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幻想症候群に関する事例報告、および科学的見地より考察される諸事項について

作者:李 志明(Li Zhiming), ミラ・イコック大学 文化人類学部 生命進化論課程 助教授
英題“Case report on Fantasist Syndrome and matters considered from a scientific point of view”

西暦3027年現在において、

奇怪な病、と呼べばいいのかわからないが、世界中で奇妙な現象が起こっている。

ある朝、朝食を食べた後に激しい吐き気と腹痛を訴え、病院に運ばれたある患者は、
それまで何気なく食べていた肉が食えなくなり、少しずつ耳が長くなり、鉄にアレルギーを持つようになった。
予後観察の結果、老化反応が限りなく遅くなっており、老衰までの推定寿命は理論上500年以上と診断された。

近年奇妙な形だが高品質で栄養豊富な人参を作ることで有名な農家がいた。
彼は最近人参が盗まれることに悩まされていたので、カメラを設置して警戒した。
カメラが捉えた映像の中で人参は盗まれていなかった。
人参は自ら土の中から這い出てきて、どこかへと歩いて行っていたのだった。
翌朝、絶叫のようなものを聞きつけた隣の牧場の畜主が彼のもとを訪れると、ほとんど人型の人参を握りしめて絶命している農家の姿があったそうだ。

この他にも動物、虫、果てには環境そのものまでもが変異を起こしている。
原因、感染経路、検体の関連性、ともに無し。
共通点は一つ「理解不能、現代科学の理論において説明不可能な非可塑性変化が起こっている」という点のみ。

私は、まるでファンタジー小説の世界が侵食してきているかのようなこの現象に「幻想症候群《Fantasist Syndrome》」と名付け、各種症例を記録するとともに、科学的な知見から解析を挑もうと思う。

たとえこれが徒労に終わると思いながらも、いずれ訪れるであろう感染拡大に向けて少しでも見識を深めることに意義はあると考える。

~引用 序論より~
序論
2018/10/29 14:58
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