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私の妹(姉)が可愛すぎる!  作者: カオルコ
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女子高生との不倫はシャレにならないと思うけど?

「で? 今日は何の用なの? どうせまたお昼ご飯作ってくれって言うんでしょうけど」


「おうーそうだったそうだった。今日も道場生の一日練でなあ。悪いけど頼めるか?」


「どうせそんなこったろうと思ったわよ。材料は買ってあるんでしょ?」


「台所にある。米は炊いてあるからオカズだけよろしく頼む。俺は道場に戻るが何かあったら呼んでくれ。金髪のお嬢さんも自由にしてていいからな」


 デカい身体をせっせと動かして道場へと戻っていく。いつになく父さんは慌ただしい。試合でも近いのかな、多分。


「ねえ凛、私どうしたらいい?」


「んーそうね。じゃあ私の言う通り手伝ってくれる? 料理ぐらい出来るわよね?」


「…あ、当り前じゃない! 私を誰だと思って!? 料理なんて子供の頃からずっと…」


 声を裏返して何やらごにょごにょ言っている。誤魔化すの下手過ぎでしょ。


「ああやっぱいいわ」


「なんでよ!?」


「料理なんてしたことないんでしょ? 出来ない人に手伝えったって無理じゃない。それに台所狭いから慣れてないと危ないのよ」


「むうう…」


「唸ったってダメ。アンタは空手でも見学してなさい。案外面白いわよ? 父さんには言っとくからさ」


 渋々道場の方へと足を運ぶ香蓮に笑いかけると私も台所へ向かう。


 さあて何を作ってあげましょうか。

 結構人数も多いし腕がなるかも。


 母さんの代わりにやってきた料理だったのに、いつの間にか自分の趣味になりつつあることを自覚しながら私は食材との睨めっこを開始した。




 凛のお父様が椅子に座ってなさいというので隅っこの方に座る。


 道場に入った瞬間、道場生の視線を集める。 


 集中してないと怪我するわよ。まあ見惚れるのも分かるけど。ホント可愛いって罪。


「……はあ」


 それにしても退屈。


 凛は案外面白いって言ってたけど、どうやら私には合わないらしい。


 だいたい何でこんなことに。道場じゃなくって私の家に招待したはずなんだけど。手伝いも断られるし。


「退屈かい金髪の嬢ちゃん」


「ヒッッ!?」


「ハハハハ…そんな驚くこともあるまい」


 豪快に笑う叔父様。


 広い肩幅、両手が回りそうもない胴回りに圧縮したゴムを打ち込んだような分厚い胸板。


 海外生活が長かったにも関わらずこれだけ大きい人は初めて見るかもしれない。

 見た目で判断してはいけないけど、最初の印象が恐怖だっただけにちょっと苦手。


「嬢ちゃんとは今回が初めて会うな。凛が友人を連れて来たのは初めてだよ」


「え? そうなんですか?」


「ああ。アイツ昔イジメられてたからなあ…そっから友達つくらなくなっちゃって…」


「へえ凛にそんなことが…ってええええええええええええええ!!!!!!????」


「リアクションがデカいな嬢ちゃん」


「デカいなじゃないですよ叔父様! それ言っていいんですか!?」


「まずかったか? いやあ~つい嬉しくってなあ」


 豪快に笑いながら頭をかく。何故だか照れてるようにも見えた。


「でも、意外。凛がイジメられるだなんて…」


「まあイジメられてたっていうよりイジメられてる子を助けたんだけどな、実際は。でもその時に空手使っちゃって相手が怪我したもんだから大騒ぎさ。俺はしょうがないって思ったけど中々そうもいかない。アイツは頭が良いから周りが一歩引く前に自分から後ろに下がっていったんだ」


「そんな……」


 空手は面白いっていうはずだ。昔やってたら尚更そう思うだろう。

 でも、きっと止めちゃったのは…。


 どこか達観した所があったけどこれが原因だろうか。


「まあでも、良い事もあったけどな」


「そんなことあるわけが…!」


 凛の親と言うのも忘れ思わず声を荒げる。

 叔父様は首を振ると私の頭に手を乗せた。


「あったさ。さっき俺が嬢ちゃんの前に立った時、凛がキミを守っただろ」


「……あ!」


 凛に私がしがみ付いた時、確かに私を後ろに追いやってくれた。


「ああいった姿が見れるのは親として嬉しい。何処か捻くれてるところがあるがキッチリ成長してる証拠だ」


 叔父様は二コリと笑う。

 どこかガキ大将を思わせる無邪気な笑顔で。


「しかし他人に怒られたのは久しぶりだな。さすがは凛の友達。根性が据わっとる」


「ご、ごめんなさ…」


「ハハハハ冗談だ冗談。凛の為に怒ってくれたんだろ? 嬉しい事がまた一つ増えたよ。それよりどうだ嬢ちゃん? 凛が来るまで娘自慢を聞いちゃあくれないか」


「ええ。喜んできくわ」


 私はその後も叔父様の娘自慢に聞き入った。

 苦手だと思っていた印象もいつの間にか無くなっていた。




「なあに仲良くなってんのよ…」


 昼ご飯を持ってきてみれば仲睦まじく話し込むふたり。女子高生との不倫はシャレにならないと思うけど?


「ハハハハ冗談がキツ過ぎるぞ我が娘よ。母さんに殺されるだろうが」


「凛はホントバカね」


「仲良いなふたり。それよりご飯の準備できたわよ。練習やめて」


「あい分かった! お前ら凛のメシだ! 手洗って来い!」


「「「「はいっ!」」」」


 うじゃうじゃと洗面所に列をつくる道場生。


『久しぶりの姉さんのメシだ』とか『姉さんと結婚したい』とか話している。


「姉さん?」


 香蓮が疑問を呟く。まあ当然か。


「ああ言ってなかったけど私も昔空手やってたの。で、アイツら後輩ってわけ」


「後輩? 明らかな年上の人も?」


()()()()()()()()()()もいるのよ」


「ふーん」


 分かってんのか分かっていないのか適当な返事。多分わかっていないんだろうけどそれで正解。キモイだけだからね。


「…よしっと! 準備オッケー、さっ食べましょ!」


「よし食うか!」


 道場生が一斉に食べ始める。


 今日のご飯はちゃんこ鍋。

 気温は高いけど暑いからこそ鍋も美味しく感じるはずだ。



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