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07 転生悪役令嬢は釘を刺す


「これは一体……」


改めて、その口調や態度からカメリアの中身がゲオルク様であることに間違いはないようだ。自覚したとはいえ、自分の体をまじまじと見られるのは何だかこそばゆい。


「どうやら私たち、入れ替わって生まれてきたようですわね……」

「お、おい俺の姿でその口調はやめてくれないか……」

「ゲオルク様こそ、私のその姿でそんなはしたないことしないで下さいまし」


ゲオルクの姿で仕草が優雅なのはまぁともかく、カメリアの姿でゲオルクの振る舞いをされては堪ったものではない。淑女として、しっかりとレッスンに励んでもらわねば。ゲオルクとして振舞ってきたけれど、お互いの状況を知っているのならば少しくらい気を抜いたってかまわないかしら。幸い、この頃のゲオルクの見た目は中性的なのですし。ただ恐らく、今の私の方が剣の鍛練に打ち込んで鍛えているはずなので、将来は以前のゲオルク様よりもがっちりしそうですが……。 このカメリアは前世の私のように努力をして美しく成長できるのかしら。


「ゲオルク様、もうこの際ですから私の身体でどうしようと私はそれを咎めたり騒いだりしません。私も責任を持って!このゲオルク様の身体が!綺麗なまま生きると誓います!」

「落ち着けカメリア!と、とにかく……この事は誰にも言わない方がいい。これからどうするかはまた会った時に話そう。幸い俺たちは……また婚約者なのだから……」


“また”婚約者。たとえ立場が変わっても、ゲオルクとカメリアの婚約という運命からは逃れられない。私がゲオルクである以上、アンリ様を無視してカメリアを選び続ければ事は上手くいく。だけどカメリアは、ゲオルク様は一体どうするおつもりなのかしら。つい口ごもってしまうと、カメリアは不安げな表情を見せた。


「え、えぇ……そうですわね。ゲオルク様、妃教育を甘く見てはいけません。私の前世での努力の賜物、『花群青の君』と呼ばれる立派な令嬢になってください。決して、お母様を悲しませぬようお願いいたします……」


美しい母に恥じぬよう、私は幼く頃から努力をしていた。一刻も早く、完璧な淑女となりヴィンラント公爵令嬢の存在を知らしめ、亡きアメリア姫を誰の心からも忘れられぬように。


「任せろ。叔母上の名に恥じぬ美しい令嬢になってやる」


私の言葉を素直に聞き入れてくれたゲオルク様は、手を差し出してくれた。あぁ、アンリ様に会う前の彼だわ。何も言わずとも、自然と私の手はそれに重なる。懐かしい……。私たちはこうして、二人で遊んでいた時にはよく将来のことを話し合ったもの。国が決めた許嫁だから結婚するのではない、お互いに良きパートナーとして信頼の絆があるからこの御方と結婚できると、前世の私はそう考えていた。


「もうじき時間です。ゲオルク様、いいえ……カメリア嬢、近いうちにまた会おう」

「えぇ、必ず」


火刑にされたことを赦したわけではない。そもそも、私は未練や悔しさの方が大きくて、怒りどころではなかった。遠くに見える母の姿に、胸が締め付けられる。憧憬する母を母と呼べぬ悲しみを、何処にも遣ることはできないのだ。



私はカメリア•ヴィンラント。現世ではゲオルク •カメルリア王子殿下。私はもう深窓の令嬢なんかではない。望めば力が手に入る王の子である。元の身体に戻ることが出来ぬのならば、もう迷いようもない。この胸に宿るのは、一筋の導きの野心のみ。



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