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ロイヤルズと代理人の青年?!  作者: siro


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26/31

少年は嫉妬する。

カールは夜中に目が覚めた。再度眠ろうとしたが、落ち着かない。起き上がって、隣の部屋に行けばルッツが立っていた。ピンと張りつめた空気を感じて、カールは声をかけた。

「どうしたの?」

「あー、おこしちまったか。大丈夫だよ。・・・着替えておいで」

 ルッツは上着を脱いでカールの肩にかけた。カールは首を傾げながらもうなづいて、着替えに戻った。上着を脱いだ時に、インナーを外していることに気づいた。ルッツに悪いことをしてしまったと思いながらも、動揺していない様子に、やっぱり知られてたのかと思いながら、パジャマを脱いで服に着替えた。

「誰か来てたの?」

「あぁ、丁重におかえり頂いたけどな」

「そっか・・・みんなは大丈夫かな?」

「平気だ。ココだけ狙われたらしい」

「それって・・・」

「一人で行動するなよ。王子を狙う奴らとは別っぽい。」

「わかった」

ルッツはソファに座って、横をポンポンと叩いた。

「座っとけ。眠くなったらねればいいしな。そろそろフェルディナントも戻ってくる」

「わかった」

 カールはルッツの横に座って寄りかかった。人肌の暖かさにうとうとしながらも、こんな王宮でも狙われるた事にびっくりもしていた。きっと、代理人の証明書とかが欲しいのだろう。囮として使われるだろうことはきづいていたが、やはり実際にあうと少し怖かった。

 大切なものは、見つかりにくい場所にちゃんと隠してある。安全で自分以外開けられない場所にあるので大丈夫だ。

「・・・身代わりの女性シャルロッテは大丈夫かな?」

「大丈夫だよ。・・・うちの騎士がついてる。」

「そっか、なら安心だ」

しばらくは、シャルロッテに戻れないカールのために、領内で手のあいた数少ない女性騎士が王都にきていた。その人にシャルロッテの身代わりをしてもらっている最中なのだ。彼女自身は、豪華な休暇をもらえたと喜んでいた。


王宮のプレゼンの日、カール達は貴公子の格好をして集まっていた。やはり、ジークハルトはこなかった。大きな広間に、模型が等間隔に置かれている。それを王様と王妃様が並んで説明を受けていた。

「ハイリンヒ様はご一緒されなくていいですか?」

「俺に決定権はないからね、後からゆっくりみたい模型を見ながら歩いた方がいいだろ?」

そう言いながら、王様達が見終わった模型をロイヤルズのメンバーで見ていった。色を塗られているものから、白いままのもの、様々だ。


「凄いな。」

「手先が器用だよねー。僕にはむり」

みんな適当に感想を言い合いながら、見終わった頃にはレーオンハルトも合流した。

「あー緊張した。ひどいよハイリンヒ、王様と一緒にいてくれないなんて」

「俺がいたらリラックスしちゃうだろ?」

「そうだけど」

お腹を押さえながらレーオンハルト、緊張から出た汗を拭いていた。

「自信満々に見えたけど?」

カールが聞けば、先ほどとは打って変わって顔を振った。

「まさか、必死さ。言葉遣いがまちがえてないかとか、もう頭の中は真っ白。あんなに練習したのに」

「できてたよ、しっかりと」

そう背中を叩いたのは、ジェームズだ。

プレゼンが終われば、王様達と一緒に雑談会だ。用意された部屋には、美味しそうな軽食が並べられている。


「さすが、王宮」

カールが思わず呟けば、ハイリンヒが笑いながら囁いた。

「どう、ずっと住みたくなった?」

「それは、僕の心臓が持たないから遠慮しとくよ」

「なんだ、もったいない」

ふと、チェンバロの音に気づき、みんな振り返った。みれば、音楽隊の場所にジークハルトがいた。

「なんだ、あいつ。音楽隊で参加するなら言ってくれればいいのに」

ペーターがむすっとした顔で言った。

「返信には何も書いてなかったのかい?」

フィリップが聞けば、ハイリンヒが小さくため息をつきながら答えた。

「あぁ、”不参加”としかね」

「どうしたんだろう、ジークハルト」


歓談をしながらも、カールは用を足しに一回部屋をでた。一人、廊下を歩いて行ると一人の従者とすれ違った。

「?」

何かの違和感に振り返ると、その従者は普通にお盆をもち、その上にはシャンパンが置いてあるだけだ。

先ほど自分がいた部屋へと入っていく瞬間、その違和感に気づいた。胴体と、足の動きがおかしい。


「待て!!君!!」


カールが叫んで駆けていく中、扉が無情にも閉まった。

扉を開けようとするも、施錠されて開かず、鈍い音しかしない。

「くそっ」

カールの声で何か気づいた中では騒然としている。ガラスが割れる音と、警備兵が叫ぶ声が聞こえた。

「応援を呼ばなきゃ」

廊下をかけていけば、いつもいるはずの巡回の兵も、要所に立つ警備兵もいない。

「おかしい」

「どうされました?」

声をかけて来た侍女に、カールは焦りながらも言った。

「警備兵が誰もいない、どう言うことだ?早く人を呼んで来てくれ!!王様と王妃様達が大変なんだ」


「そうなんですね。」

にこやかに微笑むだけの侍女に、カールは一気に緊張した。

「誰だ、おまえ」


「ふふふ、さようなら」

そう言って、侍女は剣を取り出し殴りかかってっ来た。

すんでで躱して、カールは近くの壁に、走りながら足をかけて、そのまま壁に飾ってあった剣を取ると、ひらりと着地して構えた。


「さすが、アムストラ出身なだけあるわね」

「どうも」

相手の剣を弾きながら、カールは完全に今日のプレゼンの日が王様達を狙うために用意周到に組まれていたことに気づいた。こんなに騒いでるのに誰もこない。本来ではおかしなことだ。王宮から連れて来た警備兵も見当たらないなどと。

