表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロイヤルズと代理人の青年?!  作者: siro


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/31

ロイヤルズ

目を瞑ってだらけていた為、カールは急いで立ち上がった。声をかけてきたと言うことは、身分が上なのだろうと思いながら内心は冷や汗ダラダラだった。

「始めまして、アムストラ辺境伯の代理を務めさせて頂いてる、カールと申します。以後、お見知り置きを」

そう言って優雅に礼をして顔を上げれば、相手に驚いた顔をされてしまった。

「いや、すまない。先ほどの気の抜けっぷりから、こんな完璧な礼をされるものだから驚いてしまった。」

「それは、よかった。いきなり代理を頼まれ、急いで身につけた礼儀作法なので完璧に見えているのであれば一安心です」

そう言って笑えば。向こうも笑って返した。

「イヤイヤ、こちらこそ不躾ですまなかった。ジェームズ・フュルスト・ドゥ・アインスだ」

その名前に、カールはすぐに先ほどまで挨拶の場所にいた貴族を思い出した。そして、庭園にいた時にご婦人方が名を呼んでいた男性の一人でもある事にも気づいた。

「アインス公爵のご子息様でしたか。」

まさかの大物貴族の息子にカールは内心悲鳴をあげた、ジェームズが頷いたので、お互い握手をし合えば向こうから会話を振ってきた。

「堅苦しいことは止めてくれ、同じ年齢の、しかも一緒にサボってくれそうな人が居ると思って声をかけたんだ。それにしても、代理とは凄いね。俺はまだ父上の代理なんてやらせてもらえないよ。」

そう屈託なく笑顔を向けられ、カールは苦笑いしか出なかった。

「あはははは、手が空いているのが私のような若輩者しかいなかったというだけです。私も必要最低限な仕事は終わったので、残りの時間までどうやって潰そうか悩んでいたんです。代理人と言っても、我が領内は特に農産物などやっていないので、お手紙をお届けする程度ですし。大人達には他の仕事がありますので。そんな感じで私が抜擢されただけです。」

その言葉に、ジェームズは眉間に皺を寄せて何かを考え始めた。

「そうなのかい?ふ〜ん。あぁ!そうか、アムストラ辺境伯でまた、国境沿いで小競り合いがあったとか、辺境伯が怪我をされたとか聞いたな。」

カールは、誤摩化したつもりだったのに、ジェームズは違う事を考えていたらしい。小競り合いがあったのは、周知されているが、まだ公にされていない辺境伯の怪我をもう知っているとは、やはり公爵家の情報は早いなと思った。


「・・・えぇ、そうなんです!安静にしていれば大丈夫なので執務には問題ないんです。」

違う意味で冷や汗をかきながら、早くこの場所から去りたいなと思い始めていた。王宮に出仕出来るような大人が居ないなとか、若干本人がサボる口実を見つけたからという事など、口が裂けても言えない。

カールが住むアムストラ辺境伯領は国境沿いにあるせいか、常に争いごとがたえない領地でもあった、そのせいで男達は皆兵士として従軍し領内を護り、女達が畑を耕し家を潤す。そういう領地でもあった、そのため男達は皆筋肉ば・・・体を動かす事は好きなのだが、このような礼儀作法に乗っ取った場所や、周りの空気を読むという場所が苦手な者達ばかりだったのだ。

カールとして身分が無いにも関わらず代理として任命されたのは、そういった所もあってなのだが。


「そうか、我が領内は中央に近いせいか、そのような争いごとに疎いだ。やはり君も剣の腕前は良いのかい?」

目をキラキラさせて聞いてくるジェームズにカールは違う意味で冷や汗をかいた。そういえば、我が領内出身の兵は飛び抜けて強いというのは有名なのだ。その為、兵士になりたかったら、アムストラへ行けというくらいに、剣術好きの男子には憧れの地らしい。これは腕試ししたいとか言い出しそうだと思いながら。

「いやー・・・私は、からっきしセンスがなくって。腕力も弱いですよ。ただ、少々魔力があるので、城の内勤の仕事を主にしているんです。」

だから、手合わせは無理ですよ〜っという雰囲気を出しながら、どうやって話を終わらせようかと思っているのに、なかなかタイミングがみいだせなかった。しかも、ジェームズはカールの腕を触り始めた。

「そうなのか?だが君の腕の太さや体の太さを見れば、かなり鍛えてるように見えるが?」

「これはインナーがそう言う形で、実際の筋肉は少ないです、あと私は肉がつきやすいだけで筋肉じゃないですよ。見かけ倒しなんですよね〜。領内で一番弱いですよ。」

やんわりと手を外して、後退りながら、これは本当に逃げた方がいいかな?と思っていたところに、二人に声をかけてくる者が表れた。

「ジェームズ!いつまで待たせるつもりだ!」

表れたのは、先ほど国王夫妻の横に立って居たハイリンヒ王子だった。肩あたりまであるアッシュブロンドをなびかせながら、心無しかキラキラしている様に見える、実際ご婦人方はキラキラした瞳でハイリンヒ王子を見つめている。


「お、王子?!」

カールは驚いて大きく一歩下がったが、すかさずジェームズに腕をとられ、逃げることが叶わなくなった。


「え?!ジェームズ様ちょっと?!」


「だめだめ、逃げたら俺があいつに怒られるんだ。」

そうウィンクしたジェームズは、今から色男の匂いをさせている。これを令嬢に見せたらイチコロだろうなとカールは思いながらも、しっかりと握られた腕は外れそうにない為諦めた。

