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12話 念話

 ────────────────────


 ◯スキル《従魔契約》

 魔物を従わせる際に使う契約魔法。このスキルは【魔物使い】系統の才能が無ければ取得できない。


 ◯取得条件

 スキル《念話》を使用し、魔物と心を通わせる。


 ────────────────────



【魔物使い】系統の才能が無ければ取得できない、と書いてあるのに取得条件がある。

 このことから分かるのは、やはり《英知》の情報は完璧でないということ。

 もしくは【努力】の才能があるから、例外に取得条件があるのか。


 考えても埒が明かないし、深く考えるのは辞めておこう。


 《従魔契約》を取得するには、まず《念話》を取得する必要がある。



 ────────────────────


 ◯スキル《念話》

 魔力を相手に飛ばし、自分の意思を伝える。遠くにいる相手に《念話》を使いたい場合は魔力を飛ばす必要がある。


 ◯取得条件

 《魔力循環》を所有した状態で自分の魔力を相手に届け、身体全体に循環させる。


 ────────────────────



 ……なるほど。


 とにかく《魔力循環》が取得の鍵ということだけは分かった。

 しかし、相手に魔力を届けるとは一体どういうことだ?



「キュウゥン……」



 檻の中で子竜は眠そうな鳴き声をあげた。


 本来ならば商人の持つ許可証が無ければ檻の中に魔物を入れて持ち運ぶ事はできない。

 だが、町長は盗賊退治のお礼に一日だけ持ち運びを許可してくれるとのことだ。


 子竜の目は半分閉じており、それでもなお俺を見つめている。



「ん? 俺が起きてるから寝れないのか?」


「キュィ」


 まるで返事をしたみたいだ。


「よし、じゃあ寝るか」


 そう言うと、子竜は頭を尻尾の上に置いて枕のように使いながら丸くなった。


 俺も寝るか。


 寝ている子竜に小さな声で「おやすみ」を言った後に俺は眠りについた。




 ◇




 翌朝。

 先日出会った冒険者3人が朝食を食べに宿屋の1階に訪れていた。

 そこで盗賊について聞かれたので片付けたことを報告すると、




「えぇ!? 本当に一人で退治したんですか!?」


「強すぎません……?」




 ピートとケイトは何か驚いている様子だったが、盗賊相手だぞ……?


 《英知》で調べたから弱いことは明白。

 だから俺一人で退治しても別に不思議な事じゃない。







「すみません、もう一つパンください」




 ダンは見た目通り沢山食べる奴だった。






 そういえば、と俺はふと《念話》について思い出した。


 《念話》を取得するときは《魔力循環》が何やら大事だった。

 《魔力循環》は常時発動しているスキルで今も俺の全身に魔力が循環している状態だ。



 つまり、《念話》を取得する際に最も大事になるのは魔力の扱い方なんじゃないか?



 だから俺は才能が【魔法使い】のケイトに話を伺ってみることにした。


「ケイトさん、良ければ魔法について何か教えて頂けませんか?」


「いいですよ! リヴェルさんの役に立てれば光栄です!」


 ケイトは快く承諾してくれた。


「ケイトさんは《魔力操作》や《魔力循環》といったスキルを取得してます?」


「あっ。《魔力循環》は、まだ取得できてないんですよー」


「え、どうしてですか?」


 魔法使いには必須なスキルだと思っていたが、違うのかな?


「んー、なかなか取得できないんですよー。というより、リヴェルさん才能は【剣士】関連ですよね? 魔法関連のスキルに随分と詳しいんですね」


 ギクっ。


「友達に【魔法使い】の才能のやつがいて、少し興味があったんです。大事なスキルとは聞いていたので、ケイトさんにもお話をお伺いしたいなーと」


「なるほど! さすがリヴェルさん! 勉強熱心なんですね!」


 ……ふぅ、と内心胸を撫で下ろした。


 才能が【努力】だと印象が悪いからな。

 出来るだけ隠していきたいところだ。


 その後、少しケイトさんに魔法について聞いたが《念話》を取得する手がかりとなる情報は得られなかった。




 ◇




 朝食を済ませた俺は檻の中にいる子竜と向き合って、腕を組み、頭を捻らせていた。



「……一体《念話》はどうすればいいんだ?」



 もう考えても埒が明かない。

 とりあえず色々と試してみるか。


 魔力を放出してみる。

 外に出た魔力を操作し、子竜の全身を巡らせようとする。

 しかし、魔力は身体の外側を覆うだけ。

 動かしてみるが、これでは意味がないようだ。


 やはり身体の内側で循環させないと、取得条件を満たせないのかもしれない。





『……ね……んわ……』





「ん?」





『……ねんわを……つかいたい?』





 一度目は気のせいかと思ったが、二度目はハッキリと分かった。





 ──念話を使いたい?





 そう聞こえた。



 ……ん?



 っていうより、これがもう念話なのでは?



「誰が話しているんだ?」



『めのまえ』



 目の前?



 ……目の前ってまさか。



「……お前なのか?」


『うん』




 なんと、子竜だった。





 俺が《念話》を使って会話をしようとしていたのに、まさか相手の方から使ってくるとは……。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 盗賊の方が一般人や衛兵より強いということになぜ気がつかないのか。英知というスキルを持ってるのに頭が悪いのは違和感しかなく、これ以上読み進められません。 あと勘違いタグをつけた方がいいと…
[良い点] ドラゴン赤ちゃん絶対可愛い
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