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第8話 挑戦?

「それでは、これから部活動紹介を行いたいと思います。」

そんな感じのふわふわした感じから始まった。まぁ、なんでさっきまでの建前上の威圧感がなくなったかというと司会進行役を務めていたのが先生ではなく、生徒会であったからである。

…まぁ、漫画にあるような美男美女ではないのは言わないお約束。

「というわけでまずは運動部の方から説明させていただきたいと思いますー。手元にある、部活動案内のチラシを見てください。」

そんな緩いセリフで何か始まりだす感を思いっきり出してる。まぁ、みんな手元を見ているようになるわけだから、首は自然として下に動くわけなんだけども。

 唐突だけど俺のクラスは、E組なんすよ。あ、うち結構なマンモス校なんすけど。前から5番目になってるんすよ。そのうえでみんなの首が一斉に下を向くわけで。要約すると。

「あ、ねぇねぇ藤原...君だったよね」

声をかけるタイミングであったっつーことになるわけですな。バレねえもん。なんだけど。

「・・・」

無言かよこいつ。聞こえてないのかって思って、声をかけようかと思ったけど。

「...なに?」

寝てるわけでもなく反応に遅れただけであった。

「あら、起きてた。とりま自己紹介を一応」

「・・・羽田だろ。」

「あれ?覚えてた?」

「...前でうるさかったから」

これ、覚えてたんじゃなくて眼をつけられてたっていう方が正しいんじゃねぇの?って思ったけどまぁいいや。それならそのキャラ付けを利用して

「そうかい、そりゃ失礼。藤原って部活なんかやってたん?」

「...うん」

「...そうなんか。」

「...うん」

マジか。こいつ会話したくねえのかな?ってくらいの反応やんな。どうしよ。もう少し声かけようかな?それとも真面目に聞きたいんかな?

「・・・じゃあ、何部だったん?」

とりあえず聞くことにした。まぁ、不愛想っぽいしぐいぐい行くに限るよね。

「卓球部やった。」

「あ、割とメジャーやんな。」

「...おう。」

砕けてきたかな?どうなんやろ?

「・・・お前は?」

「羽田でいいよい。俺も藤原で呼ぶから。」

「...おう。」

なんかこれから先「おい」とか、「おう」とか、「ねぇ」とか呼ばれそうだな、この感じ。とかそう思ったけど、まぁ置いといて。それ以上に聞き返してくるって、興味持たせることできたかな?

「俺はハンドボール部だったよ。あの、黄色いボール使うやつ」

「...わかんねえ」

「だよねー。マイナースポーツに分類されるからねぇ。」

「...おう」

「そこは否定してほしかったかな。」

そんなこんなしているとなんか書類上の説明かなんか終わってたようで実演形式の説明が始まる。

「おっと。始まるからまたあとで」

「おう。」

よし、これで後で声かけても怒られなさそう。卓球部くらいはあるだろうしそん時声をかければいいかーとか思いながら紙に目を戻す。そしてあることに気づく。

(あれ?送球部(ハンドボール)ないやんか?おかしいな?廃部にでもなったのかな?)

俺は中学時代の結ノ上市の中学校で高校が決まってから引退式として部に行きコーチにあったとき。

「あそこのレベルは低くはないけど、高くはないから、まぁ、羽田なら活躍できると思うぞ。」

と、声をかけていただいたし、ちらっとグランドを見た時、ハンドボールのゴールがあったのは覚えているんだけれども。どっか行ったんかな?

(まぁいいや)

あっさり記憶から消去して、他の部活でめぼしい物を見ていく。

(やってみたかった弓道やろうかなぁ...茶道もあるし、剣道もあるな。)

この子は道が好きなのか、日本が好きなのかという考え方をしている。脳みそ日の丸かな?

「ねぇねぇ、羽田」

「なんだなれなれしい」

「(´・ω・`)」

突然の戸張、辛辣な羽田。

「...何?」

「部活何入る?」

「メジャーな質問過ぎてつまらない、三点。」

「うわひどい」

そんなことを言いながら、紙に目を落とす。そうして言い放ったこと

「知らね」

「うわ自分のことなのに」

「ないから作ろうかな」

「何部?」

「ボードゲーム同好会」

「うわだせえ」

「どつくよ?」

「さっきどつかれた。」

「じゃあ、殴る。」

「さっき殴られた」

「じゃあ殺す」

「怖い」

 あっさりと、ふざけるように述べたが割と本気である。この男、当時TRPGというものにはまっていた。しかしながら、TRPG愛好会を作りたくてもそもそも学校活動としてあまり面白くもないし、知名度もない。今でこそ、TRPGという分野は知名度を増してきたような気こそすれど、当時はあまり人気のない、日陰の分野であったといっても過言ではない。...やっぱ過言かも。そんなわけで、嘘はついてない、という遠回しな逃げ道確保をして実行してやろうかと画策していたのである。

「例えば、人助けメインの部活とかやればいいのに」

「ボランティアにでも行けば簡単な話じゃねえか」

「いや、ラノベみたく」

「あんなわけわからんところに頼み込みに行くやつの気が知れないしそこに行くやつは相当級の変人か藁にでもすがりたい末期しかいねえよタコ」

「ひどいけど確かに...」

「だろ?」

「いやでも、内情を知ってたりする知人が来たり」

「それ、多分パシられるってことに近いんじゃねえかな?」

「・・・確かに」

「加えて俺なら個人的に知恵を借りたりっていう風にするしわけわからん事件が起きない限りたよられねえような部活動を学校がお金を払ってまで残すとも思えないし第一そんな部活が認可されるわけないし生徒主導のボランティアなら生徒会とかいう便利組織が学校側には存在す」

「俺が悪かったからこれ以上幻想(フィクション)をこわすな」

「砕きたい、その幻想」

語呂よく答えて、ふう、っと一息つく。

 まぁ、そんな幻想が存在してほしいって気持ちはわかる。だから、恋愛小説とか青春小説、バトルものとかの非日常が人気が出るんだし。俺だってそれに夢を見たいひとりだし。

「届かぬからこそ...ってやつだからいいんじゃねか」

「まぁ、それもそうだな」

「うむ」

と、あっさり締めくくり首を軽く鳴らして、回す。肩凝るし、しょうがない。

 そう勝手に思いながらも、説明会はもう少しだけ、進んでいく。




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