近く迄来たハイリンヒは、ジェームズに捕らえられているカールを確認すると笑顔で頷いて言った。

「よし、ちゃんと捕まえたな。行くぞ」

そういうと広間ではなく、廊下の方に抜けて行く。

「はいはい、王子」

その後をジェームズに引きずられるようにカールは連れて行かれた。

ハイリンヒは鼻歌まじりに進んで行くし。カールは明らかに王宮の奥へと連れて行かれる様子に、内心パニックだった。

「あ、あの。どちらに行かれるんですか?」


「ん?俺専用のサロンだ。」

答えたのはハイリンヒだった。くるりと回転しながらご機嫌な様子で言った。

「え?!王子専用のサロンですか?!なんで僕が?!」

何で一介の代理人であるカールが王子専用のサロンに行くなんて本来ありえない事だった。

「あはは、それはハイリンヒが君の事を気に入ったからしょうがない。諦めろ。」

そう笑いながら答えたのはジェームズだった。

「ぇええ?!」

「おいおい、俺だけか?ジェームズだって気に入ったんだろ?」

「まぁな」

二人が意味深な合図をする様子に、一瞬男同士のアレを想像してしまったカールは目線を彷徨わせた。

「お二人は仲がよろしいですね。」

「あぁ、ジェームズは俺の遊び相手だしな。年の近い貴族で、王都在住の奴は少ないからな。」

「へー・・・。で、私の何が気に入られたんですか?」

「「欲のない所」」

二人同時に答えられて、意味が分からずカールは首を傾げた。

「あはははは!意味が分からないって顔してるぞ!」

ハイリンヒは楽しそうにカールの腕を無理矢理自分の腕と組ませながら歩き始めた。まるで二人に捕われてるような状態だ。身長は二人の方が頭半分カールより大きい。

「全くだ。しょうがない教えてやろう〜。」

まるで芝居がかったようにジェームズが言うと、ハイリンヒも同じように芝居がかったように言い始めた。

「そうだな、田舎者のお前に教えてやろう〜普通貴族や、使用人は大抵気に入られようとごまをするんだよ。」

「もしくは、めちゃくちゃ毛嫌いしたり、おざなりな対応をするね〜だが君は」

ジェームズが言えばハイリンヒが続きをいう。

「全く普通に喋ってくれる。しかも、ちゃんとマナーも守りつつだ」

両脇でまるで台詞のように言葉が続いてく。

「俺たちは、良い意味でも悪い意味でも注目を浴びる。」

カールはただ聞くしか無かった。

「そう、自分たち以外の友人関係もね。だから、ちゃんとした友人を選ばないと行けない。」

耳元でそっと囁かれた。逃げようにも、二人にがっつりと腕を掴まれる為に逃げられない。

「他人に惑わされず」

ハイリンヒの声は艶があって、むしろその声が人を惑わしそうだと思いながら、身を捩れば、逆側の耳でジェームズが囁く。

「騙されず」

低い声は、かすかに耳に吐息がかかった。

「利用されない。・・・耳は弱い?」

ハイリンヒがわざと耳に息を吹きかけてきた。カールは顔を真っ赤にさせて暴れた。

「ちょっ?!」


「あははは、ごめんごめん。もうそこの角を曲がれば、俺のサロンに到着だ」


そう言って胸をぽんぽん叩かれた。

違う意味でカールは顔が赤くなったが、黙って部屋へと案内された。罵倒しようにも相手は、この国の王太子だ。

そこまで理性は失っていない。


「さて、退屈な舞踏会が終わるまで、ここで遊ぼう。」

蝋燭に灯が灯されるとそこは、ピアノからビリヤードとたくさんの遊戯が置かれた部屋だった。


「?!」

カールは思わず口をぽかんと開けてしまう程、豪華な内装と広さがあったのだ。


「このブローチも着けないとね。これは俺が気に入った友達にしか上げない、このサロンへ自由に出入り出来る通行証だ!」

そう言ってハイリンヒはカールの胸元にブローチをつけた。

「コレを着けてるのは今の所、君を入れて、6人だ。残りの4人は後から来るから紹介する。」

「えぇ?!」


なんだか、大変な事になってないか?とカールはやっと胸元に飾られたブローチを見た。

王家の紋章と、王子の紋章が入ったブローチの縁には、この者を王子の友人として招待すると古語で書かれていた。


その後きた王子の友人達にもカールは気に入られてしまった。なんでも、昼間の庭園でいけ好かない侯爵家や伯爵の人を上手くあしらったのを見られていたらしい。

清々しかったとか言われても、カールは本人はそんなつもりではなかったのであまり身に覚えが無かった。

身分が違いすぎるから、適当に聞き流してただけなのになーと思いながらも、なんだかんだで楽し友人ができてしまったので良しとするかと思い直した。


”王室のプリンスオブ王子達”(ザロイヤルとか、”王室の宝”ロイヤルクラウン って俺たちが呼ばれてるって知ってる?」


「は?!」

カールはぽかんとした。だって目の前にはこの国を治める王の息子である本物の王子がいる。カールは、貴族のマナーで倣った事を思い出した、確か領地を持ち支配している息子は、総じて王子と呼称すると。そうると、ここにいる人達は確かに王子なのかもしれない。

「いや、でも、え?王室??え、でも宝ってなんだ?」

頭を抱えてブツブツ呟くカールに、ハイリンヒとジェームズは楽しそうに笑った。


「夢見るご婦人方がそう読んでるのさ、最近だと縮められて、”ロイヤルズ”って呼ばれてるらしいよ」


「短い・・・」

あ、そういえば、昼間の庭園でご婦人方が言ってたな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