「くそっ」

何度か剣を弾いた後、騒ぐ音が聞こえた。それに一瞬だけ侍女が気を取られたのを見逃さず、一気に着けば、すんでのところで避けられたが、肩をつくことができた。

「ぐあっ」

そのまま、カールは身を低くして蹴りを入れて転ばせれば、侍女の手を蹴り上げ武器を飛ばした。

「くそ!!」

そう叫ぶと同時に指の付け根をかんだ侍女。

「?・・・まさか!」

急いで手をどかせば、その口は泡を拭いていた。指を見れば、歪んだ指輪がついてる。

「くそっ。毒か」

騒音は近づいており、かけて来る人の足音も増えていた。

「カール!」

自分の知る声に、振り返ればフェルディナントがいた。

「フェルディナント!よかった。王様達が危ないんだ。部屋が施錠されて中には入れない!!」


「わかった!!いくぞ!!」

フェルディナントが声をかければ、兵士たちはまた駆け出した。


「はぁ・・・」

思わず座り込んでしまったカールは、自分の手が震えているのに気づいた。

「ははは、震えてる」

「はぁはぁ」

思っていた以上に息も上がっている。早くみんなの元に行かなければと、立ち上がれば、少しふらついた。それを支える人物がいた。

「?!」

「大丈夫?カール」

「ジークハルト、君は無事だったの?」

「・・・うん。たまたま、楽器担当が終わったから休憩してたんだ。」

「そうだったのか、よかった。今大変なことになってるから、隠れてた方がいいよ。まだ、敵が潜んでる可能性がある。」

そう言って、カールはジークハルトの手を取って歩き出した。部屋を開けて、安全そうな部屋を見つけると彼をそこに入れようとするも、今度は逆にカールの手が取られてしまった。

「僕は、ただの庶民なんだよ?」

「この状況じゃ、わからないよ。殺される危険性は変わらない。」

「・・・君も同じかと思ったけど、違うだね」

「何を言ってるの?ジークハルト。それよりも、早く王様達のところに行かないと、あそこにはハイリンヒ達もいるんだ。」

そう言って手を離させようとするも、ジークハルトが握る手はますます強くなった。

「ジークハルト!」

「なんで?」

「え?」

「君は魔法を使える。偉い人に支えている。それに比べて、僕は音楽だけだ」

暗い声に、カールはやっとジークハルトの顔を見た。いつもと違う表情にカールの足は止まった。強く掴まれた腕は、カールの力では到底外せない。深呼吸をしてカールは落ち着けと自分に言い聞かせながら、ジークハルトの言葉を考えながら答えた。

「君は、それを仕事にしてるじゃないか、立派だと思うよ。自分で仕事もとってきている。僕は、拾ってもらった恩義がある。僕には、自分から仕事を取りに行くだけの力ない、何もわかっていないから、仕事を貰っているだ。今の立場だって、上の人が誰も空いている人がいなくて順々に落ちて来てもらった仕事だ。君のように実力じゃない」


「実力じゃない?ふざけるな!!」

どんと力強く肩を押され、扉に押し付けられた。逆上させてしまい、カールは痛みで顔を歪めた。

「自力で取らなきゃ行けないんだ!自分で!!全て!!」


「ジークハルト・・・」


「僕はさ、地位が欲しかったんだ!!!誰にもバカにされない!!地位が!!!」


「誰も、君をバカになんてしていないだろ?!」

「あぁ!君たちはいつも上から目線だ!!!憐れむの目を向けて来る!!僕は哀れなんかじゃない!!」

「そうだよ!だったらなんで」

「わかってないね!!憐れむってことは、同等じゃないって事だ!!僕を下に見てるんだよ!!!」

「?!」

「この仕事も!!あの仕事も!!全部!!!王子の友達だから!!全部!!!僕の腕前でじゃない!」

その気迫にカールは息を飲んだ。


「持たざる者の気持ちなんて、君にはわからないだろうね!!なんのために、王子に近づいたと思ってるんだ。全部、確固たる地位が欲しかったからだ!!でも、そこに君が現れた!!」


「何を・・・」


「平民出身?!それなのに、代理人だ!!!僕は、一介の音楽家、チェンバロ弾き!!王子の視線は全部君が持っていった!!ご令嬢の視線も!噂も!!全部!!!!僕を婿にと言う話まで出かかっていた貴族の家でも!!」

「・・・」

「目障りなんだよ。」

そう言ったジークハルトの手には短剣が握られていた。

「?!」


「君を捉えて渡せば、かの国で爵位をくれるっていうんだ。」


「・・・そんなの、本当かどうか怪しいじゃないか」


「多少傷着いていても構わないそうだ。・・・僕は君が邪魔だ」


「ジークハルト、落ち着いてくれ、こんな事をしたらダメだ。」


「大丈夫だよ、君はここからいなくなるだけだから」


力強く腹を突き刺され、その痛みにカールは体を折り曲げた。


「うぐっ!!!」


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