ぶっ飛ばされたいのかお前らは
取り敢えず盗撮への対策はまたあとで考えることにした。
今すぐ考えた方が良いかなとも思ったけど香蓮は信じてないし対策するにしても何の情報も無いような現状からじゃ厳しすぎる。
対策を練るにしても旅行中にした方がいいだろう。
まあ出来ることといえば一緒に行動することぐらいしか出来ないんだけど。でもそう考えると私も温泉で盗撮されるという事だろうか?
気付いたらネットに裸の写真がアップされてたりして。そうなったらマジ殺す!
「…コホン」
いけないいけない。妄想膨らましてキレてはいけない。
ただいま授業中。何の前触れもなくキレてたら頭のおかしい人だからね。また楓に怒られる。
「では磯山、頼む」
「はい!」
担任がふると威勢のいい声で返事が聴こえる。
肩までに切りそろえられた髪を靡かせて教壇に上がる生徒。
磯山未来。
このクラスの級長だ。
「じゃあ早速修学旅行に向けて話し合いをしたいと思います」
未来が先生に代わって修学旅行の概要について説明をしていく。
元来こういった役は当然ながら先生が実施すべきことだとは思うが先生は先生でやることがあるのかそそくさと教室を出て行った。
最低だとも思ったが未来に任せておけば大丈夫だという強い信頼があるからと言えなくもない。そしてそれは的を得ている。
どんな学校にも各学年一人や二人リーダーシップを発揮する生徒はいるものだけど、この学校においては磯山未来がそれだった。
勉強、スポーツ、人間性。
どれをとっても優れている。
きっと自分でも理解しているのだろう。
未来は積極的にそう振る舞うしそれに答える。
当然先生からの信頼も厚く、こうして修学旅行の大事な説明なんかも任されているというわけだ。
「ま、そこが胡散臭いわけだけど」
「何か言いましたか如月さん」
「いえ、何も」
「…そうですか」
危ない危ない…またひとり言が口に出ていた。
胡散臭いやつが基本嫌いだから口に出ちゃうのよね。
だって中学から知ってるけどあんな奴じゃ…。
…って、まあそれはいっか。
にしても嫌いなのに嫌いな奴のことで思考巡らしてイライラするってどういう事かしら。絶対おかしいし考えなきゃいいのにって思うけど無理なんだなそれが。
え、なに?
脳に欠陥でもあるんじゃないかって?
ぶっ飛ばされたいのかお前らは。
「―――といった感じで進めていきます。楽しみなのは分かりますが修学旅行中はくれぐれも周りのお客様に迷惑にならないよう努めて下さいね。ではここから班行動を決めていきますので皆さん各自で男女六名の班決めを行って下さい」
ズザザッ! っと皆が一斉に立ち上がる。
修学旅行とは言っても遊びに近いのだから仲のいい友人と行きたいに決まってる。
当然ながら私だってそうだ。
せっかくの旅行を仲の悪い連中と一緒にまわりたいとは思わない。絶対そんなの楽しくない。
問題なのは仲のいい友人がクラスには一人もいないということだけど…というか友人と呼べる人も学年に一人や二人なんだけども私はこういった決め事で苦労したことが一度もない。
小中とぼうっとしてるだけで誰かが誘ってくれるのがほとんどだ。こういう時に人柄って出るのよね。うふふ。
「じゃあこれで決定ってことで」
なのに…
「……どうしてこうなった」
いつの間にか班は決まった。
男女で六人。
そういったけど…! 確かにそういってたけど!!
「よろしくね如月さん」
ニッコリと笑うその造り笑顔に懐かしさを覚える。
私の横に来て挨拶をするのは級長こと、磯山未来だった。
読んで下さりありがとうございます。
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