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ロイヤルズと代理人の青年?!  作者: siro


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14/31

お姫様の騎士は難攻不落です

次の日の朝、シャルロッテは寝間着姿で鏡の前にしゃがみ込んでいた。


「私、魔力の制御がうまくいってないのかな?」

そう問いかければ、鏡越しにん〜と悩むカールがいた。


「んー昔みたいに漏れてる感じは無いけどな?それに、僕のシャルロッテは普通に可愛いからじゃないかな?」

その言葉にシャルロッテはむっとした。

「・・・女ったらしみたい」


「僕は昔っからそうだよ」

肩を竦めてかえすカールに、小さくため息をついた。

「はいはい。」


「で、お菓子取り返したい?」


「お菓子は・・・もういいわ。ただ雑貨も少し買ったの。お姉さん達(女騎士)にイヤリングを買ったからそれだけは返して欲しいわ。まだ全員分買った訳じゃないけど。」


「分かったよ。この僕にお任せアレ」


そう言うと、立ち上がって優雅にお辞儀をするとカールになった。寝間着を脱ぎ捨て領内のインナーを着込み、シャツを羽織れば綺麗な少年の出来上がりだ。

身支度を整えて王宮に向かえば、争っている声がサロンから聞こえた。



「薔薇の妖精とお茶したなんて狡いじゃないか!俺はお茶すらできなかったんだぞ!!」


「だからって名前を教えないってないだろ?!名だけでも教えてくれても良いだろ?!」


「嫌だね!コレは俺が調べたんだ!(ライバル)に有益な情報なんてやるかっ!」


「ずるい!僕は王宮内の出入りしてる人の情報なんて見れないんだから!」


「狡いのはどっちだ!そっちは薔薇の妖精とお茶したくせに!ほぼ無理やりお茶に連れて行ったんだろうが!」


「僕は謝罪を込めてお茶に誘ったんだ!」

「それで何で手を握る!!カフェにいたご婦人方が言ってたぞ!!」


二人の争いの言葉に、カールは頭を抱えた。そして知りたくもない事実を知ってしまった。二人ともシャルロッテに恋をしていたのかっと。


「「おはようカール。」」

入り口の壁側に居た二人に声をかけられ、カールは振り返った。

「おはようございます。ピーター、ジェームズ」


「ごめんね〜、どうやら二人とも同じ人を好きになったらしいだ」

ジェームズが苦笑しながら教えてくれた。

「僕たちが着た時には、もうこんな感じなんだよ」

続いて、ピーターも教えてくれたが、この言い争いはずっと続いてるのかっとカールは頭が痛くなった。

「・・・でも、ハイリンヒ様は恋に恋してるだけですよね?」

確認を混めてジェームズに聞けば、ジェームズは困った顔をした。

「ん〜そうだけど」

「こういうのってライバルが居ると燃え上がるよね〜!」

そう言ったのはピーターだ。止めて欲しい本当にっとカールは思いながら、どうやってシャルロッテが買った物を取り返そうかと頭を悩ましていた。

今下手に声をかけたら、あの争いに巻き込まれる。何よりもシャルロッテは社交デビュー前だ。彼らはもうデビュー済みだが、あまりデビュー前の女性と会うのは憚れる。婚約者であれば緩いが、全く接点のなかった令嬢と会うなんてマナー違反だ。


「それにしても、俺も一瞬だけ見たけど君に似てる令嬢だったよ。」

「そうだろうね」

カールは慣れない事に脳を使っていたため、思わず頷いてしまった。


「そうだろうね?」

ピーターが不思議そうに首を傾げた。その言葉にしまったっと思ったが後の祭りだ。その顔を正しく読み取った二人は驚いた。


「カールは彼女を知っているのかい?」

ジェームズの驚きの声は、そんなに大きくなかったのに一瞬で言い争っている二人の声がとまり此方を向いた。


「カール、やっぱり知り合いなのか!」

「カール彼女を紹介してくれ!」

ハイリンヒとレーオンハルトが駆け寄ってきて、ジェームズとピーターは逃げる様にジークハルトが弾いているチェンバロに移動した。どうやらあそこは安全地帯なのだろうと思いながらも、自分もそこに逃げたいが、二人に肩を力強く掴まれてしまった。


