学生にして社畜の心までも学習してしまうとは私は何て運がいいんだ
『ピンポーン』
テスト明けの週末。
時間に縛られることも無く、何かを考えることもない。
テスト明けというのは総じてこんな感じだ。
いつもならダラけてても心のどこかに罪悪感というか、自分を納得させるだけの理由がなければ気持ち良くダラける事も出来ないがテスト明けはそういったことがない。
何だかいつもよりも体が軽い。
これが仕事をやりきった社会人の気持ちか。
学生にして社畜の心までも学習してしまうとは私は何て運がいいんだ。
ますます働きたく無くなってきたではないか。
あれ呆れてる? でもしょうがなくない? 今は三か月に一回のテストでこんな感じなのに、社畜になったらこれが毎週…いや下手したら毎日続くんだよ。キツイよこれは。
そりゃさ、私だって働きたくないとは言っても本気で働かない何てことはないよ。ただ本当に面倒臭いなって思ってるだけで。
だからこそ…ね。
『ピンポーン』
全身で伸びをする。猫のように欠伸をかみ殺しながら。
私はソファに寝転んだ。
一応頼まれ事はあるが一時間も掛からない。寝るなら今がベストなタイミングだろう。
『ピンポーン。ピンポーン』
いやはや、誰もいない休日というのは素晴らしいものですな。
いつかの日のように腹蹴られて起こされることもないし。
時刻は九時過ぎ。
さて、もう一眠り致しますか。
今寝たら丁度お昼ぐらい。これは御飯を食べたらまた寝るフラグですね。
『ピンポン! ピンポン! ピンポンピンポーン!!』
「あああああーしつっこいわねもう!! 居留守してんだから察しなさいよ!!」
ソファから起き上がる。
どうやらインターホンの主は諦めてはくれなかったみたいである。
仕方がないと無駄に足を踏み鳴らしながら玄関へと向かう。
こっちが気持ちよく無視してんのに何なのよもう…新聞の勧誘だったら只じゃおかないから。
で、ホントに誰に用なの?
母さんなら仕事でいないし父さんはもとより家に居ませんけど? それとも宅配ですか?
ドアを開ける。
金髪ロングが目に入る。
「……………」
私は無言でドアを閉める。
「ちょっとおおおおおおおお!!!!! 何いきなり閉めてんのよ顔見たでしょ!? 頭おかしいんじゃない!!?」
「うるさいなあもう……」
いやいやながらにドアからちょっとだけ顔を出す。
玄関の前に立っていたのはハーフの美少女、宝城香蓮だった。
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