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第2話 イかれたメンバー紹介

 担任が入ってきて、俺の高校生活(せいしゅん)が始まって。って思ってたんだが

「青山です。よろしくお願いします。」

 自己紹介とか何始めちゃってんの!?大っ嫌いだよ?浮くよ?

 ことのあらましは、担任が入ってきた時のセリフに巻き戻る。


 担任が入ってきて、教卓に立って一言

「今日から君たち、1年E組の担任をします、最上と言います。よろしくお願いします」

と、真面目そうな感じで話していく。

(なんか緩いな…)

 冬樹はなんとなーく、なんとなくだが作為的な緩さを感じながら、ぼーっと聞き流していた。

「とりあえず宿題回収しようか。」

(あ、やっぱり。徹夜で進めてよかった)

 後ろから流れてくるものを何事もなく前にぽいっと、渡す。

「あ、サンキュ」

「ん?あ、おう」

 ここで初めてクラスのやつと話す。前の席のやつで、ラノベを読んでいた男だ。

「あ、俺、戸張進也(とばりしんや)

「あー、俺は羽田冬樹、よろしく」

「よろしく、冬樹」

あれ?存外簡単な話できたぞ?

と、思った冬樹ではあったが、この男は一つ大きなミスをしていた。この男、戸張進也は一番やばいやつであったのだが、それをまだ、知らない。


 そんなこんなで宿題を回収したのだが。その次の発言がまずかった。

「よし。集めたところで。自己紹介といこうか。」

(自己紹介!?いや待て待て待て。これミスったら色々詰むじゃねえか!)

 自己紹介とは、基本的に最初の挨拶と大して変わらない。なんといってもそもそもその人がどういった人か、を把握するために必要なのだから。そこで第一印象が決まるのだろう。つまるところ、学校生活が決まると言っても過言ではない。

 だがこの男、はっきり言おう。やばいやつである。

中学時代、授業こそ起きてその場の課題は難なくこなすものの、その後の勉強はせず、常に読書をし続けていた男である。問題児である。

 そう、問題児であるのだ。だがしかし、このご時世、問題児はやばいやつ認識で固定されやすい。

(やっべえ…嫌な予感しかしねぇ…猫かぶんなきゃ)

そしてふと気づく。

(あれ?そういえば担任のこの感じ…猫かぶってる感じの…狸か?この担任)

 この疑惑はのちに確信になるが、しかし、違う。今じゃない。

(はーあー!やべえよー!めんどくせえよー!)

そうして順に進んでいく。

「青山です、よろしくお願いします。」

(ふむふむ、出席番号1番、青山か)

 焦りながらも、周りに合わせるために軽く聞いて整理していく。

「按司です。よろしくお願いします。」

(で、あの天パが按司か)

と、真面目に思考をしていた冬樹が次のやつをみて固まる。

「アルベルトです。よろしくお願いします」

(でっか!?ってか日本人じゃねえ!?いや、え?うちに来た外国の子?え?)

 自己紹介でテンパってた冬樹には十分すぎるインパクトであった。

 180を超える巨漢。加えて外国系の彫りの深い顔立ち。そして名前。そのインパクトはまさしく巨人。いやアルベルトだから巨人とかそういう話じゃなくて。

 マジで驚いたのである。

そして思考停止をしてから少しして。

「戸張です。よろしくお願いします」

 本当はこんな二言程度ではなく、好きなものとかの話もしなくてはならない。なんでしてないんだって?

 ぶっちゃけテンパっててそんなの聞く余裕がなかったからだよ。

 そして自分の順番が回ってくる。

「羽田です。好きなものはゲームと読書です。それより好きなことは楽しいことです。なので楽しいことがあったら是非誘ってください。よろしくお願いします」

 …やっちまった。なんとなくそんな感じが頭をよぎる。

(いや待て待て待て。頭おかしいだろ!?読書とゲームはまだいいけど。楽しいこと大好き!?楽しいことあったら誘え?クレイジー!マジでイカれてやがるわ。)

 あかんなぁ…と流石に少し反省をした羽田であったが次のやつの番になり少し冷静さを取り戻す。

「藤原です。卓球部でした。ゲームとか好きなんで。よろしくお願いします」

 無愛想なやつではあったが、ゲーム関連で少し安心もする。実際のところは面白いやつでおかしなやつではあるのだが。

 次がやばかった。

「本田です。中学時代の友達からはクレイジーと呼ばれてました」

『!?』

 もっとやばいのがいたのだった。

 次の全員の関心はわかりやすいだろう。代表して担任の最上が。

「どうしてクレイジーって呼ばれてたの?」

と。すると本田は端的に

「授業中に下ネタを散々言ってたりしたからです」

(oh、crazy)

 やべえやつ認定はこいつのためにあるのではないか?

 そう羽田を持ってしても思わせたほどだった。

「まぁ、とりあえず一年間よろしくお願いします」

 さらっと本田はそう締めて、一礼し、席に座った。

(…仲良くできる気がする。)

 何故だかなんとなく、そんな気がした冬樹であった。


 え?他の自己紹介?そんなに事故紹介にもなってなかったから、大して記憶にも残ってないんだけど。

 …記憶違いじゃなきゃ、アニメ大好き腐女子です宣言したやつもいた気がするが、俺はそんなに興味なかったので、ガンスルーの方向で。

 そんなわけで、まぁ自己紹介、ならびに事故紹介が終わったわけで。一通り終わったタイミングで、最上が口を開いた。

「なんか随分と個性的だね…とりあえず一年間よろしく。一応自分も自己紹介をしといた方がいいかな?」

 と、最上が軽く自己紹介をする。その間、自分は睡眠不足で回らない頭を回しながら全員の把握をしようと努めた。


…某二人にインパクトを持ってかれて無意味だったが。

 そんなわけで無意味で不必要な予行(時間の無駄)をやることになって。移動してたんだが。

「ねー。お前読書するゆうてたやん?何読むん?」

戸張が話しかけてきた。

「んー?ラノベの類だよ?お前が朝読んでたのはわかんねえけど、まぁ、有名…っぽいやつかな。」

 具体的な名前まで出して話してた気もするが、まぁ、名前を出さないよね。

「某黒の剣士のやつ読んでる?」

「いや?某魔術教師とか、某生徒が闘うやつとか」

 …具体的な名前は出さないよね。

「あー。あれか。俺も読んでるよ」

「やっぱり?なんか話し口調の節々から某魔術教師のような惰性を感じる。というか…まぁいいや。」

 言いかけた言葉を飲み込んだ。

「んー?なにー?」

「何言おうとしたか忘れた。」

「ボケてんじゃねえの?」

 嘘である。多分某魔術教師に憧れてるのか。もしくはコミュニケーションツールになると思ったのか、まぁどちらにせよ聞かない方がいい気がしたからではあるが。

(藪つついて、蛇で済めば、まぁ僥倖ってとこだけど、つつく必要ないなら、触らぬ神ってとこだし。)

「ま。よくあるだろ。」

「せやな」

 そんなくだらない話をしながら整列して。んでもって殆ど何もしないで、まぁ列が云々とか、お辞儀の正しい角度とか、まぁ色々あったけども。綺麗さっぱり頭に入らず。その場で適当に流して終わりましたとさ。

 こんな調子で、この日を終えた。そうして家に帰り、爆睡をし、親にこんな感じだったと飯食いながら話して、風呂に入り、と普通に1日を終えたとさ。


 と、まぁ、こんな調子だった。こんな調子だったから、翌日、ちょっとした、ちょっとした事件を起こしたのだが、それはまた、別のお話。


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