「カール!彼女に俺の事を伝えてくれないか?!手紙でもいい!」

ハイリンヒがそう言うと、レーオンハルトは慌てた様に言った。

「カール、彼女にあわせてくれ!彼女の忘れ物もあるんだ。僕はそれを渡す義務があると思うんだ!」


「お、おちついて!」


「なに?!彼女の忘れ物まで持ってるのか!なんで早く返さない!それなら俺から返す!」

「何でだよ。これは僕から彼女に返すよ!」

「彼女と連絡方法が分からないのに、どうやってやるんだ!!」

「カールが知ってるじゃないか!」

「だったら、早くカールに渡せ!」

「僕が彼女の手に直接渡す!」

「なんだと!彼女とあう口実にするつもりか!」


両耳で二人で騒がれ、カールはあまりの煩さに二人の胸ぐらを掴んだ。

「うっるさい!!!」

そしてそのまま、二人の足を引っかけ床に転ばした。


「「?!」」

あっという間に天井しか見えなくなった視界に二人は唖然とした、何となく尻が痛いがそれ意外は特に痛い事もない。


「おーお見事!」

「すごーい」

「鮮やか!」

静観していた3人からは拍手が送られた。カールは二人を転ばしたが、衝撃が来ない様に首元を掴んだまま転がせたのだ。

そして、両手を離してから、二人を見下ろしながら言った。


「とりあえず、二人とも黙って聞いて下さい」


「「は、はい」」


「まず、レオ。君は今直ぐ僕のお姫様が持っていた物を、僕に渡すんだ。ちなみに、お菓子はいらない。いいな」

その言葉にレーオンハルトはむっとしたが頷いた。


「次にハインツ、彼女に手紙を渡すのは一回だけ」


「なっ」


「じゃないと、何度もやり取りされたら僕が面倒だ。」


「・・・」

ハイリンヒは、バレたかっという顔と共にしょうがないっと肩を竦めながら起き上がった。


「僕も手紙!」

レーオンハルトも慌てて手を上げながら起きあ上がったが、その手はカールは即座に打ち捨てられた。

「却下!」

「何故!!」


「彼女に近づいたし、追いかけた!そして手も握った!だから却下!彼女は男性が苦手なんだ。僕が君の話をしていたから無下な対応してはいけないと思ったからこそ出来たお茶であって、本来なら無かった事だ。」

その言葉に、ハイリンヒはほらみろっという顔をして、レーオンハルトに睨まれた。

「ハイリンヒだけ手紙って狡い」

その言葉に、カールは小さくため息をつきながら言った。

「狡くない。何よりハインツは彼女の事を考慮して会いたいって言わなかった。それに、出会った時に権力を使って引き止めなかったみたいだしね。だから手紙は許可した。レオはダメ。直ぐ会いたいって言いそうだし」

