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ロイヤルズと代理人の青年?!  作者: siro


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王子達のお茶会

綺麗なお菓子が並べられ、思わずカールの腹は鳴ってしまった。

「どうぞ召し上がれ」

ハイリンヒに言われ、王子より先に手をつける何てっと思っているとスコーンを一つ手に取った彼は、そのままカールの口に突っ込んだ。

「ん?!」

「さっさと食べないのがいけない」

クスクス笑いながらハイリンヒは、自分の分も取りはじめた。周りも同じ様に好きな菓子を自分の皿に取って行く。個室には専用の給仕係が居たが、ハイリンヒが追い出して、変わりに近衛達が入って来ている。


「んぐぐ、というか、自分たちで取っていいんですか??」

カールは思わず聞いてしまった。だって、カールが習った宮廷の作法では、自分たちで取っては行けないのだ、それは給仕係の仕事だ。仕事を奪う行為は、役に立たないと言っているようなモノなのでやらない様にっと注意を受けたのだ。

「まー王宮内でやったら、マナー違反だな。」

ジェームズが言えば、ピーターも頷いた。

「はしたないって怒られちゃうね。でもね、ご婦人方が居る場所でやると、喜ばれるんだよ。」

「え?」

「そう、こんな風にね」

そう言って、ジェームズは自分で取ったケーキをフォークで突き刺し、それをピーターの口に入れた。口の端についたケーキを指で拭って微笑めば、りっぱな色男で悪い男の出来上がりだ。

「わお。爛れてる!」

カールが思わず言えば、ハイリンヒもジークハルトも笑った。

「ちょっと緩いお茶の時間で、やる分には平気さ。給仕も使わずにケーキをとったら、自分たちを見てるご婦人方に流し目をする事をお勧めするよ。」

ジークハルトの言葉に、ますます分からなくなった。

「な、何でですか?」

「やってみれば、わかるさ。ちなみに、これで近衛の一人は奥方をゲットした」

そう言って、ハイリンヒは後ろにいる近衛の一人を見上げた。その人は軽く咳払いをして、おもいっきし視線を外している。

「流し目で、奥さん・・・?」

「野性的に見えるんだってさ〜。僕の場合は、可愛いらしいけどっ」

ちょっと不満そうにピーターが言った。

「野性的・・・王都って不思議だ。」

 カールの中での野性的といえば、領内の騎士達だろう。夕方あたりから夕飯が始まるが、急がないと無くなってしまうし、気をつけないと食べ足りない人が取って行ってしまう、その後は飲み会が始まり獣のように咆哮をあげて、大騒ぎだし、色々と汚い事がおきる。正しく獣だ。そして朝になると、領内の女性達にお尻を叩かれて追い出されるのだ。掃除の為に邪魔だと言われながら。

悶々と悩みながら何が違うんだろうとチョコレートケーキを口に含めば、ふと理解した。

「そっか、顔か」

そう言って周りを見渡せば、ハイリンヒの近衛は皆顔が凛々しい。領内にも、カッコイイ騎士は居るにはいるが、王都のようなカッコイイ問い割れる顔の人は2、3人だった気がする。そして何よりも、何をしてもモテていた。


「世の中って残酷だ・・・」

「どうした?」

「お前も、令嬢方にモテる顔をしているぞ」

「そうですか?」

そう聞くと、周りにも頷かれた。そうなのかっと思いながらカールは顔を触ってみた。領内では役に立たなかったけど、王都では役にたつのかっと思っていた。

「そういえば、レーオンハルトは、今日は何をしてるんですか?」


「今日は、家の方で忙しいらしい。新しい建築士の卵を見つけたとか言ってたな。」

ジェームズが答えながらピーターが取ったお菓子を奪って行った。

「あー!ジェームズ自分でとりなよっ」

「自分で取ったぞ」

「僕の皿からじゃないか!」

ピーターが頬を膨らませて怒っている様子に、カールは苦笑しながら、ピーターが取られたお菓子を取ってあげた。

「優しいな。カールは。そうそう、建築士とか言ってたね。石工みたいな特殊な石材で装飾を作るらしいが、それが細かく繊細で、レース見たいに綺麗だとか。」

ハイリンヒが頷きながら、行儀悪く肘をテーブルについてフォークを揺らした。

「レースみたいに作るんですか?」


「そう、そいつ独自で作り出した技術らしい。レーオンハルトは、その技術が見たいんだろうな。あいつは建築と名の付く物に対する執着心は凄いからな。ココだけの話、あいつ王宮内で出入り出来る場所の建物の構造を全部把握したらしくってな、紙に書き起こした事があったんだよ。速攻で燃やされたがな、あの時のヴィンチ男爵の顔は凄かった!」

