仕事は適度に適当に
「はああ~おいっしい…」
テーブルにはこれでもかというほどの料理の山。
それに手をつけ舌鼓を打ったのは香蓮だ。
時刻は十九時。
海から北へ三十分。
涼しい山林の近くにこじんまりとロジックな家が一軒建っている。
無論、宝城家の別荘である。
今日はここで一泊するらしい。つーか先に言えよ。
「先に言ったら凛絶対嫌がるじゃない」
「そうだけどそれ理由になってないでしょ! 大体なんで私が夕飯つくってるのよおかしいでしょこんなのっ!?」
場違いと思いつつも憤慨する。
ただ気にしてる奴は誰一人としていなかった。それどころか黙々とご飯を食べている。
「如月先輩これ最高に美味しいです!」
「だから言ったでしょ優? お姉ちゃんは料理だけは得意なの。女子力高くて逆に気持ち悪いよね」
「如月! これもっとないの」
「咲、行儀悪いから口の周り拭きな。でもこれ本当に美味しいわね」
「……ふふ」
…はッ! いかんいかん…何を喜んでるんだ私は。
ここはつい作ってしまった自分を戒めるべきだ。しかも一人完全に侮辱した奴がいたし。
「そんな怒んないでよお姉ちゃん。美味しいのはホントだから」
「そうよ凛、こっちに来て一緒に食べましょ」
「そうですぞ凛様。仕事は適度に適当に…自然体が一番です」
「いやお前は仕事しろよ」
執事のクセに運転しかしてないじゃないか。適度に適当にってどう考えても適当の比率がデカ過ぎるでしょ。あとすっごい食べてるけどそれ私のだからね?
「おやおやこれは失敬…では香蓮様、わたくしめは例のものを準備してきますがゆえ」
「ん、お願いね」
「例のもの?」
その不穏な響きに訝しむ。
香蓮は気付いてて素知らぬ顔を決め込んでるけど逃げ切れるとでも思ってるの? ご飯没収です。
「ああーごめんなさいごめんなさい! 別にやましい事なんて何もないのよ。ただやってみたいことがあって…」
「やってみたいこと?」
そう聞き返したところで執事が帰ってくる。どうやら準備とやらが終わったらしい。
待ってましたといわんばかりに香蓮が立ち上がった。
「さ、みんな! 夕飯食べ終わったらさっそく始めるわよ!」
今日一番の元気で宣言する。
うるさいなあ…いったい何をやるつもりですか?
「ふっふっふ…それはね…」
ニヤリと笑うと香蓮は高らかに言った。
「これより肝試しとパーティーパジャマを開始します!!」
…パジャマパーティーだろバカ。
最後までありがとうございます。
ブクマ嬉しかったです。




