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私の妹(姉)が可愛すぎる!  作者: カオルコ
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結果が出れば文句ないわ(後編)

「キャー!! 凛ーーーっ!!」

「お姉ちゃーーーん!!!!」


知人や家族の歓声が耳に入る。

それに交じってさざ波のようなどよめきも生まれていた。


会場は間違いなく予想を裏切られている。

それも当然。だって優勝候補を無名の新人が倒したんだから。


『お互いに、礼!』


審判の合図に合わせて頭を下げる。

相手が悔しそうに顔を歪ませる。


ま、これを機会に相手を舐めるのをやめる事ね。良い教訓になったでしょうに。


私が大歓声を浴びながら待機場へと戻ると部員全員が笑顔で迎えてくれた。


「完勝だよ如月さん!」

「ふんッ…なかなかやりますね…」

「アンタ何様よ?」


嫌味を言いつつどっかりと座る。


ダメージは負ってないけど疲れがどっと出て来た。何だかんだで緊張もしてたんだろうなやっぱり。もう当分はやりたくないもん。基本怠け者だからね


「そうですか。ではそこからアタチの雄姿を見ているがいいでし!」


「ええ。期待してるわ」


「柚子、頑張ってね!」


「行ってくるでし!」



   ―――――――――――――――――――――――――


「すいません負けまちた…」

「はやっ!?」

「クソぉぉ…こんなはずぢわ…」

「こんなはずでわって…アンタ二十秒ももってないけど?」


そのセリフは善戦してから言うセリフでは?


そんな疑問が頭に浮かんだがすぐに霧散する。


柚子が盛大に泣いていたからだ。


「はあ…泣くことないでしょ。子供じゃないんだから」


「な、ないて…な…なんて…な、い…」


「もうみっともない…」


可愛くない奴。


そんな事を思ったことも一度や二度じゃないけど。

でも、泣いてる柚子を見ていたら何となくだけど少しだけ可愛くみえてしまった。


慰めたいとか庇護欲をそそられたとか何とか。これが母性という奴だろうか?


気付けば無意識に柚子の頭を撫でている自分がいた。


「おいやめろ。そこまで落ちぶれちゃいねーですよ」


「こいつ…」


凄い目つきで頭に翳した手を叩き落とされる。

前言撤回。こいつやっぱり可愛くない。


「美樹先輩すいませんです」


「大丈夫。敵は取るわ」


「先手必勝でし美樹先輩!」


「練習通りにやれば勝てるわ。確実に、ね」


「ええ。ありがとう如月さん。行ってくるわ」


美樹先輩が力強く立ち上がる。

無意識なようでその実、一瞬進藤咲に視線を這わせながら。


彼女達は何も言わない。お互いに。ここで負ければ終わりなのに。

試合前には啖呵切ってたけど…


さあーて…進藤咲は立ち直っているのかな? 怪しいもんだよ実際に。


美樹先輩はきっと勝つよ。


これは予感じゃなくて予言に近い。

彼女の気持ちと気迫がきっと結果を引き寄せる。


そうなれば二勝二敗。


そのプレッシャーに貴女は勝てるの? 


試合に出れるの?


結果は? 


勝敗は?


〝…嫌な予感がするな〟


そう思ってるのは私だけだろうか?


いや、そうであってほしい。


ガラにも無く、私は神にも祈る気持ちで試合を見つめていた。


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