そう言いながらハイリンヒは、笑った。


「ハイリンヒ笑い過ぎ。そりゃー息子の好奇心で国家機密になりうる物を作成されたら親として焦るだろう。」

ジークハルトが飽きれた様に言えば、ハイリンヒは肩をすぼめて謝った。


「ごめんごめん。いやーだってさ、いつも厳めしい大人が慌てふためく姿ってなかなか見れないだろ?」


「ハイリンヒってば性格悪ーい」

ピーターが言えば、ハイリンヒは舌をだした。


「お前に言われたくないぞ、ピーター。そうそうカール、あいつは凄いだぞ。”描ける”って言うから、描いてみろっていったらその場で描きはじめたんだ、定規やコンパス無しに、あいつは正確に図面が引けるんだ。本人曰く、肘や肩を起点にすれば出来るらしいが、教えてもらったが、俺は途中で飽きた」


 あまりの内容にカールは顔を引きつらせた。アムストラ領でも、一般の人が町や城の地図は作成する事は禁止されている。敵に知られたら危険だ、攻撃がしやすくなってしまうから、皆頭の中に叩きこむのだ。作戦会議で使用する地図は厳重に保管されているくらいだ。


「なんか、あまりにも凄すぎるんですが・・・。地図は駄目です。」

もしも、アムストラ領の城の地図なんて敵国知られたら大変だ。町の形も特殊な作りになっているし。何より、領内は色々と秘密がある。それを考えただけで、カールは首を振ってしまった。


「流石、アムストラ領出身なだけあるね。」

ジェームズが感心する様に言った。


「?」


「俺たちは、あの時は誰も意味が分かってなかったんだ。大人達が慌てる理由がさ。」

ジェームズは大きなため息をつきながら、紅茶を飲んだ。


「そうだな。俺もあの後父上に叱られたな。何を学んで来たんだーってね」

ハイリンヒは苦い顔で言った、口直しのつもりかクッキーを摘む。


「僕もー」

ピーターは背もたれに行儀悪く背中を付けながら、嫌そうに頷いた。


「僕は、流石にその場に居なかったから、巻き添えを食わずにすみました。」

ジークハルト苦笑しながら言った。


カールは三者三様の様子に、意外に皆やんちゃなんだなっと思い直した。貴族らしい、お坊ちゃんな感じかと思っていたが、なかなかな性格だ。何よりハイリンヒは全然懲りていないようだ。


「だからさ、ちょっと気になる貴族の屋敷に行く時は、レオを連れていくと良いんだ。大体の間取りを把握すれば、どこら辺に使用人通路があるとか、おかしな空間があるって分かるからな。」

にやりっとした顔でハイリンヒは言った、さながら悪役だ。

「それって悪い事に使う人の台詞みたいです。」

カールは思わず呟いてしまった。


「俺は王子だよ?何も悪い事はしないさ。強いて言えば、正義のヒーロー?」

周りからは、えー?!っという声が上がるがハイリンヒは気にせず優雅に紅茶を飲んだ。


すると、突然悲鳴と騒音が外から上がった。その声の大きさに、カール達は驚いて席を立ち上がった。

「何?」

「何だろう?」

すぐさま、部屋にいた近衛達がハイリンヒを囲い、一人が窓辺に立ち外を伺う。


「何が起きてる?」

ハイリンヒが素早く聞けば、窓の外を伺っていた近衛が答えた。

「馬車が暴走したようで、斜め向かいの店に馬車が突っ込んだ状態です。人だかりが出来ています。」


「馬車が店に?」

「そんな事いままであったか?」

「俺は、聞いた事無いな」

カール達はジェームズを囲う様にしながら話した。もちろん自分たちにも近衛の人が付いているが、現在身の安全の優先度はハイリンヒだ。カールは指に紅茶を付けて、テーブルクロスの上に魔方陣を描きはじめた。

「それは?」

「これでも、魔法師見習いなんです。簡易ですが、この部屋一帯に保護魔法を」

その様子を見ながらも、ハイリンヒは直に視線を窓辺に居る近衛に戻した。


「衛兵は?」


「集まって来ているようですが、笛が鳴っていません。・・・なるべく早くこの場を離れた方が良いかもしれないですね。」

近衛の言葉に、カールは確かに変だっと思った。何か事件や事故が起きれば、衛兵が来て、周りの兵に知らせるべく笛を鳴らす。それなのに、さっきから笛が聞こえない。カールは持って来ていた巾着の中から紙を取り出した。

「カール?」

ジェームズが不思議そうにカールの行動を見た。


「偵察させます。この場を動くにしても外の様子を知らないと」

 カールは取り出し紙に室内にあったペンを使って魔方陣を書き込んだ。風と水の魔術と、鳥の姿をする様に、そして最後の一文には見た人が、今探している姿になるように。

「魔法使いのお手並み拝見としよう。」

魔法陣を見ながらハイリンヒは言った。

「王子」

近衛が引き止めようとするも、ハイリンヒはやれっと視線でカールを促した。

びっしりと書き込んだ後、カールは紙に息吹を吹き込んだ。

ふわりと飛んだ紙は、窓の隙間から外に出て、ひらひらと舞うと一瞬のうちに鳥の姿になり、道へと飛んで行く。カールは目を瞑り鳥と同じ目線になった。


「人だかりが凄いですね。衛兵は、正規の人達じゃない・・・靴が支給されている黒のブーツじゃない。焦げ茶のブーツを履いてる。あぁ、でも奥の道から正規の衛兵が来ますね。あと数分でたどり着く。偽物は・・・誰かを探してる・・・」


