パンツみせといて良く言うわね
クラスに戻ると案外声を掛けてくる奴は少なかった。もともと友達は少ないし別に気にしないけどさっきまでの盛り上がりはどうした? あと男子。股間を押さえるのやめろ気持ち悪い。
「原因をつくったアナタがそれを言うのは違うと思うけど…」
ちょっぴり頬を赤らめて言ったのは未来だ。男子はわかるがなぜお前が赤らめる?
「あんな豪快にパンツみせといて良く言うわね」
「っ!?」
「まあでもそうね。頬を染めるのはアナタの方かもね。私だったら死んでるもの。生きてて恥ずかしくないの?」
「…言うじゃない」
高笑いしてる未来を横目に少しだけ思い直す。確かに公衆の面前で下着全開は恥ずかしい。もう少し謙虚にしといた方がいいな。
「いいんじゃない? 堂々としてる方が如月らしいし」
「どっちなのよ。…まあいいわ。で、なんかさっきより盛り上がりが少ないのはなんで?」
「そりゃ簡単よ。さっきまで噂されてた女の子がアナタの妹って知れ渡ったのよ」
「ああー…なるほど」
楓は我が妹ながら見た目は抜群に良い。
身内びいきが過ぎるなんて思うかもしれないがホントに可愛いから仕方がない。告白された数も一回や二回ではないのだ。そこらの芸能人だって敵わない容姿である。噂にもなるししかも私の妹ってのが良くなかったのだろう。私って愛想悪いから嫌ってる子も多いだろうし。悪い噂になっちゃうかもね。
「…それ本気で言ってんの?」
「あん。つーか何故呆れる?」
「あんじゃないから。はあ…如月って自己肯定低いわよね」
「どういう意味よ」
「そのまんまの意味。みんな悪い噂してるわけじゃないって。如月の妹って知ってみんな納得してるっていうかまた憧れの対象になったのよ」
「全然意味わからんが…」
「あっそ。じゃあそれでいいんじゃない? その自覚の無さがアンタの良い所でもあるんだし。好かれる長所でもあるしね」
「ふーん…そんなもんなのかね…」
自分では当然分からない。楓からも自覚がないとは再三にわたり言われている。
けど言われたからといって簡単に自分を肯定することなど出来ないだろう。ましてや好かれてるだなんて。
「言われてみればそうかもね」
「でしょ? っていうかさ…そういうってことはアンタも気にってくれてるの?」
私はニヤつく顔を押さえられずに、
「好かれる長所でもあるって言ったでしょ? アンタもこういう所が好きなのかなって」
「っ!!? なっ…なわけないでしょ! バカじゃないの!?」
「バカじゃないんだなあこれが。このさい好きって言っちゃいなさいよ」
「何言ってんのよ如月!」
「いやそれ言っちゃうと自覚しちゃうから長所じゃなくなるのか。困ったなあ…それでも好きでいてくれる?」
「それはもちろん…って違う! もうあっち行きなさいよ!」
「ここ私の席だし」
香蓮いわく姉妹とも性格はアレなのだが別にいいじゃないか。
私としては毎日が楽しいことが一番の優先事項なのだから。
読んで下さりありがとうございます。自粛自粛で暇ですね。
また更新します。