その言葉に、レオはムスッとした。

「僕は本気なのに」

「俺だって本気さ」

また言い争いになりそうな雰囲気にカールは手を叩いて止めた。

「レオは今直ぐ荷物を取りに行って!僕のお姫様は気が短いだ。その荷物もいらないって言うかもしれない。そして君とは2度と会いたくないってね」

その言葉にレーオンハルトは慌ててサロンから飛び出して行った。


「そんなに慌てる程溺れてるのか」

っとジェームズが呟いたが、カールは大きなため息をついて首振った。


「違うよ。多分、僕のお姫様の魔力に当てられて溺れてるだけですよ。僕のお姫様は魅了の力があるんで、ちょっとパニックになると制御出来なくなるですよね」


「わー便利そう」

ピーターの言葉にカールは苦笑した。

「ピーターが持ってなくて良かったね」

ジェームズは飽きれた様にいい、それにハイリンヒも頷いた。

「全くだ」


「一般的に、魅了は簡単に人を従わせることができちゃいますけど、それは制御が上手くできればっていう前提ですよ。できないと・・・」


「なるほど、しつこい程絡まれたり攫われたりと危ない目にあうな」

ジェームズは顎に手を当てて答えた。

「そう言うこと」

カールが頷けば、ピーターはそれは面倒だな〜っとのんきに返した。

「ふむ、だから男性が苦手なのか」

ハイリンヒは立ち上がりながら、何か考えながら頷いている。

「えぇ」

カールは何を考えているのだろうかと訝しげながらもハイリンヒを見た。


「そうか、なら可哀想な事をしたな、薔薇の妖精は元気にしてるかい?相当怯えてたみたいだけど。」

「はい、大丈夫です。知り合いに保護されましたし。その後お説教もうけたみたいですから」

その言葉に、ハイリンヒは苦笑した。

「んーでも妖精ちゃん男の人と逃げてたよね?」

ピーターが不思議そうに首をかしげたがハイリンヒからは疑問は投げかけられなかった。


「あれは、知り合いの騎士だから平気なんですよ」

カールが言えば、ハイリンヒはそうかっとしか呟かなかった。

ハイリンヒはもうシャルロッテの事についてはかなり調べがついているようだった。


「・・・ハイリンヒってもしかしてカールがご令嬢と知り合いって知ってた?」

ジェームズの疑問にハイリンヒは椅子に座りなおしながら答えた。

「さぁ?」

和かに微笑むだけのハイリンヒにカールは不思議だった。


「レオみたいに聞いてこないですね。」

もっと聞かれるかと思ったカールは拍子抜けした。


「俺の恋愛は秘密主義なんだ。それに、妖精を守る騎士がそう簡単に情報をくれるかい?」

騎士っと言葉にカールはピクリと動いた。

「そうですね。何も渡しませんよ。」

にっこりとカールが返せば、楽しげなハイリンヒと目が会った。


そんな二人のやり取りを見ていた3人は、顔を見合わせた。

「えーってことは、ハイリンヒはもう薔薇の妖精の素性を知ってるの?レオが不利って感じ?」

ピーターの言葉に、ジェームズとジークハルトが首を傾げた。

「どうだろう、あとは身分じゃないかな?それによってはハインツが不利だよ。」

「そうだね」

「どのくらいの身分だろうか?カールと知り合いっていうのがまた微妙な位置だね。上も下の身分とも会うから幅が広い。」

「確かに、騎士ってことはアムストラ領の関係者か?」

「あそこら辺の貴族か仕えてる人か?あ、でも王宮に出入りできる身分だしな」

「だが、あそこの領は特別だぞ?辺境伯の署名を持っていれば王宮に入れる。」

「そうなんだ。」

三人がブツブツお互いの考えをぶつけている間、カールはハイリンヒの近くのソファーに腰掛けた。こっちはこっちで、にこにこと顔を見られている。

「手紙は今夜書くよ。だから明日か明後日には取りに来て欲しい。」

「わかりました。」

「出来れば返事が欲しいけど。妖精はまだ外に出ては行けない時だから、返事が無くても良いだ」


「・・・よくご存知で。」


「王宮の出入りは厳しいからね、粗方はわかるよ。もちろん、全部分かる訳じゃない、薔薇の妖精が住む世界は俺の場所からは遠いからね、書類上の事以上は分からない。例えば、何が好きで、何が嫌いかとか、この王都で気に入った場所はどことか、俺の事をどう思ってる?とかさ」

