乗せる一撃必殺のスキルだ」



 いいことを聞いた。

 俺には必殺技と呼べるような強力な一撃を持っていない。

 是非、そのスキルを取得したいところだ。

 早速、英知で調べよう。



 ────────────────────


 ○スキル《剛ノ剣》

 魔力を身体に纏い、剣撃の瞬間に全身を硬直させることで強力な一撃を放つ。


 ○取得条件

 《剛ノ剣》を自力で放つ。


 ────────────────────



 ……取得条件が《剛ノ剣》を自力で放つだと?



「ロイドさん……」


「ん?」


「そのスキル、良ければ伝授してください!」



 俺はロイドさんに土下座して頼み込んだ。



「ガッハッハ! 良い心がけだ! よし、教えてやる! その代わり途中で諦めんなよ?」


「はい!」



 《剛ノ剣》を取得できれば、間違いなく強くなれる。

 そして、これは俺の切り札となる。


 《剛ノ剣》……必ず取得してみせる。



【皆様へのお願い】


「面白そう」

「続きが気になる」

「更新応援しています」

「書籍化おめでとう!」


少しでもそう思って頂けたら、


下にある「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしてくれると励みになります!


(……評価してもらえると、モチベがめちゃくちゃ上がるので最高の応援になります)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] クルトは狂犬従姉妹を野放しに しておいて、対応出来なかったら 死ぬ様な魔法打ち込んだ従姉妹の 所業を軽い言葉で謝ったのみ でしたよね? どこら辺が完璧人間なのか?
[一言] 剛ノ剣がまんま刃牙と思ったら、同じ感想を持った人がいた
[良い点] 展開が早くサクサク読める The なろう作品って感じ [気になる点] 主人公が頑なに「英知」スキルをひた隠しにしてて胡散臭い 展開が早すぎるしご都合が過ぎ気味 「努力」がテーマだと思…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