好きでこの体型になったわけじゃないわよ
浴場へいくと姉は身体を洗っていた。
姉はこちらに目配せして黙々と洗う。
私は今後の為? に姉の身体を凝視する。
しかし隠すべきところを泡が微妙に隠していた。
水滴が付いた身体が妙に艶めかしい。
う~んエッチだ。
「ジロジロ見ないでって言ったでしょ?」
「後学のためにね?」
「わけわかんない事いってないで隣にすわんな」
姉がとなりの風呂椅子をすすめるので座る。
シャワーの蛇口をひねると四十度ぐらいのお湯が私の全身を包む。
最高に気持ちいい。
今日の疲れが一瞬にして洗い流される。
この気持ちよさは水じゃあ絶対無理。お姉ちゃんと一緒に入るっていうので騒いでたけどやっぱり来て正解だった。
一頻り汗を流したあと身体を洗おうと家から持ってきたタオルにボディーソープをつける。
軽く握って泡立てると上腕から順に洗っていく。
「アンタ日焼け凄いわね」
隣で洗っている姉がこちらを見ながら言ってくる。
私はにらみ返した。
「そういうこというのやめて」
「良い性格してるわねホント。さんざんジロジロ見てきたくせに…」
「見るのは良いの。見られるのが嫌なだけで」
「すっごい自分勝手な理屈ね」
「お姉ちゃんは見られて当然でしょ? そんな身体してるお姉ちゃんが悪いと思う」
「好きでこの体型になったわけじゃないわよ」
「ふんっ!」
「痛っ!! なにすんのよ!?」
「お姉ちゃんホントそういうとこだよ!? 友達が出来ないのは!!?」
この姉はホントに…
好きでこの体型になったわけじゃないって?
そんな台詞は自分の体型に欠点がある人が言う台詞であってアナタみたいなデカ乳モデル体型が言って良い台詞では決してないのだ。
「今のはお姉ちゃんが悪いよ。殴られて当然なんだから」
「…さいですか。じゃあお詫びに」
姉が風呂椅子を持って私の後ろに移動する。
何をするかと思いきや背中にタオルをあてがってきた。
「おおおおお姉ちゃん!?」
「何回『お』言うのよ。背中流してあげるって言ってんの」
「いや…だからそれがさ…」
姉は聞いてもいないのか、はたまた聞く気も無いのか鼻歌交じりに私の背中を洗っていく。
…こういう不意打ちはやめてほしい。
単純に恥ずかしいしさ
…それに何も言えなくなるんだよね。
文句だったらいつでも口を次いで出るのに。
…そう思うと性格のこと姉に強くはいえないな。
姉妹そろって難儀な性格。
小さな声で文句を言いつつ姉が背中を流してくれる。
こんなことは何年振りか。もう記憶の片隅にすら残っていない。
今後、学生から大人に成長するにあたりこういった事はもっと少なくなっていくことだろう。
―――じゃあなればこそ
「………」
「なに笑ってるのよ?」
「ん? なんでもないよ。そ…それよりさ! 髪の毛も一緒に洗ってよ。そうしたらさっきの失言許してあげる」
今日ぐらいは素直になってもいいのだろうか?
カッコいいなとか、憎らしいとか。
色々な感情があるけれど…
何だかんだで怒っても許してくれて、甘やかしてくれる姉に最後はきっちり甘えてる。
やっぱり私は妹なんだと自覚する。
「背中はノーカン!? まあいいけど…」
再び文句を言う姉に笑い掛けながら『こういうのも悪くないな』と心の中で呟いていた。




