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私の妹(姉)が可愛すぎる!  作者: カオルコ
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あうっ!?

『夏休み期間中も西高生であるという自覚を持ち、規律と清々とした態度を心掛けて過ごしてください。また部活動におきましても…―――』


ムシムシした暑さの中、校長が長々と講釈をたれる。


体育館の中は西高の生徒で埋め尽くされ気温が外よりもぐっと上がる。


今日は七月二十日。終業式。


空手部の試合で忙しかったけど気付けば一学期の終わりを迎えていた。


思えば長い一学期だった。


何となくで過ごせればよかったのに、いつの間にか総務部に所属し何故か空手部の活動にまで参加させられ、しまいには学校の嫌われ者にも付け回される始末。


…我ながらひどいな。吐き気がしてきたわ。


まあなればこそ、この夏休みはゆっくりしたいものだ。もちろん誰にも邪魔されずにね。


(凛ー…凛ー…ちょっと聞いてる? りんー)


他クラスの嫌われ者はこっちの気も知らないでちょろちょろ後ろ向いてくるし。しかもニコッと笑顔つきで。


ウザいから完全に無視してるけど諦めないのが性質悪い。あとで文句いってやろう。


にしても校長の話が長すぎる。これ完全に自分に酔ってるよね? こんだけ喋っていったいどれだけの生徒が真面目に聞いてるのやら。


そういえば小学生だった頃、毎週、週始めに月曜集会なるものがあって、そこでも校長が色々うんちくやらご高説を垂れるんだけどホント時間の無駄だった。聞いてないから尚更にね。


『…――では良い夏休みをお過ごしください。以上――』


ついに校長が壇上で礼をして舞台から降りる。

いや~…長かったなー。時間にして二十分くらいか? どんだけ喋りたいのよまったく。


『続いて、部活動の表彰に移ります。代表の方は舞台にお上がり下さい』


西高は進学校だけど意外にも部活動が盛んだ。


実際に結果を残した部活も一つや二つではなかった。


野球にサッカー弓道部…片手では到底数え切れない。無論、そこには空手部なんかもいたりして…。先輩二人が壇上に上がった。


結果からいえば美樹先輩は型で三位、咲先輩においては組手で二位の成績を残していた。


あれだけの少人数の部活でこれだけの結果が残せれば申し分ないだろう。ちなみに柚子は一回戦落ち。まあ次に期待ってところだろうか。


表彰が終わり二人が舞台から降りる。


何となく目で追っていると先輩二人が手を振ってきた。


気付かないフリして無視すると、二人そろって不満そうな顔をする。全校集会の前で私に手を振れと? 本当にメチャクチャである。しかも何故か香蓮が手を振ってるし。バカは世界を救うわね。


部活表彰が終わると後は簡素なものだった。簡単な夏休みの注意点と学校利用時間についての説明だけで終わったのだ。


三年生から少しずつはけていった。


「ん~~…疲れたあ…何もしてないのに疲れたわ」


教室へと帰る波の中でおもいっきり伸びをする。


少しだけ胸がきつい。


親に言って大きめの制服に変えて貰おうかと思ったけど、すぐに考え直して気付かないフリをする。


そんな事を口にすれば楓が何て言うか分からないからだ。考えるだけでも恐ろしい。家に着いたら忘れて、ゆっくりと昼寝でもしよう。


「凛ーーー! 待ちなさい! 何でさっき無視したのよっ!?」


呑気に思考していると、ごすっと腰にダイブしてくる成り金髪の宝城香蓮。


「…ふんっ!」


「あうっ!?」


無論、私は掌底を食らわせるがごとく無理矢理引きはがす。


「あうっ!? じゃないわよ。終業式でちょっかい掛けてきたバツよ。失せなさい」


「そんなに怒ることなのっ!?」


「やっぱり分かっててやったのね」


「ああっひどい!? 誘導したわね!!?」


「別にしてないけど…つーかごめんなさいは?」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!」


「うるさい」


「理不尽過ぎるっ!!? こんなに素直に謝ってるのに!」


「すぐに許すわけないでしょ。あんたの場合は裏がありそうなんだもん」


「う…うらなんて無いわよ! わ、私はただ…」


「私はただ?」


「私はただ…凛と遊びたいだけなの!!」


「……」


夏休みはぼうっとしたいなあ~何て考えたりもしたけど、やっぱりどうやら無理らしい。


「はあ…めんどくさいなあ……」


頭の中で描いていた『何もしない日々』はため息と共に見事に霧散し、現実に引き戻されるのだった。


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