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私の妹(姉)が可愛すぎる!  作者: カオルコ
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あんな子と付き合えるのアンタぐらいよ

各クラス全員が集まったのを確認すると先生から修学旅行についての注意点があげられた。


一、走るな

二、騒ぐな

三、邪魔するな


まるで野生動物に対する注意書きみたいだけど血気盛んな高校生にはこれぐらい大袈裟に伝えた方が良いのだろう。


実際、女子風呂を盗撮するだなんてふざけたことを考えてる族がいるみたいだし。どっちかといえば注意したりないぐらいかもしれない。


まあ言えば問題行動が無くなるって訳じゃないんだけどね。こればっかりは個人の倫理観にゆだねるしかないから難しいところである。


話しが終わると早速新幹線へと移動する。


切符は先生が一括で管理しているから私たち生徒は決められた車両に乗り込むだけだ。ホームで数分待っていると轟音と共に白い残像が目に映る。新幹線が目の前を通り過ぎる。


車両が一つひとつ各ホームで止まる中、出てくる人がいないのを見計らって生徒たちが一斉に車両に乗り込む。


急いでも良い事なんかなにもないけどそういう事ではないのだろう。


学校から抜け出し普通ではありえない非日常に当てられてテンションが上がっているのだ。これぞ修学旅行マジック。マジうるせー。気持ちは分かるけどやっぱり先生からの注意は意味なかったね。


騒ぐ男子たちを横目に私も一組の車両へと乗り込む。偶然にも隅っこの席が空いてたので適当に座る。しかも窓際。やったぜ。


「ホント男子ってバカね」


私の隣に座った少女、磯山未来がボソッと呟いた。あんなに毛嫌いしてたのに私の隣に座るのね。ていうか擬態しなくていいの? クラスのみんなに素がバレるわよ。


「うっさいわね。別に私たちの事なんて誰も気にしちゃいないわよ。みんな完全にお祭り気分なんだから」


「あらそう。じゃあアンタは違うわけ?」


「違うわよ。私は適当に何事もなく過ぎればそれでいいわ。別に京都なんか大人になればいつでも来れるもの。テンション上がる方がどうにかしてるわ」


「何言ってんのよ。こういうのは学校で行くから楽しいんじゃない。友達も一緒だし」


当然ながら京都に行くからテンションが上がっている訳ではない。修学旅行には修学旅行にしかない妙な空気感とワクワクが入り混じっている。そこがかとなくこそばゆくて騒がしくなってしまうのだろう。


「わかってるわよそれぐらい。でもお生憎様。私には友達がいないのよ」


「あれ…今回は監視で私と同じ班になったんじゃなかったっけ? つーかいつものグループは友達じゃないの?」


「…アンタ夏休み遊びに行った?」


「何よ急に」


「いいから答えて」


「行ったわよ普通に。何回か」


「あっそ…私もね…何回か遊びに誘われたから行ったわよ。でもね…行くたんびに思うわけ。ちょっと違うなあ…って」


「違う…?」


「分かんない? みんな単純に良い子過ぎるのよ。昔みたいにイジメられるよりマシだけどちょっとものたんないの! 私の中の虎が言うのよ『未来よ…これで良いのか』って! もっとざっくばらんに話したいのよ!! 分かる!? この気持ち!!?」


「知らねえ…」


熱く力説してるとこ悪いけどはっきり言って真面目に聞いて損したわ…。


確かに昔イジメられてたから擬態するのは分かるけどそれで不満持ってたら根本的におかしくない? それこそ自業自得って感じなんだけど。


「んぐっ…そ、そんなこと言ったってしょうがないでしょ!? 私だってバカだなって思ってるしみんなに悪いなって思ってるわよ。あとバカって言うぐらいならどうにかしてよ総務部さん」


「じゃあざっくばらんに話せる良い子紹介してあげようか?」


「どうせ宝城香蓮でしょ? あんな子と付き合えるのアンタぐらいよ。ごめんごめん相談は冗談だから紹介しないで。はい話はおしまい。私今から寝るから話し掛けないで」


未来は『悪戯しないでよ』とだけ言い残すと速攻で寝息をたてた。


私は窓の外を眺めながらコイツはコイツでテンション上がってたんだなと冷静に分析しつつ、香蓮の嫌われようにそっと心を痛めると筆箱からマジックを取り出す。


未来の額に『クソビッチ』と書き込むと私も瞼を閉じた。


意味もない愚痴に付き合わされた徒労は良い塩梅となって深い眠りに誘う。


京都に付いたらまた面倒くさくなりそう。

ここらで体力温存しとくのも悪い判断ではないだろう。


ではでは皆さん。

京都までおやすみなさい。


投稿遅れました。

またちょくちょく更新します。


よろしくお願いいたします。

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