うっとりとした声で囁かれ、カールは思わず距離を取った。あまりの色っぽさにちょっと宛てられた。

「僕に色気を振りまかないでください。」

「おや?カールは妖精の近くに居るのに駄目なのかい?」

「彼女は・・・・っと何も言わないですよ」

思わず幼馴染と言いそうになってカールは口を閉じた。

「そう」

残念っと小さく呟きながら楽しげなハイリンヒに危なかったっとカールは思った。

と、その雰囲気を壊す人物が現れた。


「おっはようー!」

テンションが異様に高い様子で入って来たのはフィリップだ。彼はこんな性格だったろうかっとカールは首を傾げた。


「「フィリップ」」

「あっれぇー?どうしたのぉ〜??」

楽しげな様子にハイリンヒは大きなため息をついて頭をかかえた、先ほどの憂いに満ちた色っぽい雰囲気は消えいつもの彼だ。


「それは、こっちの台詞だ!!お前は、何日徹夜した?目の下の隈が凄いぞ!」


「ふふふふ!3日かだけだよ〜!それよりも、聞いてくれ!僕の成果!!」

明らかに寝なさすぎて、テンションが上がりすぎているフィリップに周りの皆は心配そうに見ているし、ハイリンヒは悪態をついた。


「何でお前はちゃんと睡眠を取らない!その状態が一番危ないのを分かってるだろうが!とりあえず、寝ろ!カール落とせ、出来るだろ」

その言葉に、カールは何で分かったんだろうっと思いながら頷いて、フィリップに近づき、手刀を入れた。

「あっ」

がっくりと落ちたフィリップを受け止めながら、開いてたい扉から騎士を呼んでソファーまでフィリップを運んでもらう。ジークハルトは子守唄の曲を弾きはじめた。


「よくある事なんですか?」

カールが聞けば、ピーターが頷いた。


「時々あるよ〜。こういう状態のフィリップは危険なんだ。凄くテンションが上がりすぎて、魔法をぶっ飛ばして一回建物を壊した事があるだよ。あの時は大変だった。」

「え」

「そうですね。まー壊したと言っても、魔法学校の建物なので大丈夫ですよ。」


「そうだな。だが俺が居たから問題だ」

ハイリンヒは飽きれた様に言った。


「ハインツがいたから?」

「そう。その日はハインツの魔法学校の視察の日だったんだよ。その日に魔法誤爆で建物破壊なんて、問題になっちゃうよね。一応ハインツは王子だから。ほら、いろいろ勘ぐられちゃうでしょ?」

「一応ってなんだ、正真正銘王子だ」


「あー・・・」

そうだった、ハイリンヒはこの国の王子だったっとカールは思い直した。気さくに絡んで来るからすっかり慣れてしまったが、本来ならこんなに密に会う事なんて出来る相手ではない。謁見のときのような威圧感はなく、フレンドリーさを出しているからだろうか。


「カールお前もか!」

カールが身分を忘れていた事に気づいたハイリンヒは、酷いっと言って嘘泣きを仕始めた。

「こんなに美しく優秀な、完璧な王子である俺を皆が、ないがしろにする」


「自分で言っちゃ駄目ですよね」

ジークハルトの呟きは結構響いた。


「聞こえてるぞジーク!」


「これは失礼いたしました」

優しい音楽を奏でながらジークハルトは笑った。それに釣られる様に皆も笑った。

しばらく皆で談笑していると息を切らしてレーオンハルトが戻って来た。


「これ、持って来た」

紙袋を受け取って中身を確認すれば、シャルロッテが買ったお菓子も一緒に入っていたが、それと一緒に高いお菓子屋さんの紙袋も入っている。カールは苦笑しながらも、雑貨だけとって紙袋を返した。

シャルロッテは信用している人以外からお菓子を受け取らない。


「これは、元々彼女物で」

「僕が受けた命令は、”お菓子はもういらないけど、買った雑貨を返してもらって”だけだ。」

「・・・」

レーオンハルトは寂しげに、お菓子だけが入った紙袋を受け取った。


「お菓子?それなら僕たちが食べるよ」

ピーターがレーオンハルトから紙袋を覗き込もうとしたが、高く持上げられてしまった。


「あー!男の嫉妬は醜いぞ!菓子を食わせろ!」


「ピーター、菓子なら用意させるから止めろ。レオ、お前もそうかっかっするな。」

ハイリンヒは苦笑しながら手を叩けば、隣の部屋から侍女が出て来た。ハイリンヒがお茶の用意の指示をしているのを聞きながら、カールは戻って来た雑貨を眺めた。簡単に何も魔法がかかっていないかのチェックをすると、追跡魔法が仕込まれていた。

ん〜っと思いながらもカールは、かけられた魔法を解除して行く。その様子をジェームズとハイリンヒは楽しげに見ていた。


「ほら、やっぱりカールは騎士だ」

「本当だ」

「レオには後で、フィリップに診察してもらうか。」

「その方が良さそうだね。」

そんな会話がされているとは知らず、レーオンハルトはピーターに追いかけ回されている。

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