 偽物の衛兵が店内に入って探してる様子が見えていた。だが、それは人を救助するという様子ではなかった。しかも、その店もカフェ屋だが、幸いにも一階の店内に居た人達には大きな怪我は無く、慌てて外に出て来ている。2階へと進む偽物の衛兵にカールはそろそろ、もう一つの術を発動させるかっと思った。

2階の廊下を歩いている衛兵の後ろ姿を見ながら、相手が望む姿へと変化させる。

一つ物音をあせて階段を下りれば、やはり偽物の衛兵達は、居たぞっという声と共に追いかけて来た。

操りながら、店から出る瞬間、廊下にあった鏡を見ればそこに映っているのは。


「ハイリンヒ王子?」


カールは一瞬にして、集中してそのまま操り続けた。こちらにではなく、路地裏に、自分の術が続けられる限り。幻影を走り続けた。


「・・・カール?」

目を瞑って、術に集中しているカールの呟きにハイリンヒは違和感を覚えた。だが、呼びかけにカールは反応しない。


「やめろ。それ以上はいい。術を止めろ!」

汗を流しはじめたカールにハイリンヒは近衛を退かして、カールの肩を掴んで揺さぶった。ジェームズ達はハイリンヒの様子に驚いた。


「ハインツ、どうした?」

「偵察以外の事をしている!止めろ!カール!」

その言葉に周りは騒然となった。


「カール!!」

パンっという音と共に、カールの術は焼き切れて途切れてしまった。術を描いた紙は耐えられず燃えているはずだ。目の前には、ハイリンヒが必死の形相で見つめていた。

「ハイリンヒ王子・・・」

頬の熱さに、叩かれた事に気づいた。

「お前は!!偵察だけだろ!何をしていた!?あの陣には、それほど集中するような事は描いてないだろう!」


「あっ・・・」

カールは思わず視線を彷徨わせた。今の行為は明らかに偵察以上の事だ。しかも途中から自分が操作出来る範囲外にまで無理矢理遠隔操作までした魔法使い見習いは、最初に決めた術以上の操作は禁じられている。魔力が枯渇してしまわない様に、無理をしない様に自分の実力以上の事をさせない為だ。


「すみません。」


「まぁ、いい。本物の衛兵が来たみたいだしな」

外では、笛の音が響いていた。


「本日は、城に戻りましょう」

近衛の一言で、ハイリンヒは顔をしかめたが、小さくため息をついて頷いた。

「わかった。」


「今日は、サロンで過ごす事にしよう」


来た時と同じ様に、カールが乗ってきた馬車で城に戻り、服も着替え直してハイリンヒのサロンのソファーに座り込んだ。


「なぁ、カール。狙われていたのは俺か?」

ハイリンヒは一人掛けのソファーに腰掛けながら、詰まらなさそうに呟いた。


「・・・」

カールはどう答えるべきか悩んだ。他の3人は、もう自分たちのやりたい事を仕始めている。ジークハルトは、チェンバロを弾きはじめてるし、ピーターとジェームズはチェスを仕始めている。


「正直に言え。お前の魔法陣には、相手が望む姿を見せる術が描いてあっただろ」

陣を読まれていたら言い逃れは難しいなっとカールは思った。

「・・・はい。魔法陣読めるんですね。」


「これでも、王族だからな。身を守る為にも粗方学ぶのさ。で、何を見た」

じっと見つめられて、カールは目線を外す事が出来なかった。


「・・・鏡に映った姿を一瞬見ただけです。それが王子に似ていたっというだけで、ハイリンヒ王子かどうかは分かりません。」


「ふーん。まぁ、俺を狙う奴なんていっぱい居るからな。仕方ないさ。・・・次はもう少し凝った変装をするか」

ハイリンヒの言葉に、ピーターは不満げに叫んだ。

「僕!次は行かないよ!」

「何でだよ」

「絶対王様に怒られるような事するでしょ」

「・・・そんな事はしない」

「その間は何?!ジェームズ!ハインツが危ない事しようとしてるよ」

「大丈夫だよ。ピーター、怒られるのはハインツだけだから。あとチェックメイト」

「あー!!ハインツのせいで僕が負けた!」


カールは何だか頭が痛くなって来た。ハイリンヒは、自分が狙われているのを分かっていて、またお忍びで外に出る気満々だし、これは絶対自分も一緒に行く事が前提の気がして来た。

一人優雅にチェンバロを弾くジークハルトの横に椅子を持って行き、カールはしばしば、綺麗な音色を聞きながら現実逃避をする事にした。

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