22話 探知魔法②
ワイルドボアの肉は肉質がしっかりとしており、良い味が出る。
帰る道中に見つけたキノコや根菜も良い食材となる。
《英知》のおかげで見つけたキノコや根菜が食べれるものであるかどうかは確認済みだ。
ラルに塩を売って手に入った金貨で色々と食材を買っておいて良かった。
バターとミルクを使って、ワイルドボアのクリームシチューを作る。
魔法で鍋に圧力をかけることでワイルドボアを最大限に活かしたクリームシチューの完成だ。
「ん〜っ! やっぱりリヴェルは料理が上手ね!」
ラルはスプーンでシチューをすくい、口に流しこんでいく。
「……おお! リヴェルは料理まで上手なのか! 専属のシェフ並の美味さだ! これは料理の才能を貰ったと言われても信じてしまうレベルだね……」
「それは言いすぎじゃないか?」
「そんなことないさ」
「本当に美味しいよ!」
クルトとラル、二人とも笑顔を見せている。
今なら何とか二人の仲が悪くなった原因を聞き出せるかもしれない。
適当に会話を弾ませてから俺は本題に切り出した。
「二人は何で仲が悪いんだ?」
「んー、家の事情かな」
ラルは言った。
家の事情か……。
クルトは領主の家の息子。
ラルも見るからに大きな商会を持つ親の娘だ。
何か言いにくいことがあるのかもしれない。
「そうだね。それもデカいけど、僕は単純にラルが苦手だよ」
「こっちのセリフよ」
「なるほど」
俺はそう言って、一人でウンウンと頷いた。
この二人の仲が良くなるには時間が必要みたいだ。
『この二人おもしろい!』
キュウは仲の悪い二人を見るのが好きなのかもしれない。
『なんで面白いんだ?』
一応確認の意味も込めて聞いてみた。
『よくわからないけどおもしろい!』
キュウは幼いので何にでも興味を持つのかも。
まぁ嫌がってないようで何よりだ。
◇
そして6日後、迷宮都市フレイパーラに到着した。
関所を抜けて、街に入ると冒険者の数に驚いた。
冒険者ギルドの勧誘をしている人達も多く「冒険者の街」と言われるだけはあると納得した。
フレイパーラにラルの商会の支部があるからそこに馬車をとめた。
「これから俺とクルトは冒険者ギルドに登録しに行こうと思うんだが、ラルはどうする?」
「私もついていこうかしら」
「止めておけ。商人のお前が冒険者になんてなれる訳ないだろう」
クルトが言うことはもっともだった。
商人は戦闘職とは違って強くはないので旅の際には護衛を雇うぐらいだ。
「冒険者になる気なんてないわ。良い冒険者ギルドを探すぐらい協力するわ」
「それは助かる。ありがとなラル」
「ま、リヴェルにはお世話になっているし。これぐらいはね」
「それなら僕が言うことは何もないよ」
フレイパーラまでの道のりで、クルトとラルは喧嘩を全然しなかった。
最初の雰囲気では喧嘩に発展するかと思っていたが、そんなことはなく仲が良くないもののそこまで悪くはないように思えた。
「あ、あの! もしかして冒険者ギルドをお探しですか?」
声をかけられた。
声の主の方を向くと、頭からウサギの耳が生えている獣人がいた。
「よ、よければウチのギルドに入りませんか!?」
どうやら冒険者ギルドに勧誘されているようだ。




